Weps うち明け話 文:清尾 淳

#804

ほろ酔い話①“純正”浦和レッズ

 極端なことを言えば、浦和レッズの選手は全員が浦和育ち、あるいはレッズの育成組織で鍛えられた者で占められていることが理想なのかもしれない。
 そして、それは決して不可能ではない。いまトップチームに在籍している選手たちのうち、レッズユース出身者以外との契約を更新せず、レッズユースの高校3年生を全員トップに昇格させ、旧浦和市内の高校サッカー部で活躍した選手にオファーを出せばいい。それで足りなければ、高校2年生や1年生をトップ出場可能選手として登録すれば、人数的には整うだろう。

 ただし、成績を度外視しての話だ。そのチームがすぐにJ1チームに伍して戦えるかどうか、わからない。優勝争いにはとても加われないだろうし、降格候補として注目されるに違いない。
 だが、そこには目をつぶる。目的は“純正”浦和レッズを作ることなのだから、毎試合勝利を目指すことは当然としても、どのポジションが弱い、使える選手が少ないと言って、外部から獲得することはしない。あくまで自前の選手の成長を促す。

 何年、十何年か後には、浦和レッズは地元のサッカー少年がプロになるための登竜門。浦和(さいたま市)は、日本一Jリーガーを多く輩出する地域。そう呼ばれるようになるだろう。そういう性格のクラブ、そういう土地柄のホームタウンがあってもいいと思う。
 そして十年以上、その体制が維持できれば、チーム力もそこそこついてくると思う。もともと、少年のサッカー人口も多くレベルも高い浦和地域の選手たちをしっかり鍛えることと併せ、「プロになれる場所、浦和」として全国から小学生、中学生が集まって来るようになる。玉石混交かもしれないが、ダイヤモンドの素材が1年代に2~3人ずつでもいれば、5年でチームの主力ができる計算になる。
 
 ただ、その十年の間には、毎年のように残留争い。あるいはJ2降格、さらにはJ2での残留争いもあるかもしれない。そのことを、クラブ、サポーター、パートナー、ホームタウンが受け止められるか。“我慢”ではない。我慢よりさらに踏み込んだ、それも強くなるための過程として“甘受”しなければいけない。我慢は溜まれば不満となって吹き出るからだ。
 しかも甘受すればチームが強くなるという確証は特にない中での十年である。

 十年。
 今の浦和レッズを取り巻く環境からすれば、長すぎる期間だ。
 こんなのは酒の肴にしかならない話かもしれない。

EXTRA
 年末年始、更新のない時期に考えたことをいくつかアップして行く。ほろ酔い気分のときに頭に浮かんだ内容もあるが、実際に書いているときには酔っていない。

(2014年1月6日)

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