Weps うち明け話 文:清尾 淳

#878

このままでは終われない

 6月2日(水)の新潟戦が終わって、その晩はともかく翌日から選手たちは「このままでは終われない」と思っただろう。
 0−4で負けた横浜FM戦は、もう終わった。もう1度チャンスをくれ、と言っても、その機会は与えられない。
 だが、ナビスコ杯準々決勝は1試合制ではなく、ホーム&アウェイだ。もう終わりたいと思っても、終われない。もう1試合やらなくてはいけないのだ。5点という大きな荷物を背負ったまま、第2戦を戦わなくてはならないのだ。
 まる埼玉スタジアムのピッチが針のむしろでもあるように、うなだれてに出て行くのか。
 それともファン・サポーターに恥ずかしいと、顔を隠してプレーするのか。
 あるいは、5日後の柏戦に備えて、ケガのないように、疲れないように、ひたすら90分が過ぎるのを待つのか。

 そんなことは、まっぴらだろう。
 もう1試合あるのなら、逆転を目指す。相手に5点取れたのだから、自分たちに取れないはずがない。それがミシャ監督も選手も思っていたことだったろう。実際、3日(木)、4日(金)に大原で取材した感触も、それに相違なかった。
 レッズ周りのメディアの中には、柏戦に集中した方がいい、という意見もあったようだが、当のレッズはそうは考えなかった、というわけだ。

 6日(日)の第2戦は、5点もしくは6点取るだけの攻撃は見せたし、命取りになる失点もゼロに抑えた。結果は目標どおりではなかったが、内容は目標に近かった。逆転を信じて雨の埼スタを訪れたサポーターたちは、準々決勝の最終結果には満足はできなくても、試合内容にはある程度納得できたのではないか。

 だが本当に、このままでは終われない、のは11日(金)の柏戦だった。 
 たしかに新潟との第2戦は、我慢の前半と攻めの後半という試合運びができていたし、後半には速い攻守の切り替えから二次攻撃、三次攻撃を見せていた。新潟のカウンター攻撃を受ける場面もあったが、相手への距離をしっかり詰めて決定的なシュートを打たせなかったし、打たせてもDFやGKが身体で止めていた。今季、無敗だった第1ステージで見せていた、レッズらしいサッカーを、間違いなく展開していたと思う。

 だが「レッズのサッカーが戻った」と胸を張って言えるかどうかは、まだわからないと思っていた。
 背水の陣、を通り越して、失うものは何もないような状況に置かれていたから、あのサッカーができたのかもしれない。
 新潟が5点のアドバンテージで余裕を持っていたから3点取れたのかもしれない。
 9月6日(日)の新潟戦で、レッズが今季公式戦で初めて3−0というスコアを残せた(どうも「勝てた」と言いにくい)のは、特殊な状況に置かれた試合だったから、という条件がついて回る。
 本当に「このままでは終われない」のは、6日の後だった。リーグ戦という普通の条件の試合で、6日のようなサッカーができて勝つまでは、レッズの黄信号は完全には消えない。
 そんな状況で迎えた11日の柏戦だった。

 結論から言えば、柏戦はレッズらしいサッカーを見せて勝ったと思う。
 ネガティブなことを言えば、大ピンチもあったし、80分を過ぎても点が取れそうで取れなかった。
 それも含めてレッズらしい試合で勝ったことを喜びたい。

 これで今シーズンは大丈夫だ、とは思わない。
 シーズンの中で必ず波はあるから、また不調になることがないとは言えない。だが2試合連続大量失点で負けた後、そのままズルズルと崩れていくのではなく、戻るべきところに今回しっかり戻れたということは、今後不調が訪れたときにも、戻るところがあるということを証明している。
 不調=負け、ではない。たとえ調子が悪くても試合の途中で、自分たちのサッカーに戻ることができれば、十分勝機はつかめるはず。今回の2つの大敗で最も反省すべきことは、試合の中でそれができなかったことだ。
 先に失点して、「このままでは終われない」と思うことが試合中にもあるだろう。そんなとき、ただがむしゃらに反撃するのではなく、自分たちのサッカーに戻って、落ち着いてゴールを目指すことが最も勝利に近づくことだと思う。

(2015年9月16日)

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