Weps うち明け話 文:清尾 淳

#894

ギプスの効果

「大リーグボール養成ギプス」は、今でこそ笑いのネタにされてしまっているけど、僕の現役時代(サッカーの現役ではない。リアルタイムで「巨人の星」を見ていたという“現役”)は、その信憑性を疑うことはなかった。たしか漫画雑誌の通信販売でも売っていたような気がする。買わなかったのは、それが怪しげな通販広告であり、きっと「本物」ではないだろうと思ったのと、お金がなかったからに過ぎない。
 今では「科学的にナンセンスなモノ」と言われて、そうだったのかとガッカリしながらも納得しているけど、それでも「強い力を身に付けるために、過酷な条件でも人並み以上の力を出せるような訓練を積む」という代名詞として「大リーグボール養成ギプス」の名前は使える(と僕は思っている)。

 1月31日に指宿に来て、2日に九州東海大学(東海大学熊本サッカー部)と練習試合。レッズは10人でほぼ全員が90分を戦った。意図して人数を減らしたのではなく、ケガ人や未合流の選手がいたための措置だった。だがハードなトレーニングを積むという意味では効果的だっただろう。いつもより広い範囲を走らざるを得なかった選手たちは、試合後の疲労を隠さなかった。そして翌日と翌々日は普通の2部練習を行い、臨んだ2月5日の柏との試合だった。
 ルーズボールやパスへの出足が一歩遅れる。相手との1対1で勝てない。出し手と受け手の意図が合わない。約1か月前の天皇杯準決勝では同じ相手にできていたことができないのは、見ていてちょっと辛かったが、公式戦ではなく、あくまで練習試合。それも仕上がり具合を見る練習試合ではなく、練習のための試合なのだ。

 試合後に話を聞いた梅崎が、「合計60分やった後とは思えないくらいの疲れ」を口にしていた。天皇杯準決勝では2倍の120分を戦った後で「それほど疲れていない。まだやれます」と言った男が、だ。
 それを聞いて「ああ、今は大リーグボール養成ギプスをつけてプレーしているようなものだな」という考えが浮かんできたのだった。

 そして6日も7日も2部練習は続き、8日に韓国・大田シチズンとの練習試合を迎えた。
 90分を2試合行い、相手が違うので比べるのは難しいが、だいぶ疲労の中での試合に慣れたのかな、と思わせるようなプレーが見られた。2試合目の後半、ヘディングシュートで決勝点を挙げた石原に「柏戦よりもだいぶ動けていたように見えた」と聞くと、同じ2部練習でも7日の午後は軽めだったから、という答えが返ってきた。それだけで試合の動きが変わってくるほど、柏戦はハードなコンディションで行われたということなのだろう。

 ミシャ監督のこういう練習には慣れている梅崎は、柏戦の先ほどのコメントの後に「この(疲労の)感触は予定どおり」と付け加えていた。そして大田シチズン戦で、石原のゴールを左クロスでアシストした後、小さく拳を握りガッツポーズをしていた。厳しい環境の中でも、確実に結果を残していくことが、自分の成長につながり、監督の信頼を勝ち取っていくことだと知っているからだろう。
 ただし「メンバーを見れば1試合目がレギュラー候補でしょうし、そこに入っていないというのは…」と悔しさも強かったようだ。

 二次キャンプも半ばを過ぎた。9日に初めてのオフがあり、徐々にハードさも緩やかになって来たようだ。
そんな中で迎える12日の、長崎との練習試合はどんな内容になるか。遠藤航が出場するかどうかも合わせて、楽しみは尽きない。
EXTRA
 日付を書いて初めて気がついた。今日は祝日で、更新ができないのか(泣)。周りにカレンダーのない生活をしているとこういうことになる。これがアップされるのは、長崎との練習試合が終わってからで、その内容に関してはまた次回に…。と言いながら、それも早くても15日の夕方になってしまうのだが。

(2016年2月12日)

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