Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#175
開幕前に
 3月2日(月)、レッズ主催の「TALK on TOGETHER 2009」の第1部の進行をやらせてもらった。「やらせてもらった」と書くと、希望してしゃしゃり出ていったみたいだが、奥ゆかしい(フリをしている)僕だから、もちろんそんなことはない。クラブの依頼で引き受けたものだが、半分は「今回だけは俺がやった方がいいかな」という思いがあった。
 この司会は、レッズを取材している報道関係者に順繰りにお願いしているようなところがあり、その方々に比べてレッズにより近いところにいる僕が司会で出て行くことは、自民党議員の国会質問のように受け取られるかもしれず、あまりよろしくない、と以前は思っていた。今回も、その一線のようなものはあったが、それを越えても引き受けた理由は2つある。
 まずは、新監督であるフィンケさんの話を、参加者にできるだけ長く聞いてもらいたい、というのが1つ。そのためには第1部を極力短くする必要があった。かといって、全く代表とTDの話を無くしてしまうわけにもいかない。
 2つ目はそれと関連して、短い時間でやるべきことをやるには、周りのことを省略していきなり本題に入るしかなく、そんな無作法な真似は僕にしかできないだろう、と思ったからだ。

 全文はオフィシャルサイトに載っているが、自分では短い時間に、聞くべきことは聞けた、と思っている。ただし、それは「質問した」というだけであって、「聞き出せた」という意味ではない。時間でいうと1項目5分前後。とてもそんな時間で語れる内容ではではない。じゃあ、やらなきゃいいじゃない。全部フィンケにすれば、と思うかもしれないが、そうではない。
 この日は2008シーズンの感触を残す最後の日だった。なぜ今があるのか。なぜフィンケなのか。なぜ今さら「ベース」なのか。2009シーズンに完全に入ってしまう前に、そのことを忘れてはいけないということを公の場で確認する必要があると思った。クラブが総括していないとか、何の反省もしてない、ということではなく、サポーターも含めた「オールレッズ」が相応の痛みも感じながら、きちんと歴史として受け止めてから、次のステージに進んでいく必要があると思うのだ。
「2008年があってというよりも、2008年“まで”があって今年があると思いますので、その辺はクラブの蓄積としてしっかり文書なり、あるいはスタッフのコンセプトなりとして残していただきたいなと、それがないとまた同じ繰り返しもないことはないと思います」
 これって質問じゃないな。でも、第2部になる前にこれを言うために壇上に登ったようなものかもしれない。あまり出しゃばりません。

 明日の試合の前に、やれて良かったことがもう一つあった。
 ゲルト・エンゲルス前監督と会うことができたのだ。昨日5日、あるサポーターが企画した会の情報をもらい、遅くなったが出かけていった。
 5年間、レッズの指導者としてタイトル奪取のために尽力してくれた。さらに昨シーズン開幕直後、オジェックの後任を引き受け、開幕2連敗から首位にまでチームを引き上げてくれた。最終的な結果は7位だったが、静岡遠征連勝とか、鹿島に快勝など、2008シーズンにも幸福な時期は確かにあったし、それは間違いなくゲルトが引き寄せたものだった。良いことばかりではないが、共に戦った仲間だ。その彼と何の挨拶もせずに、新しいシーズンの開幕を迎えることが、もう一つの心残りだったが、行動力あるサポーターのおかげで、自分なりのケジメをつけることができた。
 歴史とは、物事が新しくなっていくことだとも言える。良くなるか悪くなるかはともかく、放っておいても全てのものが少しずつ、止まることなく変わっていく。列車の窓から外を眺めていると、後方へ景色がどんどん流れていくようなものだが、その中に、これは消えてほしくない!と思うものだってある。景色はつかむわけにはいかないが、歴史は、一部を切り取って思い出として自分の中に留めておくことができる。
 僕と同年代のゲルト・エンゲルス。彼への感謝は忘れない。
 そして24時間後、2009Jリーグが開幕する。
(2009年3月6日)
〈EXTRA〉
 人前での話がうまいとは思わないが、下手だとも思わないし、苦手でもない。つまり普通。どちらかというと、ふだんより明瞭に話せるかもしれない。「昔、GGRのロスタイムにたまに出ていたころは、ムチャクチャ緊張してたよね。でもトークオントゥギャザーのときは、話うまかったよ」とサポーターに言われた。正直、昔も緊張していた覚えはないが、見ていてそうだったのなら、緊張していたのかもしれない。もしも、多少はしゃべりがうまくなっているなら、昨年の9月からやらせてもらっているNHKさいたまの「週刊サッカー王国」のおかげかもしれない。今日もこれから行ってきます。詳細は下記で。
http://www.nhk.or.jp/saitama/
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