Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#158
痛みはシグナル
 ケガをすれば痛い。痛いのはもちろん嫌だ。だけど痛みは人間にとって必要な感覚だ。

 身体のどこかを切って、出血したとする。ケガをしたこと自体に気がつかなくても、痛みでそれがわかれば、血が出ていることを発見し、手当てすることができる。もし痛みという感覚がなければ、ケガに気がつかず出血多量で重大な事態になってしまうかもしれない。
 ケガの例は極端かもしれないが、病気の場合は誰にも覚えがあるはず。具合が悪いという自覚症状があって病院に行き、そこで検査をして、風邪だとか食あたりだとか、時にはもっと悪い病気が発見される。どこまで具合が悪くなれば医者に診てもらうかは人それぞれだが、自覚症状がないと病気は見つかりにくい。だから定期健康診断などが大事なのだろう。痛みは人間の身体が、持ち主に対して発するシグナルなのだ。

 今季のレッズは痛い。
 残留争いの中にあるクラブに言わせれば、去年まで5年間連続で優勝に絡んでいて、今季はACLとナビスコ杯を逃したとはいえ、Jリーグはトップグループにいるのに、レッズは何を贅沢なこと言ってるんだ、となるだろう。だけど痛いのだ。いまレッズのクラブスタッフ、チーム関係者、サポーターで何らかの違和感を覚えない人はいないはずだ。
 痛いのは嫌だが、この痛みは病気かケガの自覚症状だと思えば、真剣に悪いところを探す気になる。だから、この痛みはレッズにとって必要な感覚なのだ。人間ならば生きるために。クラブならば今後の発展的継続のために。

 レッズというクラブの問題点を発見するのは、1人の名医がいればいい、というものではないと思う。なぜならレッズが歩んでいる道は、日本でどのクラブもまだ通過したことがない道だと思うから。
 誤解してほしくはないが、レッズがどのクラブよりもすべてにおいて先んじている、という意味ではない。だが人気の度合い、サポーターの熱さ、集客力、財政規模では日本で一番だし、獲得したタイトルも数では多くないが、種類ではナビスコ杯、天皇杯、Jリーグ、ゼロックス杯、ACLと多様だ。また今のところはFCWCに出た唯一の日本クラブでもある。そういう道を歩んでいるのはレッズだけで、そのクラブが抱える問題を解決する処方箋を書ける人は、まだいないのではないか、と思うのだ。
 そういう意味では、プロリーグが誕生してわずか17年目の日本なのだから、Jリーグ33クラブすべてが独自の道を歩み、独自の問題を抱えているはずだ。札幌には札幌の、鹿島には鹿島の。どのクラブにも、かかりつけの名医はまだ存在しないのかもしれない。

 1人の名医が対処するのでなく、レッズに関わる者が、それぞれの考えを述べるということが治療の助けになるかもしれない。少なくとも自覚症状をより的確に表現することはできる。病気の治療に当たっては、どこが、いつから、どういうふうに痛いのかを的確に伝えることが大事だというから。だから僕自身も、レッズの誕生前から関わってきた人間として、考えを述べる義務があると思う。まとまった論文を発表するというわけではなく、感じていることを順不同で書いていこうと思う。

 去年までは優勝というものの陰に隠れて感じなかった自覚症状が表に出てきた。今季の何が悪い、誰が悪いということで終わる話ではないと僕は思っている。
(2008年11月12日)
〈EXTRA・1〉
 ACL優勝とFCWC出場が日本ではレッズだけ、というのは、あと数時間の話かもしれない。だけど初の、という形容詞は残るし、ACLをここまで盛り上げた功績は自負してよいこと。だけど、それも2回目、3回目があって、より輝くのだ。
〈EXTRA・2〉
 「2008レッズサポーター望年会」は、12月13日(土)の午後、埼玉スタジアムで行います。詳細は追ってお知らせします。まずは日程だけ。
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