Weps うち明け話 文:清尾 淳

#885

好調の要因

 チュンソンは、何かヴィッセル神戸に恨みでもあるのか?
 とでも言いたくなるような天皇杯準々決勝の1ゴール2アシスト。4週間前のリーグ最終節でも1ゴール2アシストで他の2得点にも絡んだから、この2試合でレッズが神戸から挙げた8点全てに絡んでいるのだ。僕が神戸のサポーターだったら、「李忠成、嫌い」と思っただろう。

「そんなのないよ、ない(笑)」と李本人は“神戸遺恨説”を否定したが、僕も本気で考えたわけではない。だがシーズン後半から終盤にかけて彼の調子が上がっているのは間違いなく、練習を見ていてもそれは感じる。
 好調の要因について、準々決勝後のコメントでも、自身のSNSでも語っているが、本人の口からこう聞いた。

「今年の10月くらいから、なぜかわからないけど浦和が好きになった。
 これまでは「何で?」というハテナがあった。『どうして味方のサポーターから、こんなふうに言われるんだろう』とか『どうして、この人たちはこんな行動をするんだろう』とか(笑)。
 でも、そういう声もひっくるめて浦和が好きになった。浦和のまちとか浦和の人、レッズを応援してくれる人の温かさが感じられるようになった。そう感じられるようになったら急に調子が良くなった」

 李に対する一部のサポーターからの風当たりは、叱咤激励を越えていると僕も感じる時期があった。もちろん、ほとんどのファン・サポーターは、チームのために身体を張る彼の姿を認めていたはずだし、大きな声援も送っている。それは李本人も知っている。
 僕であれば、理解できない一部の行動など無視し、大多数のファン・サポーターの後押しを受けて頑張ればいい、と考えるだろうが、李は「そういう人たちも含めて温かさを感じる」と言った。何と大きな、そしてポジティブな見方だろう。

「みんなレッズのために頑張ってくれているんだなあ、と温かさを感じるようになったらストレスもなくなって調子が良くなった。この人たちは去年も今年も悔しい思いをしてきた。だから、この天皇杯こそ獲りたいし、自分の力をフルに使ってチームの優勝に貢献したい。だから、今はすごくモチベーション高くやっている」

 そういうことに気づけた今年は「実り多い年だった」とさえ言う。
「レッズは強い。それは間違いないがタイトルを獲っていない。一つタイトルを獲って一線を越えれば、常勝チームになれるんじゃないかと思う。その殻を破るために、それができる位置に自分がいるんだから、やりたい」

 そう語るチュンソンの言葉を聞いて、MDP485号に書いていただいた大住良之さんのコラムを思い出した。
「いまこそサポーターのための戦いを」と題した、そのコラムは、「人は自分のために努力するときにはもろい。しかし他者のために戦うときには、本当に強くなれる」のだから、日本一のレッズサポーターのために力を振り絞って戦え、と選手たちに向けたものだった。
 今の李忠成は、「結果を出して自分に批判的な人たちを見返す」という小さな目的ではなく、「自分が好きになった温かい浦和のために全力を出し尽くす」という高いモチベーションでプレーしている。サッカー選手としてだけでなく、人間の生き方としても学ばせてもらった気がしている。
 明日も楽しみだ。
EXTRA 
 本日で今年の更新終了です。新年は1月6日に初更新の予定です。天皇杯決勝MDP特別号の準備のため、リーグ戦終了後の更新が思うようにできず、申し訳ありませんでした。多くのみなさんと年末、年始共に味スタでお会いできると思っています。それでは良いお年を。

(2015年12月28日)

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