Weps うち明け話 文:清尾 淳

#900

パートナー

 5月16日、浦和駅前でレッズの淵田代表はじめクラブスタッフが、18日のACLラウンド16第1戦のFCソウル戦への来場を呼び掛けるチラシ配りをした。
 今後、そういうこともやる、とは聞いていたが、集客が危ぶまれるFCソウル戦はまさにそのときだったのだろう。他のクラブであれば、スタッフどころか選手もやっていたところがあるのだから、それと比べれば、何を今さら、と思われるだろうが、レッズとしては異例だ。そのチラシ自体でどれだけ今日のチケット販売に効果があるかはわからないが、クラブスタッフがチラシ配りをやる、というのはアピールになる。
 そして翌17日には、浦和と名がつく各駅でレッズサポーターの有志が同じチラシを配った。僕が会ったのは21時半ごろだったから、相当遅くまで頑張っていたのだろう。時間帯が違うから前日とは違う人たちへのアピールになったのではないか。
 14日のJリーグ新潟戦が終わった段階では券売が1万3千枚程度だったが、18日の試合に2万1千人を超える入場者があったことと、この活動は無関係ではないと思う。

 浦和レッズのスタッフが駅前でチラシ配り、と聞いたとき、あまりレッズに詳しくない人は「ああ、やっぱりレッズ大変なんだな」「レッズ存続を訴えるチラシか」と勘違いしたかもしれない。
 今朝も朝、テレビをつけていたら「浦和レッズ」の名前が出た。試合の話ではなかった。月曜日にも複数のテレビが朝の情報番組で取り上げており、「浦和」「レッズ」でお任せ録画する、うちのブルーレイレコーダーが録っていた。スポーツ新聞でも先日は「浦和が身売り」という見出しをつけていた。

 これを読んでいる人には釈迦に説法というやつだろうが、一応触れておくと、一つの企業が2つ以上のJクラブを直接、間接を問わず支配することをJリーグは禁じている。日産自動車が三菱自動車の筆頭株主になると、その三菱自動車は浦和レッズの筆頭株主だから、レッズのクラブ運営に日産の影響が及ぶ関係になる。日産はすでに横浜F・マリノスを支配関係にあるから、Jリーグの規約に抵触する、というわけだ。

 まだ日産自動車が三菱自動車の筆頭株主になったわけではないので、即NGとはならず、いま関係者が揉んでいるのだろう。その結論によっては、三菱自動車がレッズの株の大部分(筆頭株主でなくなるまで)を手放さないといけなくなる。ちなみに日産自動車がマリノスの株を手放すという道も理論上はあるが、現実的ではない。

 先日、レッズの経営数値が発表されたが、それによると2015年度(2015年2月〜2016年1月)は5千万円以上の純利益を出し、これで5年連続の黒字だ。この黒字は、足りないところを筆頭株主の三菱自動車に補填してもらっての黒字ではない。その関係は2004年度で終了している。
 レッズの黒字はパートナー収入、入場料収入、グッズ収入の基本三本柱に賞金(去年はけっこうもらったはず)などを加えたものから、かかった経費を引いた、普通の黒字だ。
 パートナー収入は、胸のロゴのポラスさんを筆頭に広告収入として適正に得ているものだ。三菱自動車からもパートナー収入があるが通常の広告収入だけであり、親会社からの損失補填とは性格が違う。三菱自動車は歴史上では、そして株式では浦和レッズの「親会社」ではあるが、現在の経営まで面倒を見てもらっている親会社ではない。

 浦和レッズは企業として独立採算でやっていけているのだということをはっきりさせておきたい。メディアも今後報道するときは、そのこともきちんと伝えて欲しい。
 赤字のクラブを抱えきれなくなった親会社が、別の会社にクラブを売る、というのとは違うのだ。

 Jリーグの規約により三菱自動車がレッズの株を手放すことになっても、それは株式を保有する会社が替わるだけで、身売りではない。それに三菱自動車とレッズが喧嘩別れするわけではないのだから、クラブの名前やチームカラーを変えろというような企業に売却することはないだろう。
 具体的な流れには僕の想像が及ばない。
 レッズの資本金は1億6千万円だが、株式は公開されていないので、売買されるときの金額は売り手と買い手の話し合いによって決まると思われる。今のレッズの株がどれくらいの価値になるのかわからないが、こういう状況だからべらぼうな額にはならないのではないか。
 三菱グループ内の企業が新たにレッズの筆頭株主になるのか、他のパートナー企業がある程度の割合を持ってくれるのか、ホームタウンの企業にも少しずつ持ってもらうのか、あるいはレッズが持株会社を作るのか。
 また何も三菱自動車が現在の株を手放さなくても、比率を変えればいいのだから、レッズが増資を行い、三菱自動車以外の企業に引き受けてもらうという手もあるだろう。こちらの方が現実的かもしれない。

 ところで新潟戦前日(5月13日)の記者会見で、ミシャ監督がこの件に関する質問を受けた。
 その答えの最後に「パートナーとは、困っているときに助け合うもの。三菱自動車にはずっとクラブを支えてもらったのだから、今度は我々が支えたい」という言葉があった。
 たしかにレッズの母体であり、10年以上経営の損失補填をして支えてくれた会社を、不祥事を起こしたからといってレッズから縁を切るような態度は取るべきではないと思う。不祥事の問題ははっきりと解決してもらわなくてはいけないが、それは別の話だ。
 たとえ今後、三菱自動車がレッズの筆頭株主でなくなっても、「生みの親」であることは変わらない。その関係までも断ち切る必要はないのではないか。

 レッズが「スポンサー」ではなく「パートナー」としている意味をあらためて考え直した。

EXTRA
 今朝のテレビは、前回と違い、レッズが企業として経営的に問題ないことをはっきりと伝えていた。だったら、横浜フリューゲルスの例を出すときに、そういう状況が違うことも言わなければならないのではないか。
 あるいは海外資本が手を伸ばすことについても同様で、オーナーの資金力を背景に多額の年俸が必要な有名選手を獲得しているプレミアリーグとも状況が違うだろう。

(2016年5月19日)

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