Weps うち明け話 文:清尾 淳

#822

今さら三部作③ ふたたび最後の優勝を

 #821を書いているうちに頭に浮かんだのは、まずレッズがさいたまダービーのときに歌うことがある、相手を揶揄する歌だ。
 あれも公に「素晴らしい」とは言えないが、さいたまダービーならこういうのもありだな、と思っていた。大宮側の人が、笑って済ませるとは決して思わないが、「あれはケシカラン」と抗議するより、何か対抗するものをやってくれないか、といつも思っていた。
 先日、5月10日のさいたまダービーで、レッズサポーターが「ラララ」で歌っているのを聞き、「伏せ字かあ、それも今は仕方ないかな」と、少し寂しくもあり、それでも歌いたくなるような快勝にうれしくもあり、という心境だった。

 次に思い浮かべたのは、昨年2ステージ制の問題をめぐり大きな議論が巻き起こったとき、レッズサポーターが国立でのアウェイゲームで出した大量のダンマクやゲーフラだ。
 あれは相手を揶揄するものでもなければ、政治的メッセージでもない。Jリーグに対する自分の意見を表したものだ(「バカ」とかいうのは、全体の価値を低めるから止めて欲しかったが)。
 もし仮に、まだ2ステージ制移行の議論が続いていて、これも仮に、レッズの横断幕やゲーフラの自粛(クラブからサポーターに対しては「禁止」だが、対外的には「自粛」だと思う)が解けていたら――。
 レッズサポーターたちは、リーグの通年制堅持を求めてスタジアムでメッセージを発信しただろうか。
 仮に、が2つも付く話なので想像しても仕方がないが、僕の考えとしては、まったく問題ないし、もしその行為に対する批判があったら、「どうしていけないの? あれはあれ、これはこれでしょ」と反論しただろう。もっとも、埼スタにおいて「安心で安全、快適なスタジアム」への取り組みが着実に進んでいるという確信があったら、だが。

 2ステージ制は来季から始まる。
 MDP451号に掲載した村井チェアマンへのインタビューで「(2ステージ制に移行する)経済的要因が解消されれば、通年制に戻ることはあるのでしょうか」という質問をしたが、明確な答えは得られなかった。通年制復活のためには、Jリーグ(がそれを望むなら)、各クラブ、サポーターの、これまでにない努力が必要だろう。

 今さらながら思う。
 2004年11月。浦和レッズは初めてリーグ戦のステージ優勝を果たした。あのとき「これが日本で最後のステージ優勝なんだろうな」と思っていたが、そうではなかった。
 そして10年後の2014年。最後の通年制リーグ優勝も、絶対に浦和レッズが勝ち取ろう。首位での中断入りで満足せず、苦手だった夏場でも、プレッシャーがかる終盤でも、チーム、サポーター、クラブの結束で力を落とさず、優勝したい。
 そして絶対に、それを日本で最後の通年制リーグ優勝にはしない。
EXTRA
「最後の優勝」とか「04年の10年後」とか、単なる符合や縁で言っているわけではない。
 過去の例(PK負けに勝点を与えたり、止めたり)を見ても、大会のレギュレーションに物申すとき、優勝経験があり、常に優勝を争いをしているクラブの発言力が大きいというのは、ありうることだからだ。

(2014年6月20日)

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