Weps うち明け話 文:清尾 淳

#889

今のうちに振り返る・その2

 昨季1stの17試合無敗というのは素晴らしい成績だし、その数字からは圧倒的な強さをイメージしがちだが、一つひとつの試合を見てきた人はわかる。F東京戦や鳥栖戦のように「勝ち倒した」試合もいくつかあったが、数は少ない。それよりも「その1」で書いたように、ギリギリのところで結果を好転させた試合が7試合もある。もしもそれらの試合で最後の1点が取れていなかったら、1stステージは8勝6分け3敗となっていたかもしれない。
 負けそうな試合で勝点1を取る。ドローからと思われた試合で勝点3を取る。優勝するチームには、戦術やその浸透度などチームとしての基本的な力に加えて、そういう「負けない強さ」が必要なのだろう。

 では、1stでできていた「負けない試合」が2ndステージであまり見られなくなった理由は何だろうか。
 僕も答えを知っているわけではないが、一つ思っていることがある。
 昨季よく「二巡目になると相手に研究されて対策を取られ、やりにくくなった」という話を聞いた。僕も、それは要因の一つだと思うが、もっと大きな変化を感じるのは、レッズの側の試合運びだ。

 2ndで前半0−0だった試合は3試合で、その結果は2勝1分けだ。一方、前半に先制した試合は10試合だが、その結果は5勝3分け2敗。前半0−0だと勝率は3分の2だが、前半先制すると勝率は10分の5に落ちているのだ。
 この傾向は1stでも見られ、前半0−0だった7試合は6勝1分けだが、前半先制した5試合は3勝2分けと、やはり勝率は少しだが落ちている。
 この、前半0−0の試合と前半先制した試合の違いを失点で見てみよう。
 1stでは、前半0−0の試合は7試合のうち鹿島戦で1失点しているだけだ。一方、前半先制した5試合では、その後全て失点し、計8失点している。
 2ndではどうか。前半0−0の3試合は、山形戦がスコアレスドローで、他の2試合が1−0の完封勝ち。無失点で終えている。前半先制した10試合でやはり完封勝ちがなく、計15失点だ。
 1シーズンを通してみると、前半0−0だと10試合で1失点しかしていない(それもオウンゴールによるもの)のに、前半レッズに得点が入った15試合はその全てで失点し、何と計23失点となっている。この対照的な結果は何なのだろう。

 レッズは、多くの試合で主導権を握れるところまでチームとして成長している。ただ、それがすぐに得点に結びつくとは限らず、攻めていてもなかなか点が取れない試合もある。そういう状況では、点を取れないことに対する我慢ができるようになっている。点を取れないことに対する我慢とは、イライラして攻め急いだあまりカウンターで失点することのないよう、緊張感と集中力を切らさないことに尽きる。0−0の時間が続けば続くほど、我慢のメカニズムが強化されていく。そして後半もそのメカニズムが持続し、無失点で終わることができる。レッズが途中で先制しても、残り時間が長くないこともあり、緊張感と集中力が切れない。
 一方、前半で先制した場合は、我慢のメカニズムの利きが悪くなるのではないか。特に開始から完全に主導権を握って攻め続けた後に点を取れれば、その時点で安心してしまう。その結果、0−0のときより緊張感と集中力が弱くなって、どこかの時点で失点する。
 こんな説明は、的外れだろうか。

 試合をこなすごとにレッズは連係が強化され、立ち上がりから主導権を取って攻める試合が多くなる。1stより2ndの方が前半に先制することが多くなったのは、成長の証だろう。だが我慢のメカニズムは、先制した後にも働くところまで成長していなかった。それが失点を招き、最終的な試合結果に反映された。
 2015シーズンのレッズの勝点が、1stより2ndの方が少なかった理由を述べよ、という試験問題が出たら、僕は今のところこれ以外に回答を書けない。

(2016年1月21日)

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