Weps うち明け話 文:清尾 淳

#919

勝ちたい場所

 開幕戦だから、ということはあった。
 トップの試合がしばらくないから、と日程が許したこともあった。
 しかし、3月26日(日)に長野Uスタジアムへ向かった一番強い動機は、去年初めて行って負けたから、ということのような気がする。

 昨年のなでしこリーグ、浦和レッズレディースは開幕戦で日テレ・ベレーザに先制しながら引き分けるという惜しい試合を行い、その後のホームではアルビレックス新潟レディースに敗れた。第3節の相手は、1部初昇格(現体制では)のAC長野パルセイロレディース。アウェイだったが、初勝利を見ないことには開幕した気がしない、という思いで、南長野運動公園総合球技場(当時)に行った。昇格組だから勝てる、という甘い気持ちもどこかにあったことは否定しない。

 しかし負けた。長野のパワフルでスピードを生かした攻撃に2点を奪われた。レッズは、当時特別指定選手だった山守杏奈が途中出場して、強烈なシュートで1点を返したが、それまでだった。昇格組に敗れたことの衝撃もあったが、それよりもJ3のAC長野パルセイロと一体となったポスターが街のいたる所に張ってあったり、お年寄りが長野のマフラーを巻いて篠ノ井駅のホームにいたりと、ホームタウンの雰囲気に感心した記憶がある。試合も2500人以上の入りで、かなりの熱気だった。

 決して嫌な思い出だけだったわけではなく、あのホームタウンが盛り上がっている長野に、アウェイで勝ちたい。その思いは約1年間どこかでくすぶっていたのだろう。今季のなでしこリーグの日程が発表され、スケジュール的に「行ける」とわかったとき、すぐに「行く」に変わった。

 長野は昨季、リーグ3位と躍進。昇格1年目としては最高の成績らしい。片やレッズレディースは残留ギリギリの8位。昨季の成績からすれば、こちらが挑戦者である。
 だがチームはシーズンをまたいで変貌することが少なくない。特に今季のレッズレディースは、石原孝尚新監督が就任し、柴田華絵が新キャプテンになり、ある意味で「レッズキラー」のイメージさえあった菅澤優衣香が加入し、という「新生」の意味が強い。さらに清家貴子もケガから復帰し、白木星や塩越柚歩が昨季1年で力を付けてきた。練習試合の結果も上々で、非常に楽しみなシーズンインとなった。

 開幕戦でまず注目したのは、北川ひかる、乗松瑠華の2人がケガで離脱しているDFの布陣だった。
 メンバー表を見て、レディースユース時代はボランチか攻撃的MFでずっと出場していたはずの木崎あおいの名前が、左サイドバックと思われる箇所に記載されているのに少し驚いた。だが、それは練習を見ていない僕の勝手な考えであって、北川がケガをしたころから、木崎はずっと左サイドバックでの練習に励んできたらしい。ユースから昨季昇格した同期の塩越や遠藤優に比べて試合出場が少なかった木崎だが、このチャンスをモノにして欲しいと思った。
 出来はまずまず、初先発ということを考えれば上々だったと思う。ボールを受けて、無理をせず近くの味方に預けるところと、縦に突破するところの判断も良かったし、守備では相手のドリブルをスライディングタックルで阻む場面もあった。次の試合ではもっと慣れてくるだろう。

 試合が始まって感じたのは、攻守にわたってチームの組織的な動きが増えているということだ。ボールのあるところで数的優位を作り、マイボールの時間を増やしていた。必然的に運動量も多くなっているだろう。その中で、昨季は縦への動きが中心だった塩越が広範囲に顔を出し、貢献しているのを感じた。
 また、後半途中から出場した菅澤の、ロングボールをうまく収める様子に感心した。パスを受けて、すぐ次のプレーに移れば、DFは対応しにくい。そのプレーで、レッズがやられた記憶がよみがえってきた。シュートの意識も高く、しかも枠内に正確に飛ばすのは、さすがに日本代表FWだ。

 前半は圧倒的にレッズが押しながら0−0。後半は、長野の横山に何度かゴール前を脅かされたがよくレッズが守り、レッズの得点機を長野のGK望月ありさに防がれる、という展開だった。41分に、ミスから横山にボールを奪われ、そのまま決められてしまい、0−1の敗戦となった。非常に残念な内容だった。

 大丈夫。次は勝つ。
 とは言えない。
 そう確信が持てるほど、今季のレッズレディースを取材していない。
 だが4月2日(日)の第2節、ジェフ市原・千葉レディース戦では、昨季より成長した個人とチームを見せてくれるはずだ。それは開幕戦を見て、間違いなく感じた。「三日会わざれば刮目して」見なければいけないのは男子だけではない。
 ぜひ、多くの人に浦和駒場スタジアムへ足を運んで欲しい。
EXTRA
 リーグ戦でAC長野パルセイロレディースに、向こうのホームで勝つ、という目標は持ち越しとなった。来年も可能な限り都合を付けて行きたい。
 そして男子に目を戻せば、リーグ戦でまだ勝利がないノエビアスタジアムでのヴィッセル神戸戦が1日(土)に待っている。相手は開幕4連勝の首位。そしてレッズは前節、連勝を逃している。二重、三重の意味で勝利したい試合だ。
 わずかなブレーク期間が終わり、4月からまたレッズ三昧の日々が始まる。

(2017年3月30日)

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