Weps うち明け話 文:清尾 淳

#917

再戦

 大丈夫。次は勝つ。
 そして後半取った2点が生きる。

 3月15日(水)の上海上港戦が2−3で終わった直後は、寒さと悔しさで脳の容量が少なくなっており、さらにその後の仕事の段取りなどで少ない容量を使ってしまっていたが、仕事を終えて一息つくと、4月11日(火)に控えたホームでの上海上港戦のことを考える余裕ができた。

 ミシャ監督になってから過去3回ACLに出場したが、その全てでレッズは中国勢と対戦してきた。2013年は広州恒大、15年は北京国安、16年は再び広州恒大。レッズのホームでの結果は、勝ち、引き分け、勝ち。一度も負けていないのだ。ちなみに10年前のACLでも、ホームで上海申花に勝っている。レッズはホームで中国勢に強い、と言ってもいい実績がある。

 なにも、過去がそうだから今年も勝てる、という単純な発想で言っているのではない。過去、ホームで中国勢に勝ってきたのには理由があるからだ。
 ここ数年の3回、中国勢とはいずれもアウェイで先に対戦した。結果は1分け2敗と芳しくない。しかしホームでは前述したように真反対の成績。これにはホームとアウェイの差、だけではない背景があるに違いない。

 ACLの序盤で、レッズがアウェイ戦で結果が思わしくないのは、相手のサッカーに慣れないことが理由の一つにあるだろう。
 上海上港を例に取ると、オスカル、エウケソン、フッキのブラジル人トリオと、7番のウー・リーらが、レッズボールになってもハーフウェイラインより後ろに下がらずにいた。前線の2人ぐらいは残っているチームはJリーグでも見かけるが、ここまでのチームは記憶にない。全ての選手に厳しいプレスを掛けてきた、柳下正明監督時代の新潟くらいだろうか。つまり、うまくて強力な攻撃陣を何人も擁しているチームとの対戦に慣れていないし、特に上海上港とは初対戦だった。
 慣れない相手の布陣。ブラジル人トリオへの極度の警戒心。思わぬ形での早い時間の失点。Jリーグではめったに感じない「どアウェイ」のムード。そんな背景があって、上海上港戦の前半は思うように力を出せずバタバタしてしまったのだろう。
 思えば13年の広州恒大戦はレッズにとって5年ぶりのACLであり、しかもシーズン初戦。本当に何もできずにやられてしまった印象が今でも残っている。15年の北京国安戦も初顔合わせの相手だった。16年の広州恒大戦は2度目の対戦だったが、リカルド・グラル、パウリーニョ、ジャクソン・マルチネスといった助っ人勢とは初めての対戦だった。3戦とも今回の上海上港戦と共通するところが多い。

 しかし一度対戦して相手のチームと個人の特長をつかんでしまえば、必要以上のリスペクトもなく、マークが外国籍選手に偏りすぎることもなくなる。ましてやホームゲームで、落ち着いて自分たちのサッカーを展開できる。そうしたときのレッズは、たいていのチームには負けないはずだ。
 そう考えて17日(金)、槙野に聞いてみた。
「中国勢とはアウェイで1分け2敗、ホームで2勝1分け。この差は何か」
 槙野は「常にアウェイ戦が先に来ているからだと思う。対戦して相手のことがわかってきて、俺たち行けるんじゃないか、となったときには後半で、もう試合が終わっている」と語った。裏を返せばシーズン2度目の対戦となるホームでは、初めから相手のことがわかっているから、普通にやれる、というわけだ。そして、普通のときのレッズは強い。上海上港戦の後半、2点を返したのは、その兆候が見え始めたと言ってもいい。それぞれもったいない形で3失点してしまったのが本当に悔やまれる。
「だから、アウェイの試合の前には『相手をリスペクトし過ぎるな』とは言ってるんですけどね」と槙野。超人ハルクへの対策は必要だが、それも含めてホームでは改善された試合が見られるだろう。

 3失点は大きいが、2点取ったのは、なお大きい。ホームで1−0か2−1、あるいは2点差で勝てば、勝点で並んだときには上海より上位になるのだ。
 中国語で「さよなら」は「再見」で、英語の「SEE YOU AGAIN」と似たニュアンスだ。
 上海体育場から帰るとき、残っていた上海上港の広報担当者(だと思う)に、「再見」とあいさつして出てきたが、僕の頭の中には「再戦」という言葉が浮かんでいた。
「領収書をください」だけでなく「次はこっちが勝つぞ」も覚えておけば良かった。

(2017年3月17日)

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