Weps うち明け話 文:清尾 淳

#823

懐古だけじゃない

 山田暢久引退試合まで、あと2週間を切った。MDP特別号の準備もそろそろ佳境に入ってきた。
 ふだんのMDPは、その試合の見どころを伝えると共に、応援する力になることを意識して作っている。しかし引退試合ではだいぶ違う。その試合に関して、というより、その日の主人公のことを詳しく伝えることが中心となる。その人のこと、と言っても、やはり選手としての山田暢久を語ることがほとんどになる。選手として語る、ということはチームのことを語ることになり、すなわち浦和レッズの歴史の大部分――1994年から2013年を振り返ることにもなる。
 
 03年の福田正博引退試合でもMDP特別号を作ったが、あの号との大きな違いを感じながら、いま作業している。
 違いとは単純なこと。山田暢久の20年間といえば、03年から07年にかけてのタイトル奪取の時期を含んでいるということだ。出場する選手たちの顔ぶれもそうだし、そこから発せられるコメントや、山田自身の振り返りの中にも、そのことが何度か出てくる。もちろん降格した99年や、昇格できないかもしれない恐怖と闘いながら過ごした00年も、レッズの山田を語る際に含まれているのだが、やはり印象として強いのは、90分が終わってスタッフに「だめ?」と聞いている99年最終節の山田暢久よりも、高々と満面の笑みで優勝カップを掲げる姿だ。

 今回の引退試合も、福田さんのときと同様「浦和レッズ対レッズ歴代選抜」となった。03年のときと同じ選手もいるが、今回はワシントンやロビー、闘莉王や達也がいて、伸二が用具係ではなくピッチに立つ。さらに、他の選手(所属クラブ)ともギリギリまで出場交渉をするらしい。
 引退試合とは、懐古的な趣が多いのはもちろんだ。僕がこれまでスタジアムで見た引退試合は、木村和司さん、北沢豪さん、井原正巳さん(取材)のものだが、それらは見終わって、古き良き時代を感じ、主役である引退選手の功績を振り返ったものだった。
 だが、この「浦和レッズ対レッズ歴代選抜」は、それだけではない、ある思いを抱かせる。

 それは「さあ、今から」という気持ちだ。
 03年の福田正博引退試合は、93年〜94年のレッズが弱かった時代や99年〜00年の苦しい時代に一緒に闘った選手たちの姿を見、ずっと通してレッズを支えてきた福田正博が、もういないんだ、ということを実感して寂しくはなったが、同時に「さあ、ここから今いる選手たちとサポーターの力で新しい時代を切り開いていくぞ」という気持ちにもなった。そして、その5か月後にナビスコ杯で初戴冠したのを皮切りに、レッズは優勝争いの常連になり、優勝杯を飾るディプレーを新調するクラブになって行った。

 今のレッズのサッカーは、優勝常連時代のものとはだいぶ違う。だが目指す所は同じだ。そして、ナビスコ杯もリーグ戦も天皇杯もACLも、すべての頂点が未知の場所ではない。
 7月5日の「浦和レッズ対レッズ歴代選抜」は、「あのころは良かったな」「今もああいう選手がいればな」ではなく、あのころの栄光をまた味わうために、この選手たちを力いっぱい後押ししよう、という再開後に向けたモチベーション作りの場になる。そういう気がしている。
EXTRA
 そして優勝セレモニーの場では、新米OBとしてヤマとホリに挨拶して欲しい。そんなことまで先走って考えてしまう。引退試合のMDP作りはいかんな。すぐに余計なことが頭に浮かんでくる。何せ、写真を見る量も、原口元気写真展のときの比ではないのだから。
 さて山田暢久引退試合MDPへのサポーター投稿の締切が25日に迫りました。こちらもよろしくお願いします。
 詳細はhttp://www.urawa-reds.co.jp/clubinfo/ の6月9日付を参照してください。

(2014年6月23日)

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