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Weps うち明け話
#166
宮崎リポート
 宮崎空港に降りてレンタカーを借り、カーナビで「清水台総合公園」を検索したが出ない。仕方なく西都市の「スポーツ施設」で検索してみたが、そこでも「清水台」に当たる施設はない。
 正式名称ではないのかな?と思い、住所や電話番号で検索するしかない、と携帯でネット検索してみたら「清水台総合公園」でちゃんと出る。でも住所が載っているサイトがないので探していたら、あった。「きよみずだい…」。完全に「しみずだい」だと思い込んでいた僕が悪かった。カーナビでもちゃんと検索できた。

 浦和レッズジュニアユースレディースと日テレ・メニーナは2008年に4度対戦している。関東女子リーグで2回、全日本女子選手権の関東予選で1回、そして全日本女子ユース(U−18)選手権の関東予選で1回。
 関東女子リーグではホーム、アウェイともレッズが勝っている。なのにリーグの成績はレッズの方が下、という何やらなでしこリーグと同じような関係。全日本女子選手権関東予選では全国出場をかけた3位決定戦で当たりレッズが負けた。全日本女子ユース(U−18)選手権の関東予選では、ともに全国出場を決めたあとの決勝で当たり、やはりレッズが負けた。
 リーグ戦でレッズが2勝、トーナメント戦でメニーナが2勝という五分の対戦成績で迎えたシーズン最後の対戦。1月7日(水)の全日本女子ユース(U−18)選手権準決勝はそんな試合だった。

 記録だけみるとレッズ2−0メニーナ。そしてシュート数はレッズ20、メニーナ7だから、レッズが圧倒しているように受け取られるが、実際には違った。前半はメニーナに押しこまれる場面が多かった。1対1の場面で負けないまでも正確なボールを出せないから、相手に奪われ、そこから攻められる形が続いた。スピードでもメニーナが勝り、カウンターのシーンも早めに寄られてつぶされることが多かった。技術とスピードではメニーナが上、そんな印象を受けた前半だった。
 だがハーフタイムにノートを見てみるとレッズが放ったシュートは6本あった。メニーナのシュートは全部つけていなかったが、それほど多くなかった記憶がある(実際には5本だった)。なんだろう?明らかにメニーナの方が押していたのに。写真を撮りながら試合を見る悲しさで、向こうのゴール前での出来事は詳しくわからない。その答えは、試合後、レッズの神戸監督がくれた。

 「メニーナはシュートの決定率が高いんです。逆に言うと状態が悪くなればシュートを打たない傾向が強いかな、と。だから状態が悪い選手を作ろうと言いました」
 相手は完全に決まるような形でないとシュートを打たない。だから最悪のシーンだけは作らないようにする。そういう守り方だったということか。メニーナの岩渕のドリブルテクニックは脅威だから、中央突破されるのだけは避ける。その分サイドに散らされても、そこからのクロスをケアすれば失点の可能性は低まる。そういう作戦だったらしい。
 逆にレッズはどうしてもカウンターになることが多く、前線の選手がボールを持って前を向いたときにはDFは少ない。そこで遅くなるとチャンスをつぶされてしまうから、早めにシュートを打つ。必然的に遠目からになるが枠はきちんととらえていた。
 この作戦が功を奏した。後半15分、相手の攻撃をしのぎ、大宮玲央奈がやや右サイドでボールを持った。前にスペースはあったが、大宮は長いドリブルを選択せず、早めに中央の岸川奈津希に送る。ハーフウェイライン付近でもらった岸川はトラップを相手に奪われそうになるが取り返し、すかさずシュート。ボールは、前に出ていたGKを越えて見事にネットを揺らした。
 岸川にとってメニーナは07年まで所属していたチーム。この試合に負けたくない気持ちは当然、人一倍強かっただろう。前半はボールを持ったら何か決定的な仕事をしようとするあまり、プレーが遅くなってしまうことが目立った。しかし後半はシンプルなプレーに徹していた。ゴールを決めてチームメートに囲まれた岸川が、大きな身体をさらに伸ばして喜んでいるシーンは印象的だった。さらに2点目も岸川が絡んだ。24分、やはりやや遠目から放った岸川のシュートをGKが弾き、さらにバーへ。リバウンドを山崎円美が詰めた。

 後半のシュートはレッズが14で、メニーナが2。この圧倒的な差はメニーナが攻撃に人数をかけすぎて逆にレッズにチャンスが多くなったから、というだけではない。ボールポゼッションに関しては同じくらいだったように思う。
 レッズが後半変わったのは、1対1での場面だ。前半は奪われまいとして不正確なパスを出し、そこで取られてしまうことが多かったが、後半はそこでマイボールにするために踏ん張った。その結果、嫌な形で相手ボールになることが少なくなった。
 レッズはリードしたことで中盤で落ち着いてプレーできるようになり、シュートまで持っていけた。メニーナは中央を固められてシュートまでいけなかった。それがシュート数の差だろう。そういえばメニーナのミドルシュートは記憶にない。そこで打たれたら嫌だな、という場面でも中に切れ込むかパスを選択していた。
 メニーナは最後まで自分たちのやり方を変えなかった。終盤になってもパワープレーで来ることもなく、ドリブルとパスで崩そうとしていた。レッズは、もし1点返されていたら危なかったと思う。記録上は相手のシュートが後半2本だが、それは「打たせない」守りをよく貫いた結果だった。DFラインを破ってきた相手にはGKの池田咲紀子が勇気ある飛び出しで立ち向かっていた。
 見どころの多い試合だった。最後まで自分たちのスタイルを貫き通したメニーナの攻撃は怖かった。そして前半より後半、まるで1試合の間に成長していったかのように見えるレッズは頼もしかった。

 決勝の相手、常盤木学園は強かった。準決勝第1試合の藤枝順心高との試合を見たが、常盤木の選手たちは身体も大きいし、技術もしっかりしている。個人技だけでなく連動性もある。一口で言うと、ダイナミックなサッカーをしてくる感じだ。レッズにとってはまた厳しい試合になるだろう。でも見る側にしたら面白い試合になるはず。僕にとっては、今日の正午から厳しく面白い時間を過ごすことになる。最終的にうれしい時間になれば幸いだ。
(2009年1月8日)
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