Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#147
オフ
 久しぶりにアラームをかけずに寝た。これまでもアラームをかけるのを忘れて寝てしまったことや、アラームが鳴っても起きられなかったことはあるが、寝るときに「明日はアラームで起きなくてもいい」と思えるのが何とリラックスできることか。5月8日は久しぶりに何にもしない、と決めた休みだった。今年に入ってから、調べてみると仕事を完全に休んだ日が何日かあったが、いずれも何か私用(ほとんどレッズ絡み)が入っていて、時にはいつもより早起きしなければならなかった。

 元々、僕は仕事の中でリフレッシュするようにしていたから、会社勤めのころから休みが少なくても不満はなかった。
 試合の写真を撮る、選手に話を聞く、サポーターと話をする、机の上で原稿を書く、写真を整理する、アウェイ遠征に行く、取材仲間と話す、サッカー雑誌やウェブサイトを見る、レッズのサッカーをビデオで再度見る、レッズ以外のサッカーをテレビ観戦する、ユースやジュニアユース、レディースなどカテゴリーの違うサッカーの取材をする、それらの原稿を書く、昔のレッズのことを書く、昔のレッズの写真を探す…。
 全部、仕事に絡むことだが、それぞれ違う仕事形態だし、対象も違う、場所もいろいろだ。3日間机で原稿を書くとか、朝から3試合続けて写真を撮るとか、丸1日サッカーをテレビ観戦するとか、そういう場合は疲れもたまりやすいが、適度なバランスで切り替えていくと、仕事自体がリフレッシュになる。だから、たまに午前中オフとか、早く帰るとかすれば休みは十分だった。こういう仕事をしている人は多かれ少なかれ、そんなところがある。僕の場合、そうしないと仕事が追いつかないということもあったし、フリーになってからは毎日、何かしていないと不安ということもあったかもしれない。

 だから「外せない私用があるからこの日は全面オフ」ということがあっても、「この日は休みだから何をしよう」という発想がない。考えてみると、埼玉新聞社で少年スポーツなどを手がけだしてから土日が休みでなくなり(当初は土曜はまだ学校休みでなかったが)、かといって決まった平日の休みもなかったから、そういう生活に20年以上浸っていることになる。
 その弊害を感じた。何もない休みの過ごし方、というのが実に下手だ。今は1人で仕事をしているわけではないので、僕が休まないと相棒も休みにくい。それで5月6日が終わったら、1日休むと約束していた。ただ7〜9日のうち仕事が入らない日、ということにしていたので、8日が休みと確定したのが、結局のところ6日の試合が終わってからだった。
 7日、仕事に出てたまっていた会社関係の事務手続きとリトルダイヤモンズの原稿を少し入れ、夜はレッズ関係者の懇親会に出て、さあ明日は何をしようか、と考えたがまとまらない。やりたいことがないわけではないが、1日しかない休みを果たしてそれに使ってよいのかとか、疲れを取らないと意味がないとか、いろいろな思いが錯綜して、結局とりあえずはアラームをかけずに寝ようと、まずはそれが一番のオフらしい行為だったのだ。

 Jリーグの選手たちは、正反対の生活サイクルだ。とにかく自分でスケジュールを裁量するということが極めて少ない。試合日程がまず決められる。それに基づいて各クラブで練習日程を決める。練習の時間帯は監督によって違うし、休みの考え方も違う。たとえば次の試合が1週間後の場合、試合の翌日は軽くクールダウンして、その翌日は休み、という監督が多いが、試合の翌日がオフで、オフ明けにクールダウンという監督もいた。スケジュールが発表されるのは前週だが、それでも週1ペースの試合ならまだ予想はつく。しかし何週間に1回かは水曜の試合が入ってくるし、4月のような連戦もある。そういうときには1日のオフというのはまずない。そして疲れが溜まってピークに来たかな、というときに「明日はオフ」となる。また連戦が何度か続いた後、しばらく空くときには、2日連休になったりするが、それも前々から予定されてはいない。試合の結果にもよるし。
 たとえば5月17日のガンバ戦が終わると、次のナビスコ名古屋戦は25日だが、休みは1日だけなのか2日あるのかわからない。6月8日のナビスコ名古屋戦が終われば28日の柏戦まで20日も空くので、当然オフもあるだろうが、それが3日なのか1週間なのか、その後ミニ合宿があるのかないのか、あるとすればどこなのか、見当はついても確定ではない。一番長いオフである、シーズンオフも、今の日本ではその始まりが決まっていない。天皇杯が初戦で終わってしまえば、Jリーグ最終節が最後の試合になるが、去年のレッズはFCWCがあった。06年、05年は結局翌年の1月2日からようやくオフになった。

 もしかしたらJリーグの選手たちは、休みの使い方に長けているのかもしれない。
 多くの時間は回復に費やさないといけないが、体力だけでなく精神のリフレッシュには何かアクティブな行為も必要だ。家族持ちには家族サービスもある。たまにしかない短い休みを、さてどう使おうか、などと考えている時間はもったいない。2日か3日の連続オフのあと、聞くと「家族で温泉に行きました」という選手もいるが、休みと聞いたときに、何をするかパッと決めてパッと行動する習慣がついているのだろう。まあ、仕事でやっているサッカーで、瞬時に物事を判断するのには慣れているのだろうが。

 そう思うと、去年の9月以降、徐々にステージが上がっていくACLとJリーグを並行して戦いながら、ほとんどの試合に出ていた選手たち、あるいは逆に試合にほとんど帯同しながら試合には出なかった選手たちの自己管理には感心する。
 高校生、大学生で「Jリーガー候補」はたくさんいるだろうが、その技術を強いプレッシャーの中でも発揮できなければプロにはなれない。そのことに加えて、上記のような変則的な生活サイクルを送りながら、自分のコンディションを保ち、試合で力を出していけるようにならなければ生き残っていけない。
 そんなことに考えが及んだ久しぶりの1日オフだった。
 結局、アラームをかけなくても朝6時には目覚めてしまったのだが。
(2008年5月9日)
〈EXTRA〉
 落し物か忘れ物です。次のMDPだと間がありすぎるので。このタオルに心当たりのある方、ご連絡ください。
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