Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#118
A3リポート・2「ホイッスル」
 新聞は安い!

 たいていのものは日本より安いが、ちょっと気取った店に行って食事すると日本のファミレス並みだったりする。ほとんどの店で6元(100円ちょっと)で飲めるビールが、その半分の大きさの瓶で20元だったりしたときはびっくりした。別にビールばっかり飲んでいるわけじゃないぞ。

 仕事柄、どこへ行っても現地の新聞を買うことが多い。Jリーグで試合のあと泊まりになるときは翌日の大分合同新聞とか中国新聞(広島)、新潟日報などをなるべく買う。
 山東魯能戦の翌日、ホテルの近くの新聞売りのオバちゃんから週刊のスポーツ新聞らしきものを買った。「体〓周報」(〓は「土へん」に「云」、読み方は「ウン」か?)というやつで、上海でも見た。1.5元だった。25円ぐらいで、まあまあの値段だ。もう一つ「生活日報」という日刊紙らしきものも買った。オバちゃん、言葉が通じないのをわかってるから、指を3本立てた。3元か、こっちは高いけど少し厚いからしょうがないか、と思い。10元札を出した。オバちゃん、手を振り細かいのを出せみたいな仕種をする。7元のお釣りがない訳ないだろ、と思いながら同行の小齋君に3元借りる。と、オバちゃんはそこから1元札を1枚だけ引き抜き、おつりを7角よこそうとする(1角は1元の10分の1。すなわち1.8円弱)。なに!「生活日報」の隅を見ると0.3元と書いてある。3角?じゃ5円ちょっとかよ!小銭入れに1角コインが3枚あったので、ちょうど支払った。

 タブロイド版40ページの日刊紙が5円…。中国の新聞記者の給料が思いやられたが、考えたら山東省だけで8千万人が住んでいるのだ。発行部数もハンパじゃないだろうから僕が心配することでもない。
 ところでその新聞スタンドのオバちゃんは、僕が日本人でサッカーを見に来たと言うと笑顔で何やら言う。どうも「昨日は山東のチームが日本のチームに勝ったね」みたいなことを言っているらしい(小齋説)。でも威張る訳ではなく、ただの愛想の良い人みたいだ。
 今朝(11日)も試合の翌日なので、そのスタンドに新聞を買いに出た。もう8時近くになるのに、まだ新聞を仕分けしているところだった。オバちゃんは僕の顔を見るとニヤッと笑って、まだ何も言う前から「生活日報」を抜き取り、さらに「山東商報」「済南時報」「斉魯晩報」を選び渡してくれた。なんだ?たしかにいろいろ買おうと思ってたけど、何も言わないのに(言えないけど)よくわかるなあ。
 で、値段は4紙で1.7元。「生活日報」が0.3元だから、あとの3紙で1.4元。やっぱり1紙=0.4〜5元だ。安いわ。

 また試合のことには何も触れないで終わりそうになったが、一つだけ。ホントはこっちを書きたかったのが、朝の散歩で新聞を買ったために余計なことを書いてしまった。
試合中のホイッスルの多さには辟易する。いや、レフェリーの話じゃない。スタンドの観客だ。Jリーグではホイッスルの使用は禁止になっているはず。もちろん試合中に吹かれるとレフェリーの笛とまぎらわしいからだ。
 禁止されているからと言って守られるとは限らない。現に過度の席取りやスタンドでの喫煙は日本でも(浦和では、か?)なかなかなくならない。ところが、このホイッスルに関しては、Jリーグの試合でほとんど聞いた記憶がない。なぜだろう。
 僕の推測でしかないが、日本のサポーターは、多少のマナー違反や過激な応援はあっても、試合を壊すことはしない。そういうことではないか。
 昨日の試合、城南一和−レッズ戦では、レッズがボールを奪うたびに「ピー!」とまるでレッズが反則をしたかのうような笛が鳴っていた。ただドリブルだけしているときやパスを回しているときには鳴らさない。相手と競り合いになって、レッズボールになったら「ピー!」。城南ボールになったら鳴らない。そのタイミングは絶妙だ。すなわち、レッズの選手が「今のがファウル?」と思って一瞬でも足を止めたらもうけもの、ということだろう。吹いているのは城南一和のサポーターではなかったようだが。たぶん、中国では「頭脳的な応援」とでもされているのだろうか。Jリーグの関係者に聞いたところ、中国でもやめさせようとはしているらしいが、呼び掛けてもやまないし、やっている人物も特定できないから匙を投げた状態らしい。
 城南−レッズ戦の後、仕事が一段落して、第2試合の山東−上海戦を少し見た。後半40分になって2−1で山東がリードしていた。45分を過ぎると「ピー、ピー、ピー!」と試合終了のホイッスルが何度もこだました。日本でもロスタイムになると勝っている方のチームのサポーターが指笛を鳴らすことはある。だが音色がまったく違うから混同することはないし、あの意味は「もう終わりだろ」ということだろう。
 だが昨日のホイッスルは、1点を目指して反撃する上海の選手に諦めさせようとする意図がありありだった。僕は見ていて「山東の選手が終わったと思って気を緩めたスキに上海が点を決めたら面白いのに」と期待していた。実際の終了のホイッスルが鳴ったときも、すぐには信用できなかったほどだ。
 ったく、国土は大きいけど、やることはセコい(ヤツがいる)国だ。

 正直言って、中国にまた来たいとは思わない。だけど来年のACLで山東魯能と当たって、ここで勝つためならもう一度来てもいいな、と昨日は思った。Jリーグやクラブの運営はセキュリティが大変かもしれないが。

 遅ればせながら乾杯!アジアのアウェイで初勝利に。
(2007年6月11日)
〈EXTRA〉
 MDP299号の自分のコラムで「試合のとき以外は中国の人とできるだけフレンドリーになる機会を探したい」みたいなことを書いたが、ACLの上海ではなかなかそれができず、今回も今のところ「中国人て、こんな良いところがあるよ」と他人に言えることを発見していない。インドネシアでは2泊3日で、この国の人は総じてにこやかで、フレンドリーだという印象を持ったのに。
 たかだか3日や10日で、その国の何がわかる、というのも道理だが、印象というものは案外正確なところもある。この国に来て接したカメラマンたち、警察官たち、ホテルのフロント、そしてサッカーの観客…。今のところ「カンベンしてよ」という印象しかないのが残念だ。今日を入れてあと4日間。その印象を覆すような出来事を期待しているから、上記の原稿に(ヤツがいる)としておいたのだが。
 11日の新聞は昨日の「乱闘がらみ」の写真ばかりだった
済南時報のスポーツ面のとびら(だと思う) 山東戦の記事はカラー写真(8日付生活日報)
オジェックは「奥西克」らしい  
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