Weps うち明け話 文:清尾 淳

#881

A定食

 東京に出てきた頃(すごいイナカモンみたいだな)、牛丼チェーンの吉野家はありがたかった。
 並盛300円、大盛400円は、昭和50年代の大学生にとって決して安くはなかったが、24時間いつでも営業していて、店に入ればすぐに食べられる、というのが良かったし、和食のファストフードは当時、たぶん吉野家だけだったと記憶しているので、朝はなるべくご飯の方が良い僕としては貴重な存在だった。泊まりのビル警備や駐車場のアルバイトをして時期が長かったので、早朝帰るときにはよくお世話になった。
 当時は、牛丼並盛・大盛、牛皿並盛・大盛、ライス並盛・大盛(あったと思う)しかメーンのメニューはなく、あとは味噌汁、お新香、生卵(半熟卵はなかった)だけだった。牛皿+ライスにすると割高になるから僕は牛丼しか食べたことがなかったし、「紅ショウガが食べ放題なんだからお新香はいらん。味噌汁だってお茶があるんだから無くていい」という友人の「アドバイス」によって、その2つも注文したことはなかった。
 
 吉野家に朝定食が登場したのはいつごろだったろうか。
 納豆定食、焼魚定食、特朝定食の3種類が出て、牛丼だけよりも値段は張るが(納豆定食は安かったかも)、もう就職して学生よりはわずかにリッチ(というほどではないが)になっていた僕は、朝はそっちを選択することが多くなった。ちなみに僕が好きなのは「焼魚定食に生卵」だった。
 さて、店員に注文すると、あることに気づいた。
「納豆定食ください」
「納豆定食ですね。お待ちください。(厨房へ)A定いっちょう!」

 ははあ。納豆定食は「A定」なのか。厨房にいちいち「なっとうていしょく」とか「やきざかなていしょく」と言うのが面倒なんだな。
 ちなみに焼魚定食は「B定」で、特朝定食は「とくあさ」だった。
 お客さん用には、内容がよくわかる「納豆定食」(正確には生卵もつくのだが)とか「焼魚定食」という名称を使い、内部では言いやすい「A定」「B定」を使用するというのは、なるほどと思った。そのうち常連さんも注文するときに「A定」と言うようになった。僕は、どっちがどっちだか未だに覚えられないので、使ったことはない。だからAとBが反対かもしれないので、もしそうだったら、ご容赦を。
 ということで吉野家の昔話はここまで。 

 レッズが今年から始めた「REX CLUB」は、良い取り組みだと思う。
 ファン・サポーターがホームゲームに来たり、グッズを購入したり、飲食売店を利用したりするとポイントがたまり、たまったポイントに応じて交換プログラムが用意されている、というものだ。チケットを買ったときではなく、来場するとポイントが付くというのがいい。さらにシーズンチケットを持っている長さに応じて、ポイント獲得率が上がっていく、というのもいい。
 使ったお金に応じてポイントがたまるだけでなく、来年はレッズフェスタに来場してもポイントが付くように考えているらしい。つまりはファン・サポーターがレッズのために行動したらポイントがたまっていく、というものにしたいようだ。ぜひ「TALK ON TOGETHER」とか「サポーターミーティング」に来場した場合にも付けるようにすればいい。絆ポイント、というわけだ。

 最初は自由席のシーチケホルダーの入場順を抽選するためのもの、ぐらいにしか捉えられていなかったのではないかと思う。実際、それしか活用されていなかったのだから仕方がない。最近、「那須の気合注入プログラム」とか「スタジアムツアー」など新しい取り組みもやっているので、少しずつ浸透してきたのではないかと思う。

 だが、声を大にして言いたい。
 わかりにくすぎる!
 チラシを読んでも一度で理解できる人は少ないだろう。僕は何度も担当スタッフに取材もし、意見も言っているのでようやくわかってきたが、最近また「これじゃ、わかんねえよ!」と思うことがあった。

 もともと「REX CLUB」はカテゴリーが大きく3つに分かれており、シーズンチケットホルダーが自動的に登録されている「LOYALTY」と、シーチケホルダーでない人が自発的に加入する「REGULAR」(有料)、メルマガだけを見ることができる「WHITE」がある。これが、そもそもわかりにくい。せめて「LOYALTY(シーチケ会員)」、「REGULAR(一般会員)」、「WHITE(メルマガ会員)」とか、内容を表す注釈を付ければわかりやすいのに。

 新しいことを始めるときに、名称は大事だ。名前だけ聞いても内容がわからない言葉を多用すると、それだけで理解しようという意欲をなくす人だっているのだ。
 しかもカテゴリーの中がステージに分かれており、それにも欧文表記の名前がついている。
「LOYALTY」は「DIAMOND」「PLATINUM」「SAPPHIRE」「RUBY」の4つに分かれており、それぞれシーチケ継続年数が上がると、グレードが上がっていく。でもダイヤモンドが一番上なのはわかるが、プラチナとサファイヤとルビーの格はすぐにわからない。そもそも僕は「SAPPHIRE」「RUBY」がすぐには読めなかった(恥)。
 甲乙丙丁や松竹梅にしろとは言わない。英語でもいいけど、誰にでもすぐに読めて順番がわかるような言葉に、どうしてしないのだろう。

 もっと驚くのは、「REGULAR」の横の欄に「PREMIER CLUB(プレミアクラブ)」という表記があることだ。ちなみに「LOYALTY」の横には「シーズンチケット」、「WHITE」の横には「メールマガジン会員」となっており、これは「組織・会員体系」を示す欄らしい。「シーズンチケット」、「メールマガジン会員」はわかるが、「プレミアクラブ」って何だ?「一般会員」ではなぜいけないのか。

 何度も言うが、「REX CLUB」の発想は面白いし、良いことだと思う。メルマガなどをやっていくなら僕も協力したい。MDPのクロスワードの応募者や正解者、投稿者にもポイントを付与する方法はないか、と考えている。
 だけど、せっかく良いことを始めるときに、ファン・サポーターが入ろうと思っても、入口がどこなのかわからなかったり、入口の横に理解しにくい注釈が書かれていては、入るのをためらってしまう。

 来年から本格稼働になるのなら、今のうちに名称や説明の仕方を再考した方がいいのではないか。定着してから「今年からシーチケ会員のことをLOYALTYと呼びます」としたっていいし、そのうちファン・サポーターの間で勝手に符丁ができるかもしれない。

 吉野家だって、最初からメニューに「A定食」「B定食」「C定食」と書かれていたら、注文するたびに「ええと、納豆定食はどっちだっけ?」と迷ってしまっただろう。

(2015年10月31日)

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