Weps うち明け話 文:清尾 淳

#893

今のうちに振り返る・ラスト

 昨年11月28日のチャンピオンシップ準決勝から、天皇杯の準々決勝まで4週間あった。
 開幕からずっと目指してきたリーグチャンピオン。それを争う最後の場に出られず負けてしまったことは、大きなショックだった。そこから選手たちが立ち直るのに、今回のオフよりも長いインターバルは貴重だった。精神的な衝撃から復活したことはもちろん、戦い方を少し見直す機会にもなったのではないかと思った。

 12月26日に再開した天皇杯は、準々決勝の神戸戦、準決勝の柏戦、決勝のG大阪戦のいずれも、2015シーズンのそれまでの長所を生かし、反省点を改善した戦いをしていたように思えた。
 初戦の神戸とは、11月22日のリーグ最終節でも対戦して前半3−1、合計5−2で勝利した。前半13分までに鮮やかな連係で3点を挙げ、1点差に追い上げられたが、2点を追加して突き放した。天皇杯でも前半のうちに3点を先行したのは同じだが、その後失点がなかったというのは、リーグ戦との大きな違いだった。
なにしろ、前半先制して無失点に抑えた試合はそれまでなかったのだから。もちろん前半32分に相手が1人退場になったという状況の違いもあったが、逆にそれでも緩まず、結果にこだわって、体力に余裕を残しながら3−0を守り切ったというのは、ある意味で(良い意味で)「レッズらしくない」試合だった。

 準決勝の柏戦は、前半39分に柏木がケガで交代したというのが大きなポイントだった。前半の残り時間をボールキープでしのいだレッズは、後半も基本的に我慢の展開だった。ここで「スコアレスが続くときの強さ」が蘇った。クリスティアーノや工藤という柏の得点源に仕事をさせず、90分を0−0で終えると、延長開始から、当時連係が絶好調だった興梠&李コンビが登場。とたんに疲れの見え始めた柏の守備陣を翻弄した。決勝点は延長後半12分まで待たなければならなかったが、梅崎の左クロスを、李が頭でレッズサポーターの目の前のゴールに叩き込んだ。この試合は2015シーズンのストロングポイントだった「我慢強さ」がしっかりと発揮されたと言える。

 そして決勝。シーズン5度目となるG大阪との対戦は、「普通の」良い試合だった。「普通の」というのは「平凡な」という意味ではない。レッズが主導権を握って攻めながらなかなか点が取れないとか、レッズが相手をリスペクトしすぎてうまく攻められないとか、これまでの浦和vsG大阪のパターンとは違い、どちらも持ち味をしっかり出した好試合だった、ということだ。G大阪がパトリックのスピードで先制すれば、レッズは得意の二次攻撃から同点に追い付いた。李のダイビングヘッドや、そのリバウンドを詰めた興梠のシュートも、個人の持ち味を見せてもらった。
 ただ、この日のレッズは引き出しが少なかった。いや、攻撃の持ち味が入った引き出しは多いのに、柏木の負傷欠場でいくつか鍵がかかっていたのだ。1人の選手の欠場で戦力が大きくダウンすることはなくても、柏木の不在で攻撃のバリエーションが減ったことは間違いなく、G大阪を相手にした決勝では、それが勝敗を分けることになった。
 後半、ふたたび勝ち越されたが、1−2から追い付こうとして逆に3点目を食らう悪癖も出ず、1点差で我慢をしながら同点を狙うサッカーができていた。途中、左のワイドに入った高木から何本も良質のクロスが上がっていたし、それ以外にも決まっておかしくないチャンスが何度かあった。それでも負けた。ただの負けではなく、タイトルを逃す敗戦であり痛すぎたが、試合として見ごたえのある決勝だった。

 あの決勝に柏木がいたら…、とは言いたくない。それは他の選手たちに失礼だ。
 だが、こう言ってもいいだろう。
 2015シーズンは、攻撃での連係も向上し、好守の切り替えも速くなり、得点するまでの我慢強さも身に付けた。さらに勝つことにこだわる試合運びにも着手した。このサッカーを柏木を含めたメンバーでやったら、どんな試合になるのか。
 2016シーズンは、それを何度も見せてもらおう。
EXTRA
 31日から指宿キャンプに来ている。この「振り返り」に決着をつけないと、シーズンが明けない気がして、キャンプのことは何も書けないでいた。だからと言って、これからバンバンとキャンプ情報をアップできるとも限らないのだが。
 とりあえず今日18時からの「週刊☆サッカー王国」で電話生出演します。まずは、そちらで。

(2016年2月5日)

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