Weps うち明け話 文:清尾 淳

#930

2冠&2連覇

 2006年は浦和レッズがリーグ優勝と天皇杯の2冠、そして天皇杯では2連覇を成し遂げたシーズンだった。
 そのことを思い出した、というと大げさだろうか。

 9月17日と18日、静岡県の時之栖スポーツセンターで、U-15プレナスなでしこアカデミーカップ2017の準決勝、決勝が行われ、浦和レッズレディースジュニアユースが優勝した。
 同大会は、なでしこリーグ1部2部およびチャレンジリーグ所属する女子クラブの中学生年代の育成チームが参加する大会で、2014年に試験的に第1回大会が行われ、年々整備されてきた。現在は参加チームを地域によって3ブロックに分け、それぞれのブロックでリーグ戦を行い、上位チームが決勝トーナメントに進む方式だ。

 浦和レッズレディースジュニアユースは第1回大会で優勝し、昨年の第3回大会でも優勝。そして今回は、EAST9チーム中8戦全勝の1位で決勝トーナメントに進み、準決勝、決勝を共に0−0PK戦で勝利した。
 準決勝の相手はノジマステラ神奈川相模原アヴェニーレ、そして決勝の相手はJFAアカデミー福島。偶然にも―、ある意味では必然でもあるのだが―、今年の7月にレディースジュニアユースが全日本女子ユース(U-15)選手権で優勝したときの準決勝、決勝と同じ顔合わせだった。ある意味で必然、というのはみんな強いチームだからに他ならない。

 夏の全日本女子ユースと合わせて2冠、そしてアカデミーカップは2連覇。
 それだけで2006年の浦和レッズを想起したわけではない。
 2006年の2冠、その特徴は何だったろうか。
 それはリーグ戦にそれほど多く出場していなかった選手が天皇杯の主力として戦い、優勝したことだ。都築龍太、永井雄一郎、岡野雅行、細貝萌、小野伸二…。みんなリーグ戦では毎回メンバーに入っていたし、試合にも出て活躍していたが、先発の常連ではなかった。そういう選手たちが自分たちの力を証明したのが、第86回天皇杯だったと思う。まったく、ぜいたくなチームだった。

 今回、アカデミーカップの準決勝、決勝に臨んだレッズレディースジュニアユースも、全日本女子ユース選手権で優勝したときの主力メンバーが何人も抜けていた。1人は現在行われている「AFC U-16女子選手権タイ2017」のU-16女子日本代表として、5人はレディースユースの公式戦に出場するため。
 全日本女子ユースの決勝は1−1PK戦でレディースジュニアユースがJFAアカデミー福島に勝った。元々の力は拮抗していると思ってよく、単純に戦力だけで考えると、そのときよりダウンしている今回のレッズは大丈夫だろうか、と不安だった(Jアカからも1人がU-16女子日本代表に招集されているが、他の先発メンバーは全日本女子ユース決勝のときとほぼ同じ)。

 決勝の展開は意外なものだった。序盤こそJアカのパワーに押された場面もあったが、その後はレッズが盛り返し、後半に至ってはレッズが完全に主導権を握っていた。要因の第一は球際で負けなかったことだろう。先発11人の平均身長で約5?レッズが低かったのだが、1対1の局面ではレッズの方に分があった。もう1つはパスコースを作る周りの動きだったように思う。後半、レッズに1点が入ってもおかしくない場面が何度もあったのに対し、Jアカはボールを奪ったときに攻め込む人数が少なく、遠めからシュートを打つしかなかった。結局0−0でPK戦になったのだが、レッズが勝つとしたら守って守ってカウンターで点を取るか0−0でPK戦に持ち込むかしかないな、と勝手に思っていた僕の予想は、結果だけが合って内容は完全に外れていた。

 GKの寺田汐はPK戦で相手のキックを止めたわけではなかった。だが、ギリギリまで待って飛んだ方向のほとんどが、相手のキックと合っていた。僕の勝手な想像だが、Jアカのキッカー7人のうち2人が外したのは、寺田の動きを見て厳しいコースに蹴らないと止められてしまうと思ったからではないだろうか。だとすれば、これも2006年の天皇杯準々決勝でレッズがジュビロに勝ったときのPK戦と同じではないか。あのときは両チーム合計19人のキッカーが誰も外さなかったのだが、都築の飛んだ方向がことごとく合っていたので、ジュビロの10人目がポストに当ててしまったと僕は思っている。
 それは考えすぎかもしれない。だが寺田が語った「この2年半、ほとんど試合には出ていなかったが、いつ出ても良いように準備はしてきた。この準決勝、決勝に出られるのがうれしくて、絶対に自分たちの手で2冠目を獲ろうね、と話していた」という言葉。これが一番の勝因だったのではないだろうか。
 
 こう書いてくると、今季のレッズレッズレディースジュニアユースの2冠が、2006年の浦和レッズを思いだしたというのは、おおげさではないように思えてきた。

(2017年9月23日)

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