Weps うち明け話 文:清尾 淳

#836

差別的横断幕事件よりも重要なこと


 思いのたけ、というやつを書いていたら長くなってしまい、#835で切るしかなくなってしまった。今回は本題にズバッと入る。

 3月8日(土)の差別的横断幕事件の後、クラブが改革のために取り組んできたのは、差別的言動や掲示物の根絶だけではない。それだけならば、これだけ長い間、ダンマクやゲーフラが規制される必要はまったくない。
 もちろん再発は絶対にない、とは言い切れないが、たとえそういう掲示や言動があっても、クラブがただちに(テレビなどで放送されてからではなく)制止、阻止するような体制をとっておくことで、問題化する前に対処できるだろう。また、これだけ苦しい思いをした多くのサポーターが、そういう掲示や言動を見て、見て見ぬ振りをするとは思いがたい(言動については難しいかもしれないが)。

 クラブがもう一つ、根本的に改革しなければいけないものとして重視してきたもの。それはサポーターの自主的ルール、スタジアムの自治などだ。
 サポーターの努力、クラブの努力で培ってきたものが、20年間のうちにいつの間にか当初の思いから大きく逸脱していた。今回の差別的横断幕事件も、そういう背景があって起こったものだと言える。そこが改革されないうちは、少なくとも改革に向かって歩みださないうちは、以前のようにサポーターの自由に任せたスタジアムの運営は復活できない。
 それが、今もダンマク、ゲーフラが許可されず、応援のリードを取る太鼓も復活してない理由だ。

 だがクラブは後者の、サポーターの自主的ルールの見直しが必要だ、と明確には言ってこなかったのではないか。
 だから多くのサポーターが「なんで、いつまでも」という不満を抱く。
 また、一部によるルールの逸脱が問題になっていると理解しているサポーターにとっても、「じゃあ、そこの改善の努力はどうされているのか」が見えないから、やはりストレスがたまってくる。

 今回の問題では、クラブもサポーターも痛みを分かち合う必要がある。それはみんなわかっていても、痛みの元がどこにあるのかわからないのが多くのサポーターの現状なのではないか。
 無観客試合から半年経ったいま、クラブはもう一度、コトの本質をはっきりと示し、力を集中すべきことは何かをサポーターに「広く」かつ「わかりやすく」提示すべきだ。

 起承転結の「承」を書こうと思ったが、アップの時間切れになってしまった。まだ「承」の「了」ぐらいなので、続きは明日。

(2014年9月24日)

  • BACK
 
ページトップへ