Weps うち明け話 文:清尾 淳

#911

自分たちの位置

 忸怩たる思い、という言葉はどういうときに使うのか。

 たとえばFIFAクラブワールドカップの決勝でレアル・マドリードを鹿島アントラーズが追い詰めたという報道を見聞きしたときは、忸怩たる思いではない。
 ジクジクした思い、だ。
 ああ、傷はまだカサブタになっていないな、ジクジクしているな、と。

 では、これはどうだ。
 僕に海外メディア関係者の知り合いがいたら、きっとこんな会話を交わしただろう。
「セイオ。カシマってリーグ戦では3位だったんだって?」
「そうさ。しかもシーズン後半は11位で、首位より15ポイントも下だったのに、プレーオフで勝ってJリーグチャンピオンになったんだ」
「すごい大逆転だったんだな。で、あのFCWCで準優勝した鹿島より年間で15ポイントも多く勝点を取っておきながら、プレーオフで負けたクラブってのは、いったいどこなんだ」
「…忸怩たる思いであります」
 難解な言葉を使って逃げるな。平たく、小っ恥ずかしい、と言え。

 さて、チャンピオンシップ決勝で鹿島に負けたのは残念であり、また「小っ恥ずかしい」部分もないではないが、リーグ戦34試合に関しては何も恥ずべきところはない。1stステージでミシャ監督就任後初の3連敗を喫しても崩れず、逆にそこから9年ぶりの5連勝を果たした。ダービーで引き分けたのは痛恨の極みだが、それは別次元の話であり、リーグ戦としては10試合を9勝1分けの負けなしだったのだ。「優勝するチームは連敗しない」というが「優勝するチームは、連敗しても、その何倍も連勝する」というのもまた真理だ。そして06年にリーグ戦を制したときよりも多い勝点74を挙げたのもまた事実だ。
 それがどうした。結果がすべてだ。優勝しなければ何の意味もない。そういう意見もあるだろう。
 だが、すべてのことに意味はある。

 たとえば05年、G大阪は勝点60で優勝した。2位から5位までの4チームがすべて勝点59と、星をつぶし合った結果だ。浦和レッズもその中の一つだった。勝点60は長らく18チーム体制での最低優勝ラインだったが、このたび勝点59の鹿島がプレーオフで勝ってリーグチャンピオンになった。
 05年も2016年もレッズは2位だったが、そこには大きな差がある。
 05年は1年を通して、優勝したG大阪、3位の鹿島、4位の千葉、5位のC大阪に一度も勝てなかった。それでも2位になれたのはリーグ戦の妙という奴で、それ以外のチームに勝ってきたからだ。もし05年にレッズが優勝していたら、喜びのどこかで(でも上位のチームには一度も勝てなかったんだよな)という引け目も少し感じていただろう。
 一方、2016年は横浜FMにだけ2分けだったが、残りの16チームとは1勝1敗以上の成績だ。どこにも負け越していない。そして前述したように連敗の何倍も連勝し、年間勝点では一番になった。
 結果としては同じ2位だが、その内容は違う。

 強がることに意味はないが、必要以上に卑下することにも意味はない。次へのスタートの前に、自分たちの位置をしっかり見ておこう。

(2016年12月22日)

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