Weps うち明け話 文:清尾 淳

#806

レディースユース

 攻撃は最大の防御、とよく言うが、攻撃が失点の引き金になる場合が少なくないこともまた事実だ。

 大阪・堺で行われていた第17回全日本女子ユース選手権。 
 1月6日(月)の準決勝、浦和レッズレディースユース対ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18戦。前半はスコアレスで、客観的に見ればレッズが押されているな、と思われてもおかしくなかった。ゴールに迫る場面はレッズの方が多かったと思うが、前線の中村みづきや吉越ひかりに厳しいマークがつき、決定機を作れなかった。またジェフは押し上げが強く、その結果最終ラインは浅くなるのだが、その裏にボールを出しても、GKに処理されてしまう。この大会3試合目にして、レッズが前半に点が取れなかったのは初めてだ。

 だが後半5分、レッズは中盤でボールを奪うと長野風花が前線へパス。右サイドから飛び出した遠藤優がそれを受け、少ないタッチでシュートを放った。DFの戻りも、GKの飛び出しも間に合わなかった。前半、同じようなレッズの攻撃はあったが、ジェフの最終ラインとGKのポジショニングが絶妙で、ことごとく防がれていた。

 ビデオを見返したわけではないので定かではないが、後半ジェフは少し攻撃に重心をかけてきたようだ。
 前半、レッズの攻撃をうまく抑え、押し込む時間も作ったが、点が取れない。だから勝つために、もう少し前への力を強くしよう。
 全くの想像だが、そういう指示があったか、選手にそういう意識が生まれたかして、最終ラインが前半よりさらに上がっていたような気がする。それが生んだレッズの先制点だったのではないか。
 もし前半と同じ守られ方をされていたら、3−0という完勝スコアにはなっていなかったかもしれない。

 翌日の決勝。日テレ・メニーナは間違いなくこの大会ナンバーワンの実力を持つチームだと言っていいだろう。
 パスの正確さ、パススピード、ボールコントロールなど非常にミスが少なかった。それに加えて運動量や読みに優れていて、レッズのパスが少しでも甘くなると確実にインターセプトされてしまう。
 それまでの3試合は、多少のミスをしてもそれがミスにならないという相手だったが、メニーナ相手のミスは致命傷になりかねない。そしてメニーナが相手だからといって、急にミスはなくならない。試合はメニーナが主導権を握って進んでいった。

 だが、易々とゴールを奪われたわけではない。非常に粘り強い守備で、メニーナに決定的なシュートを打たせないでいた。マイボールを中盤から前線に送り、攻撃の構えを作るところでまた奪われ、守備に回る。そういう時間が続いたが、我慢をしていればそのうちチャンスが来る、と思っていた。
 来た。21分、遠藤が右からドリブルで抜け出し、ゴール前へ。中村と塩越柚歩がシュートを狙うが、DFに阻まれる。この試合で初めてレッズが相手エリアまで進入した時間帯だった。そこで点が取れれば、状況は変わっていただろう。だがゴールを割れず、前がかりになった姿勢だけが残った。
 失点はその直後だった。それまでレッズのGK松本真未子が相手と1対1になる場面はほとんどなかったが、今回はラインを破られ、決められてしまった。この試合の勝敗を左右した数分間だったかもしれない。

 後半、立ち上がりから攻勢に出たレッズは前半より多くのチャンスを作るが決められず、逆に2点を失った。後半33分に0−4となってからは、勝敗はともかく1点が欲しかった。来年度につながる1点だ。
 ピッチでは、2014シーズンもメニーナと戦うことになる、高校2年生、1年生、中学3年生たちが躍動していた。彼女らの連係で1点を取ることが、来年の雪辱につながると思った。ゴールを割るまで、あと一歩に迫ったが、願いは叶わなかった。


 日テレ・メニーナには、2013シーズンのなでしこリーグに、日テレ・ベレーザの選手として出場していた5人がいる。そのうち隅田凜選手だけは、高校を卒業するが、他の4人はまだ年齢的にはメニーナに残れる(向こうのクラブの都合でどうなるかわからないが)。また新たになでしこリーグで鍛えられる選手も出てくるに違いない。
 そういう選手たちを擁するメニーナに勝つのは簡単なことではないという実感がある。

 しかしレッズレディースも2011年から、中学3年生をユースに組み入れ、育成・強化を図ってきた。 
 今の高校1年生と中学3年生は、中学2年以下のジュニアユース時代にU15の大会で鍛えられてきた選手たちだ。彼女たちは、さらに力をつけて来年度に臨む。
 もちろん高校2年生たちも最年長年代として意地を見せるだろう。センターバックでレギュラー出場している新井純奈は「強いチームを相手にしたときこそ自分たちのチームプレーを発揮しなければいけない」と決勝の感想に続き、「これまで(大戸)遥(はるか)さんたちが引っ張ってくれたが、これからは自分たちが頑張りたい」と来年度の健闘を誓った。
 まずは大学生チームが多い、関東女子リーグで負けないことが必要になるだろう。

 ユースは、大会での勝利と並んでなでしこリーグで活躍できる選手を輩出することが目的だ。3年前のテコ入れが目に見える成果になって表れてくるには、もう少し時間がかかる。ただユースチームが強化されてきたことは確実で、だからこそ2013シーズンは、高校3年生のうち、石井咲希と中村みづきをほとんどレディースのトップチームに送り出していても、関東女子リーグで2位という過去最高の成績を収めることができたのだと思う。
 
 ユースを卒業する高校3年生のうち何人が2014シーズン、レディースのトップに昇格するか。またユース在籍選手のうち、何人がなでしこリーグにも登録されるか。まずは、それが楽しみだ。
 そしてなでしこリーグでの巻き返しと共に、レディースユース、レディースジュニアユースの成長ぶりを見ていきたい。
EXTRA
「2014サポーター開幕準備集会」(仮称)の参加申込みは、本日が一次締切です(#794参照)。最少催行人員を超えたかどうかを含め、詳細は14日にお知らせします。


第17回全日本女子ユース選手権を戦い終えたレディースユースの選手たち。
花束を持っているのは高校3年生

(2014年1月10日)

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