Weps うち明け話 文:清尾 淳

#848

北からやってくる仲間たち②

 やっと、たどりついた。
 ホテルからそんなに遠いところではない。そもそも店の近くのホテルを探して予約したのだ。
 だが雪の中だ。北陸生まれの僕は、雪に驚くことはないが、もう35年も浦和に住んでいると、雪道の感覚は薄くなっている。スマホの地図を見ながら雪の少ない部分を選び、滑らないようにして歩くのは容易ではなかった。今年の2月23日だった。

 HOT LIPS(ホットリップス)。
 新宿の歌舞伎町にあったら、違う業種の店を想像してしまいそうな名前だが、極めて健全なダイニングバーだ。
 中に入ると、なるほど。天井と壁が赤く、床は白黒のチェック。浦和にある店なら「レッズでしょ」と言いたくなる内装だ。
 オーナー店長の鈴木敏之さんに話を聞いた。

 鈴木さんが、この店を始めたのは2010年。かつてはサラリーマンだったが、東京都内に手作りハンバーガーの店が増えたこともあって、自分もハンバーガーの店をやりたくなった。「ここのハンバーガー食べてから、大手チェーンのハンバーガーを食べられなくなった」という人が多い。パンは弟さんのパン屋で手作り。パテは作り置きしない。タマネギは生を使う。生のタマネギに熱せられたパテがよく合う。女性で2枚食べる人もいるという。2枚食べても胸焼けしない。僕もいただいたが確かにうまかった。ただし価格では大手チェーンに勝てない。あくまで味で勝負だ。そして店の雰囲気もか。
「ハンバーガー食べたことないけど、ここは美味しいと聞いてきた」というおばあちゃんもいるそうだ。

 #847で書いたKさんが、ホットリップスにやってきたのは、2011年のこと。青森に転勤になったKさんは、馴染みにする店を探していた。そこでレッズが語れれば最高だた。
「ここ、中が真っ赤だけどレッズと関係あるの?」
「いや」
「じゃあ、店内のテレビでレッズ戦流してファンを集めようよ」
「レッズファン、いるのかよ青森に」
「いるいる」
 Kさんにも確信はなかった。レッズ戦をテレビで見られる店が欲しかったというのが本音だったろう。元々、店内の大型テレビでスポーツを流していたホットリップスなので、それはスムーズだった。

 始めてみると、テレビでレッズ戦をやっているとネットで評判になった。浦和出身で転勤で青森に来た人などが「見に来ていいですか」と電話してきた。
 だが、試合を見ているうちに鈴木さんがレッズファンになってしまった。16時からの試合だと、店は休憩時間だが、見に来る人のために店を開けるほどになった。たいていはKさん1人だったが、だんだんレッズに詳しい人が、お客さんに増えてきた。

 2012年8月のC大阪戦。青森から6人が高速バスで埼スタに行った。
 初めての埼スタは、まずその大きさに圧倒された。広場にも赤い人がいっぱいいたが、中に入ってまた真っ赤で圧倒された。「すげえ、すげえの連続だったよ」と鈴木さん。
 スタジアムだとウォーミングアップは見られるし、選手紹介も見られる。ただし審判の笛がサポーターのチャントで聞こえない。キックオフの笛が聞こえず、まだ試合前のボール回しだと思っていたと言う。2回目に埼スタに行ったときは、センターサークルを凝視していた。

 去年、C大阪に2−5で負けた後、店の常連客が鈴木さんの顔色をうかがうようにしていたという。鈴木さんは、「1試合で7回もゴールシーン見られることあるか!」と居直った。
 今年は、OSC(浦和レッズ・オフィシャル・サポーターズクラブ)に「北東北レッズクラブ青森支部」で登録した。支部長はお客さんのYさん。Yさんは青森県生まれで、大学時代武蔵浦和に在住。3年生のとき92年ナビスコ杯があった。就職は地元へUターンしたが、それ以来レッズを応援している。ある日、友人に誘われてホットリップスに来たところ、レッズを応援している店だとわかった。
「ちょっと待て。レッズなら20年の思いがある。一言言わせろ」
 そこからYさんは、レッズ戦を店でテレビを見るようになった。

 そんなお店です。機会があったら(普通はないだろうけど、レッズサポーターならありそうだ)行ってみてください。
 さてG大阪戦に、青森からは何人来るんだろうか。
EXTRA
 HOT LIPS
 青森市中央1−1−19 町会ビル1階
 TEL017−773−7557

*写真は鈴木さんと店内の様子

(2014年11月21日)

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