「国共合作ってこういうことか…」
上海の源深スタジアム。両チームの選手入場をメーン側のタッチライン沿いで待っていたら、正面に見えるバックスタンドで上海申花サポーターの大移動があった。
それまではものの見事に二つに分かれて応援していた上海申花の球迷(サッカーのサポーター)たち。間違いなく僕から見て左が旧上海聯城(ユナイテッド)のサポーターだろう。そして右が旧上海申花のサポーターたち。じゃ右が主流派かというと、そう単純ではない。
両クラブは合併したというものの、実質的には下位の聯城が上位の申花を買い取った形。しかし新しい名前は申花。だけど監督は旧聯城のヒメネス。一度ではよく分からない関係で、しかも旧2クラブの融合は決してうまくいっていないようだ。試合前日の監督記者会見で、中国人記者からはヒメネス監督に厳しい質問も飛んでいた。
クラブやチームがそうなら、サポーターだって簡単には一つになれないだろう。Jリーグでも見ることがある「割れた」状態で試合前のコールをしていた。
ところが、さあ選手入場だ、というそのとき、旧申花側から旧聯城側へ1人、また1人と走っていく。最後はなだれをうつようだった。
何があって、誰が何を言ったのかはわからない。しかし2,000人以上はいたと思われるレッズサポーターのコールを聞いて、「ただでさえ、こっちの方が少ないのに、2つに分かれていてチームを勝たせることなんかできない。ここは行きがかりを捨てて、一緒にやらなければ」と感じたことは容易に想像できる。彼らが合併後ずっと分かれていたのか、最近そうなったのかは知らない(調べておこう)。
でも強大な敵(レッズサポーター)に対して、諍いをやめて協力し合おうということになり、これが機会で彼らが今後もずっと統一して応援していくとしたら、4月25日は何と記念すべき日であり、レッズとの対戦がなかったら、ありえなかったことだろう。
こういう話を戦争に例えてしまうのは良くないかもしれないが、第二次大戦中、中国国民党と中国共産党が、日本に対して統一戦線を組んだとされる「第二次国共合作」という言葉が浮かんでしまったのだ。
しかし、そんなことよりも、あんな試合してちゃいかんじゃないか!レッズ。1人足りなくなってようやく火がついたか、と思ったのは僕だけか? |