Weps うち明け話 文:清尾 淳

#852

明日も「起」

 映画「We are REDS! THE MOVIE」の制作者たちは苦労しているだろう。
 ある意味で、映画は「予定調和」の世界だ。それからすると、「差別的横断幕事件」と「無観客試合」で始まった今シーズンは、優勝で終わるのが着地点のはずだ。もちろんドキュメンタリーだから台本はなく、撮ったもので作るのだから、どういう結果に終わろうと、来春にはきちんと後編が完成するはずだが、目論見では「あの開幕直後の困難から優勝へこぎつけた浦和レッズ」というキャッチフレーズが付けられれば最高だったはずで、いまスタッフたちは気が気でないかもしれない。

 もちろんレッズにリーグ優勝のチャンスは残されているし、100パーセント他力本願ということでもない。
 だが最初から10点取ることを目指してスタートするのは威勢が良いが、それは今のレッズのスタイルではない。攻め急がず、主導権を握って戦う中で、相手を崩し、あるいはスキを見つけ、得点するというのがチームコンセプト。早々に先制点を奪うに越したことはないが、失点するリスクは最大限減らしたいだろう。キックオフからゴールラッシュというのは、あまり期待できない。

 もっとも、僕自身は「自力」優勝に全く望みを抱いていないわけではない。
 そもそも、作ったチャンスに、もっときちんと決めていれば、G大阪戦も鳥栖戦も違う結果になっていた。この2試合だって、全然手も足も出ず1分け1敗だったわけではない。ファーストチャンスをモノにして、まずは勝利に向けて一歩進んでから、追加点のチャンスを逃さない、と得点を重ねることは可能なはずだ。
 もしレッズが3−0ぐらいで前半を終えて、G大阪が0−0だったら。後半のG大阪の焦りを呼ぶことにもなるのではないか。鳴門大塚での試合に関わることができないレッズが、唯一影響を及ぼせるとしたら、それくらいだ。それが僕の考える「自力」優勝だ。

 明日の試合。まずは勝利が第一に目指すべきことだ。そして、その勝利を確実なものにするために、また集まってくれたファン・サポーターのために、2点目、3点目のチャンスにしっかり決める。そんな試合をしてくれれば、現段階でのレッズが負っている責任は十分果たしたと言える。その後の話は、試合の後で蓋を開けてみればいい。

 現実の世の中は簡単に「起承転結」で分けられない。
 もし今季、レッズにタイトルがもたらされたとしたら、たしかに2014年だけで見れば最良の「結」かもしれない。
 だが、タイトルを獲ろうと獲るまいと、見方を変えれば2014年全体が、将来への「起」だとも言える。本当にそうなのかは、来年、再来年を過ぎてみなければわからないが。
 ある意味では、「現在」は常に、ある時を「起」とした場合の「承」であり、また別のある時点を「起」とした場合の「転」でもあり、そしていつかの「起」から見た場合の「結」である。何だか、コムズカシクなってきたが、言っていることはわかってもらえるだろう。
 
 現実世界は終わりがない。映画にたとえると僕たちは、浦和レッズという超大作ドキュメンタリーの制作に携わってしまったスタッフだ。
 明日はまた新しい編の「起」を撮りに行く。

(2014年12月5日)

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