Weps うち明け話 文:清尾 淳

#833

復活への誓い

 9月8日(月)、新宿で開催されていた近藤篤さんの写真展に行って来た。新宿まで電車で30分。車で埼スタに行くより近いのに、仕事が一段落するまでは、なかなか気持ちが切り替わらず、とうとう最終日になってしまった。

 コンちゃんの写真と文章は、年に何度かMDPにも載せてもらっているし、今季からオフィシャル有料サイトにも連載してくれているから、みなさん知っていると思う。見る前からわかっていたことだが、行って良かった。そして、行って良かった、という以上に貴重な体験ができた。
 写真展は、先のブラジルワールドカップ期間中に現地で撮ったものと、それ以外にコンちゃんが撮りためたものに部屋がわかれていた。後者のコーナーには、スタジアムで応援するサポーターを写したものが何枚かあった。世界の国旗をスマホで確かめないとどこの国のサポーターだか判明しなかったが、1点だけは見てすぐにわかった。
 埼玉スタジアムのレッズサポーター。

 満員の埼スタを北ゴール裏のスタンド上方(オーロラビジョンの上かも)から撮影したもので、多くのサポーターの手がまっすぐピッチに向かって伸びていた。

 南側ゴール裏の緩衝地帯が広いから2008年以降だろう。
 ビジターサポーターの最前列に「Champion is here」という、覚えのあるダンマクがあるので2010年までの鹿島戦だろう。
 時計が18時20分ごろを指しているから、17時か18時キックオフの試合だろう。
 そんなことから類推して調べてみると2010年8月28日、第21節の試合だった。入場者は51,177人。
 こういう写真を見ると、どの試合か知りたくなってしまうのは職業病のようなものかもしれないが、そんなことでこの写真の前に長い時間立っていたわけではない。

 この光景に戻りたい。この光景を取り戻したい。
 レッズの試合を経験したことのあるファン・サポーターが、あの写真を見たら、そう思わずにはいられないと思う。
 いろいろな考え方はあるし、ボタンを掛け違ったことがあるかもしれない。誰もが100パーセント満足のいく解決方法はあり得ない。しかし、いくつかの我慢、いくつかの譲歩をし、いくつかのことを今後の課題として残したとしても、埼スタでこんな光景を復活させたいという思いに否やはない。
 この写真の前に立つと、そう誓い合って握手ができる。
 そのために努力しようという気持ちにさせてくれる。

 そんな決意を新たにできた。
EXTRA
 そう言いながら、写真を今は見せることができないのが残念と言うか、間抜けと言うか。

(2014年9月10日)

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