Weps うち明け話 文:清尾 淳

#811

新人への激励

 一次キャンプと二次キャンプの間に集中して行われる「感謝の会」(スポンサーパーティー)、「レッズフェスタ」、「後援会法人会員激励会」、「テレビ埼玉主催激励会」が終わった。全部に参加するクラブ幹部やチームは大変かもしれないが、この方式がスケジュール的には最も良いとして恒例になっている。
 僕は感謝の会とテレ玉激励会には出ないが、それでもこのイベント群が終わると、1月初旬のチーム始動日とはまた違った、スタートの気分になる。

 4日、行われた後援会の激励会。僕は後援会運営委員を卒業したが、アドバイザーという肩書をもらっているので、何か手伝えることはないかと、顔を出す。
 会場にいる選手は、トップチームとレディースを合わせると50人を超えた。選手にサインを求める参加者の列があちこちでできる中、唯一のルーキー、関根貴大は手持無沙汰にしている時間が長かった。

 話がいきなり飛ぶが、以前、少年漫画週刊誌の編集者から、女性アイドルタレントを表紙にするとき特別にギャラは払わない、と聞いて、驚いたことがある。たしかにデビューしたばかりで、これから売り出すタレントなどは、どんどん露出しなくてはいけない時期だから無料でもモデルになってくれるだろうけど、もう人気になっている(僕でも知っているのだから相当だ)女の子が表紙を飾るときも、そうだと言う。だいぶ前の話だから今はどうか知らないが。
 僕は、ああいうものは需要の有無、その高低で決まるのだと思っていた。新人のころは無料でもいいから顔を売りたい。売れてくるとギャラが入る。もっと売れてくるとギャラが高くなる。さらに売れっ子になると仕事を選ぶようになる、というふうに。
 どんなに売れっ子になっても新人の頃の気持ちを忘れず、公の場で質問に「別にぃ」と答えないタレントが好きだな。

 話を戻すと、そんな関根のところに僕もよく知っているサポーターが近づきサインを求め、「中学生のときから試合を見ていて、ずっとトップに上がるのを待ってました。試合に出られるように頑張ってください」と話しかけた。関根は少し驚いたようだったが、うれしそうに「はい、ありがとうございます」と答えた。
 そのサポーターは、やはりそれほど人が群がっていない濱田水輝のところへ行き、サインをもらったあと、「今季“絶対に”試合に出てください」と言った。普通、選手を激励するときに「絶対に」と付けることは少ない。あるとすれば、優勝がかかったとき、あるいはその選手の命運がかかっているとき、だろうか。そのサポーターは、レッズから他のクラブへ期限付き移籍で修業に出て戻り、再びレッズで十分な活躍をした選手がこれまでほとんどいないことを踏まえて、「今度こそは」と思いを込めたのだろうか。水輝も、その意を察したかのように、力強く「はい、頑張ります」と答えていた。

 4日の激励会では、選手によってさまざまな対応を余儀なくされただろうし、激励をいろいろな形で受けとめたと思う。
 新人の関根、二回目の新人である水輝は、声を掛けてくれる人の数は少なかったかもしれないが、あの日答えたときの気持ちを忘れずに結果を出して欲しいし、そうすれば結果を出して有名になったあとも「別にぃ」と答えたり、質問を無視したりする選手にはならないだろう。

 さて指宿での二次キャンプは今日から。僕は半日遅れで取材に行く。
 うまくネットがつながれば、またリポートします。7日と14日にNHKさいたま「週刊サッカー王国」には電話で出演します。

EXTRA
 2日のレッズフェスタで、ふと思った。
 居心地が良いな。
 昨年は12月7日で公式戦が終わってしまい、その後、ユース、ジュニアユース、レディースユースと大会があったので、「レッズの試合」にはさほど飢えていなかったが、約2か月ぶりに味わった感覚がある。たぶん、それが心地良かったのだろう。
 それは、レッズのマフラーやマスコット、赤いものを身に付けた人混みの中に自分がいること。何となくホッとできる、安心できるのだ。もちろん知らない人の方が多いのだが、それが良い。
 居心地の良いところばかりにいると、人間が鈍ってしまうぞ、と自分を戒めるようにはしているが、楽しむときは楽しんだ方がいい。そういう場所があることが、逆風のときや苦しいときに頑張れる拠り所になるのだ。

そのうち「6 YAMADA」のグッズを見て、暢久か直輝を当てるというマニアックなクイズができそうだ。
ちなみにコバトンを見ても少しホッとするが、大宮のホームにいるときは微妙…。

(2014年2月6日)

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