Weps うち明け話 文:清尾 淳

#888

今のうちに振り返る・その1

 いやはや、関東の雪が1日ずれてレッズフェスタと重なっていたら中止にせざるをえなかっただろう。
 今季のレッズはスタートからツイているのかもしれないが、もしも1年の幸運の総量が決まっているとしたら、1月にかなり消費してしまってシーズン終盤にはどれくらい残っているのだろうか、と心配になる…、というのは冗談で、僕はそんな説を支持しない。
 何はともあれ、雪で心配だったのは沖縄キャンプへの出発の方だったが、それにも影響はなかったようで、無事に行われている様子がオフィシャルサイトから伝わってくる。

 レッズが浦和にいない今、少し落ち着いて去年を振り返ることができる。総括、というほどちゃんとしたものではないが、私見を残しておこうと思う。

 昨季のリーグ戦は、1stステージと2ndステージとで差があった。
 まずはっきりした数字で表われる成績は、1stが12勝5分け39得点17失点・勝点41で1位。2ndは9勝4分け4敗30得点23失点・勝点31で4位。1st最終節から2nd開幕まで2週間しかなく、対戦相手は同じで、主力選手が何人かケガしたわけでもないという状況から考えれば、差がありすぎる気がする。両ステージの違いは何だったのだろう。

 まず1stステージを見ていくと、それぞれの試合経過は、先制した試合が10試合、先制された試合が6試合、1試合がスコアレスドロー。先制した10試合の結果は8勝2分けで、先制された6試合は4勝2分けだ。先制した試合の勝率が圧倒的に高いのはともかく、先制された試合で逆転勝ち、悪くても引き分けというのは、あきらめない姿勢の表れと言うべきだろう。

 そして、試合終了まで残り10分を切ってからレッズが得点した試合が7試合ある。このうち4試合は同点から勝ち越し点が入ったもの。3試合が1点ビハインドから追い付いたものだ。残り10分の踏ん張りで負けを引き分けに、引き分けを勝ちにした。1stの勝点41のうち11は、こういう形で積み上げたということだ。いかに集中力と緊張感を最後まで持ち続けたか、という証明になるだろう。

 2ndステージでは、この1stで発揮された良さが十分に見られなかった。
 先ほどと同じ物差しを当てると、先制した試合は12試合、先制された試合は4試合(スコアレスドロー1試合)と、より理想的になっているのだが、その後の結果を見ると先制した12試合は7勝3分け2敗で、先制点が勝点3に結びつかなかった試合が5試合もある。また先制された4試合は2勝2敗で、1stほどの粘り腰がなくなっている。

 後半残り10分を切ってからの得失点を見ると、レッズがその時間帯に得点して勝点を増やしたのは柏戦(△0-0→○1-0)の1試合だけ。逆に失点して勝点を減らしたのが、広島戦(△1-1→●1-2)、甲府戦(○1-0→△1-1)と2試合ある。これに関しても、1stのように多くの試合で集中力と緊張感を持続することができにくくなっていたのか、と推測される。

 シーズンの中で、多少の波があるのは仕方のないことだが、昨季のレッズは波というより、上記のように「前高後低」の傾向が顕著に見られた。その理由は何なのだろうか。

(2016年1月20日)

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