Weps うち明け話 文:清尾 淳

#892

今のうちに振り返る・その4

 思えばミシャ監督就任後の4シーズン。2013年のナビスコ杯、2014年のリーグ戦、そして2015年の天皇杯。国内3大会でそれぞれ準優勝している。
「優勝でなければ何の価値もない」「決勝で負けるくらいなら初戦で負けた方がいい」
 たまに、そういう言葉を聞くが、試合直後に選手たちが自嘲的に語る場合以外は、「それは違うでしょ」とはっきり言いたい。
 そこまで来られないクラブがほとんどの中、優勝を争う位置にいたこと、優勝に準ずる成績であったことは、立派な成果としてはっきり認めるべきだ。
 しかし一方で、ここ4年間何のタイトルも手にしていない。毎年、頂点にあと一歩まで近づいただけに、悔しさが倍増するのは当然だ。
 大事な試合で勝てないレッズ、と言われても反論の余地がない。何故なんだろうか。

 2015年。僕は、レッズに他のJクラブが勝つには、「肉を切らせて骨を断つ」戦術しかないのではないか、と思っていた。
 レッズに対して互角に立ち向かおうとすると、攻撃を仕掛けたところでボールを奪われて逆にショートカウンターで点を取られる。「攻撃は最大の防御」と言うが、前半元気の良いときのレッズに対しては「攻撃は最大のピンチのきっかけ」となることが多い。レッズに主導権を握らせるのは危険ではあるが、そこを我慢して守っている方が、打ち合いになるより失点の可能性は低い。そして後半レッズが疲れて足が止まってきたところで勝負するしかない。
「肉を切らせて骨を断つ」には打ち合いのイメージがあるが、僕が言うのは「(前半はこちらの)肉を切らせて、(後半にレッズの)骨を断つ」という意味だ。サッカーの勝負は剣術のように一瞬で決まるのではなく90分で決まる。内容がいくら悪くても結果が良ければいいのだ。

 ただし、そんなことができるのは相当鍛えられたチームでないと難しい。肉を切らせているうちにこちらの骨が切られてしまう(1点だけでなく、2点目、3点目が入ってしまう)かもしれないし、いざというときに、レッズの骨を断てる力があるかどうかは別の話だ。そんなチームは、同じ監督が長く指揮を執ってきて成熟しており、能力の高い選手がそろっており、規律を守ることが徹底されている、というチームでないと難しいだろう。たとえば2013年の柏、最近のG大阪、広島、川崎Fなどだ。

 もちろん、そういう強いチームがこの方法を選択すれば必ず勝てるとは限らない。相手に主導権を渡すというのは、どんなチームでも大きなリスクがあるはずだ。それでもレッズに勝つには、それが一番可能性が高いのではないかと思う。
 シーズンの中には波もあるから、アウェイの横浜FM戦やG大阪戦の前半など、かなり出来が悪くて負けた試合もある。しかし逆に言うと、昨季力負けしたのは、その2試合くらいであり、あとは数的不利が前半から続いたアウェイ名古屋戦と、相手の肉を切ったものの致命傷を与える前にこちらの骨を断たれてしまったホーム広島戦が4敗の全てだ。そしてチャンピオンシップ準決勝も、その中に含まれる。あれは結果的に延長後半のG大阪のバックパスが「肉を切らせた」ものだ。もちろん狙ってあんなプレーはできないだろうが。

 だが、天皇杯決勝だけがちょっと違う印象だった。

(2016年1月27日)

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