Weps うち明け話 文:清尾 淳

#812

OBコーチ

 あれ? あそこにいるのは…。
 東日本大震災の影響で開幕が遅れ、日程も変更になった関東ユース(U-15)サッカーリーグの取材でレッズランドに出かけたある日。グラウンドで準備をするスタッフの中に、見かけない顔――、いやスタッフとしては初めてだが、よく知っている顔があった。僕がその年、初めて関東リーグに行ったときだから、2011年の5月15日のはずだ。

「あれは、仁(じん)?」
 当時、育成部門の総務を担当していて、この日も試合の運営のために来ていた児玉賢太郎さん(現在は広報部課長)に確認したが、間違いなかった。
 2006年、レッズユースのキャプテンをしていた金生谷(かなおや)仁だった。あの年代からレッズのトップチームに昇格した選手はおらず、仁がJ2のザスパ草津(当時)に、同期でエースストライカーの鈴木竜基がルミノッソ狭山に加入した。この2人のことは、当時発行していた「Little Diamonds Vol.22」に卒業記念特集を掲載してある。
 http://www.urawa-reds.co.jp/archive/pdf/ld_22.pdf

 仁が草津から福島ユナイテッドに移籍したことは聞いていたが、その後のことは知らなかった。だが児玉さんは、レッズユース、ジュニアユースの卒業生たちの動向を常に気にしている。気にしているというより、積極的に声を掛けて連絡を取り合うことが多い。ふだんはパッシブ・ソナーで、年度の替わり目などはアクティブ・ソナーを働かせる、ということだ。

「福島との契約が終わると聞いて、声をかけました。仁は6年間、レッズの育成で育ち、キャプテンもやっていたから、ここでサッカーをやるのがどういうことなのか十分わかっています。そういう経験を持つスタッフがいることも必要かな、と考えました。もちろん、彼の人間性は良く知っているので、本人がやる気なら、クラブにも子どもたちにも本人にもプラスだと思いました」(児玉さん)

 4年ぶりに再会したその日、僕を見つけると仁は駆け寄ってきて「お久しぶりです」と、僕が差し出した右手を両手で握った。そう言えば、レッズの育成のキャプテンはみんな、コイントスで相手キャプテンや審判団と握手するときに両手を出すような気がするが、それは仁がそうするのを下の者が真似ているんじゃないか? そんなことを考えながら、「よろしく。頑張って」などと言ったように思う。

 今季の育成部門でいうと、池田伸康、安藤智安、名取篤、田畑昭宏、渡辺隆正、土橋正樹、内舘秀樹(順不同、敬称略)と、レッズのトップチーム出身のコーチは少なくない。これに将来、山田暢久も加わるのか。
 だがレッズの育成出身者はいなかった。
 サッカーの技術、戦術を身に付けるのはもちろん、人間形成という重要な役割もレッズジュニアユース、ユースは持っている。さらに、浦和レッズのエンブレムを付けてサッカーをするとはどういうことか、ということも、子どもたちには理解して欲しい。
 最後の部分は教えるというよりは、日常の中で子どもたちが感じ取っていくものだと思う。その点で、ユース時代に厳しい戦いをキャプテンとして経験してきた仁は適任だと僕は思った。さらに年齢的にも(当時は22歳)、子どもたちが話しやすい存在になるだろうと思っていた。
 レッズOBコーチに加えて、レッズ育成OBコーチ(かつプロ選手の経験もある)が誕生したのは大歓迎だった。
 
 今回の指宿キャンプにレッズユース3年生の斎藤翔太が参加していたので聞いてみた。彼がジュニアユース3年生のとき、仁はコーチ業をスタートさせたのだった。
「兄貴みたいな感じでした。ノブさん(池田伸康ジュニアユース監督=当時)に言えないことも、仁さんには言えました。たまに『どうかしたか?』と声をかけてくれるんですけど、そんなときはたいてい自分が何か悩んでいるときでした」(斎藤)
 仁の同期はレッズにいないが、近い世代はいる。彼らにも育成時代の仁の印象を聞いた。
「むちゃくちゃサッカーがうまいヤツで、チームの盛り上げ役だったと思う」(宇賀神友弥=仁の1年上)
「プレーはガツガツ系だったけど、ふだんは面白くて、ムードメーカーだった。キャプテンらしいキャプテンという感じ」(山田直輝=仁の2年下)
「周りをよく見ている人だった。1年生にもよく声をかけてくれた」(濱田水輝=仁の2年下)
 仁がジュニアユースのコーチをしていることについて宇賀神は、「育成の時代を直に経験している人がコーチにいるのは、良いと思う」と語った。

 実は、仁がジュニアユースのコーチをしていることを、すぐこのコラムで書こうとした。だが、待った。彼の仕事がこんな結果を生みました、と言えるときに書こう、と。
 そして昨年末、レッズジュニアユースが高円宮杯優勝。その偉業に関して、仁の功績だけをクローズアップさせる気はないが、ようやく書けるときが来たかな、と思ったので本人に取材させてもらった。

 仁も取材の中で語っているが「育成は勝つことだけがすべてではない」。本当の結果は、これから出る。もしかしたら目立たない形ででも。
 今後は、レッズの育成出身、という強みに加えて、コーチとしてのスキルも上げていかなくてはならない。厳しいことも待っているだろう。だが「浦和レッズという偉大なクラブに恩返しをしたい」という思いをバックグラウンドとして、自分と子どもたちの未来を切り拓いていくに違いない。
EXTRA・1
 レッズの公式サイト「サイトメンバーズ」に「育ったクラブに恩返しを―金生谷仁ジュニアユースコーチ(1)〜(3)」を連載中です。

EXTRA・2
 先日の関東の雪による影響は相当なもので、9日の磐田との練習試合を取材や見学に来る人が、飛行機の欠航や新幹線の遅れで、予定の変更を余儀なくされた。
 指宿もそれほど温暖というわけではなく、風などは関東より強いと思われるのだが、それでも8〜9日は浦和にいるより行動がスムーズだっただろう。自分が悪いわけではないが、何となく申し訳ないような気持にもなってくる。
 そんな中、#810やMDP増刊号でもお知らせした、ビジュアルアイテムの整理は、予定どおり行われたと連絡が来た。といっても普通タイヤの車が走れない道路状況で、13人の参加だったらしいが、もう1回やれば開幕に向けて準備が整うくらいまではできたらしい。
 ということで、2月16日(日)の計画をまたお知らせします。清尾が行けなくて申し訳ありませんが、可能ならお手伝いをお願いします。

○日程:
2月16日(日)
○時間:
10時から13時の間に行います。出入り自由です。
○場所:
埼スタ・北門に来ていただければ、ご案内します。
○内容:
①シートの再生(昨季、雨に濡れてしまったシートをウエスで綺麗にする)
②アイテム(シート・小旗)の整理整頓
③デカ旗の補修(穴が開いたり、縫いが開き始めている箇所を縫う)をメーンに行う予定です。
○備考:
◎屋根下での活動になるので雨天時でも行いますが、屋外のため、完全防寒でお願いします。
◎道具等はこちらでご用意致します。もし、ご用意いただけるならば、ペットボトル(500ml〜2Lの何でもOK)にお湯をご持参いただけると助かります。
◎車でお越しになる方へ。両日共に埼スタでイベントを開催している関係で、駐車場に停められない場合もございますので、ご注意を願います。

○質問等、当日の連絡先:Rosso Bianco Nero URAWA・早川まで
・携帯09044506373
・携帯メールtasukubaby@ezweb.ne.jp

(2014年2月13日)

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