Weps うち明け話 文:清尾 淳

#816

天下

 三日天下。
 5月3日のF東京戦から中2日だったから、甲府戦で首位から落ちたら、そう言われるだろうと予想していた。
 だから、そういう新聞見出しを見ても別に腹は立たず、ここまで型どおりの見出しをつけることに、整理部記者は抵抗を感じないのだろうか、と思っただけだ。中3日だったら、どうしたのだろう。「浦和、四日天下」じゃ、おかしいか。

 何も甲府戦で首位から落ちることを予想していたわけではないが、たとえ三日天下、あるいは七日天下や十四日天下に終わっても、それほど落胆はしないだろう、という気持ちでいた。大事なことはF東京戦で首位に立ったことだった。4月26日の柏戦ではなく。
 柏戦の第9節も、もしレッズが勝っていれば首位に立っていたはずだし、あの試合は「もし勝っていれば」と言っても、戯言には聞こえない内容だった。だが試合開始時間はレッズ−柏戦が13時で、それ以外の上位チームは15時以降。レッズは勝てば首位になる可能性はあっても、13時時点ではどうなるかわからなかった。
 だがF東京戦は、そうではなかった。
 16時の試合開始時点で、鹿島が負け、神戸−広島が0−0、そしてハーフタイムには神戸−広島がそのままスコアレスドローだとわかった。

 ここだ。
 勝てば首位に立てることがはっきりしている状況で、勝てるのか。
 昨季、一度もモノにできなかったそのチャンスを、今季は生かせるのか。
 今季は、再昇格以来一度も勝てていない仙台に勝ち、ミシャが勝ったことのない川崎Fに勝ち、8年ぶりにホームで横浜FMに勝ち、と“壁”をいくつも破ってきた。
 だが、もうひとつ別の課題が「首位獲り」できるかどうか、それも「タナボタ」ではなく、そういう状況であることを選手たちが意識した上で勝てるかどうか、だった。
 0−0から始まった後半、前半よりもF東京に攻められた印象もあるが、終始攻撃的な姿勢は崩さず、1−0で勝った。
 首位に立った。
 選手たちがプレッシャーをはねのけたのか、そもそもプレッシャーを感じなかったのか、よけいにモチベーションが上がったのか、とにかく昨季一度もできなかったことを実現したことは、すごく大きな前進だと感じた。

 今でも思うのだが、昨季何度かあった首位獲りのチャンスに一度でも勝てていたら、その後また2位以下に落ちたとしても、11月10日にアウェイで行われた第31節の仙台戦は勝ち切れていたのではないか。
 あの試合は、8日前のナビスコ杯決勝で敗れ、リーグ優勝しか残っていないという状況の中、後がないプレッシャーも相当大きかった。そして、もしかしたらこれまで一度も首位に立てていないということも選手たちの気持ちの面でマイナスに働いていたのかもしれない。もしシーズン中に、一度も首位の座に着いていたら、仙台戦でのプレッシャーも軽減されていたのではないか。
 まったくの想像だが、そういう要素はあったと思う。

 今季、このまま再開の15節から最終節まで、ずっと首位が続いていくなら、もちろんそれでいい。
 だが、再び明け渡すことになる可能性もある。そうなったとしても、また取り返せるという自信が、あのF東京戦で生まれたはずだ。
 第14節は、試合後に首位に返り咲いたのを知ったが、もし鳥栖1−1大宮の方が先に終わっていたとしても、レッズはC大阪にしっかり勝っていたと思う。

 中断前の14試合。チーム新記録の5試合連続無失点、リーグ最少失点など良い点はいくつもあるが、シーズン後半を占うにあたって、この「首位獲り」が一番の好材料だと思う。

 それと中断前に首位に立ったので、たとえ15節で落ちたとしても、63日間は“天下”が続くことになるな(笑)。

EXTRA・1
 これからメディアでのサッカーの話題は日本代表中心になっていくだろうが、それでもレッズが語られるときに、「現在Jリーグ首位の」という形容詞が付く(かもしれない)ことは、楽しいし、気持ちが良い。

EXTRA・2
 C大阪戦の前半32分、南野選手に青木が引っかけられてファウルになった場面。森脇がすぐにボールをいったん止めて、前方の柏木にパスを送ったところで、木村博之主審が笛を吹いた。ポイントもずれていないのに、どうして?と思ったら、C大阪の山口選手に何やら注意している。おそらく山口選手が判定に異議でも唱えたのだろうけど、たとえが警告に値するような異議だったとしても、レッズはすでにリスタート直前なのだから、山口選手に警告を宣告しておいてプレーを再開するのがベストだったはず。正当なリスタートを邪魔してまで、選手に注意を与えることに何の意味があるのだろう。学校のサッカーなら、教育的な側面もあると思うが、プロ選手に今さらそんな注意が必要だとはとても思えない。
 Jリーグの村井チェアマンは「3つの約束」の中で「リスタートを早く」と言っているが、この約束は監督や選手だけでなく、審判にもしてもらっているのだろうか。
 取材したのが5月7日だったので、このことには触れていないが、5月17日のMDP451号には村井チェアマンのインタビューが載っているので、買い忘れた人はバックナンバーでぜひどうぞ。

EXTRA・3
 2か月近く更新がなかったことについて、くどくどお詫びをしても長くなるだけなので、最後にしました。ホームゲーム続きで忙しかったことは事実ですが、すべては僕の怠慢に起因します。申し訳ありませんでした。

(2014年5月21日)

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