Weps うち明け話 文:清尾 淳

#867

1stの目標

 日曜日の清水戦、埼スタのスタンドは、いつもより赤く、きれいだった。赤以外を着ている人が少なかったということもあるのかもしれないが、スタンドがかなり詰まっていたということもあるだろう。記者席で「F東京戦より多い、4万5千人を超えるといいな」と話していたのだが、それにはわずかに届かなかった。しかし今季2番目の入場者を記録した。

 一方、関係者エリアも、いつもと違う様相を呈していた。
 メディア関係者も多かった。スポーツ新聞の支局が静岡県にあることもあって、清水エスパルス関係のメディアも少なくないのだが、やはりレッズに1stステージ優勝の可能性がある試合ということで、訪れた報道関係者は多かった。
 だが「様相」の違いというのは、人の多さだけではない。ダークスーツを着た人物の比率が高かったのだ。Jリーグ関係者、広告代理店の社員たちだった。レッズが1stステージ優勝したときのために来ていたのだろう。そこがふだんの埼スタとは大きく違っていた。たとえていうなら、学校の入学式や卒業式の日、先生以外の大人がいっぱいいて、違和感がある。それと似た感じだ。

 僕が思うに、今の1stステージ優勝というのは、04年までの2ステージ制におけるそれに比べて価値がだいぶ低い。
 04年まで行われていた2ステージ制はシンプルで、1stステージ優勝チームと2ndステージ優勝チームでチャンピオンシップのホーム&アウェイ2試合を行って勝った方が年間チャンピオン、もし1stも2ndも同じチームが優勝すればそのまま年間チャンピオンというものだった。
 しかし今の2ステージ制では、1st優勝チームは、チャンピオンシップの準々決勝をホームでやれる権利を得るに過ぎない。年間1位になって初めてチャンピオンシップ決勝へ進める。そこでようやく11年前までと同じ権利を得られるということだ。同じ「1st優勝」でも、その価値は相当下がっている。

 Jリーグ自身が当初(昨年末まで)は「ステージ1位」という表現をずっと使っていて、今年になっていつの間にか「優勝」に変わっていた。
 おそらく明治安田生命さんがリーグ戦のスポンサーになってくれたので、「1位」では権威がないからと「優勝」にしたのだろうと思うし、その意図はよくわかる。しかし表現は変わっても、チャンピオンへの距離がかなり遠い、という事実は変わらない。

 この1st優勝の価値について、こういうふうに思ってきたのは最近だ。2ステージ制そのものを苦々しく思っていたから、最初はとにかく年間勝点1位が一番年間王者に近い、ということだけしか考えなかった。
 試合が進んできて、去年までは単にラップタイムだったものに「優勝」という名前をつけ、タイトルという権威は与えないが賞金はタイトル並みに出る、ということだなと冷静に考えるようになった。
 まだ決まってもいないうちに言うのが憚られたので、MDPでもここでも黙っていたが、いよいよレッズの1st優勝が現実のものに近づいてきて、言うべきタイミングになった。

 1st優勝へあと勝点1というのは、ここまでチームとサポーターが一つになって闘ってきた結果だし、15試合無敗という成績をいささかも軽く見ることはない。
 だが1st優勝が決まっても、「優勝」という言葉に勘違いしたり、気持ちが一段落したりするのは禁物だ。
 清水戦のヒーローインタビューで興梠が「1st優勝はどうでもいい」と思わず口走ってしまったのは本音だろう。「優勝」という重みのある言葉とは裏腹な価値しかないことを実感としてわかっているからだ。
 ラップタイムということで言えば、去年も第17節現在では1位だった。しかし1位で折り返したからといって、何も安心しなかったはずだ。一時、首位を奪われたがすぐに奪い返し、32節までは維持していた。
 今季は最後まで失速せずに首位を続けたいもので、そのためにも次の神戸戦も絶対に勝点3を取って欲しい。これは次で1st優勝を決めて欲しいという意味ではなく、あくまで多くの勝点を積み上げるために、毎試合勝利を目指すということだ。
 だから、どうしても「1stステージ」という区切りで言うなら、いま目指しているのは「優勝」ではなく、第17節を終えての勝点を、現在の37から43まで積み上げることだ。

 神戸ウイング時代から通算1勝1分け6敗、09年から5連敗(13年はJ1での対戦なし)というノエスタは、数字的にはユアスタやベアスタよりも「鬼門度」が高い気がする。そこで10年ぶりに勝点3を取ることの意義も大きいではないか。
 でも、神戸ユニバでやってくれんかな(対神戸6勝1敗)、ともちょこっと思う。
EXTRA 
「悪法も法」だから、1st優勝もこれほど斜めに見ないで、素直に喜べばいいのかな、とも思うが、やはり一昨年、クラブ、サポーターを挙げて2ステージ制導入に反対したレッズの一員としては、ポリシーを貫くためにも、問題点は問題点として指摘することは必要だと思うのだ。「問題点」という表現が良くなければ「特徴」と言い換えてもいいから。
 それと参考までに、J1リーグが18チーム制になった05年以降、17節(17試合)での勝点は09年に鹿島が挙げた42が最多だ。


EXTRA・2
 上記本文中の「タイトルという権威は与えないが賞金はタイトル並みに出る、ということだなと冷静に考えるようになった」という部分は訂正が必要だが、文言はあえて変えない。説明は#870を参照。

(2015年6月10日)

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