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Weps うち明け話 #1020

変身(2020年4月7日)

 

 #1017で書いた「週2の記憶」が本当によみがえってくる。

 

 Jリーグは4月3日(金)、大型連休前後の再開を白紙に戻し、少なくとも1か月は間隔をあける方向だと発表した。

 同じ日、レッズは練習を再開したが、メディアにも非公開となり、14時から大槻監督のネット会見が行われた。今回はプレスルームやその付近に記者が「密集」してという形式ではなく、いわゆるテレビ会議みたいな方式で、記者は大原に集まることなく職場か自宅のパソコンの前で参加する形で行われた。

 

 すでに再々々延期がほぼ確実というムードだったので、大槻監督も「選手とその家族の健康を大事に」ということが最優先だと強調し、チームの練習について具体的なことはあまり語らなかった。

 印象に残ったのは「ピッチサイドのラインからピッチ内に入った瞬間からフットボールに没頭しなければいけません。(中略)非常に難しい状況ということはわかっていながらも今日はピッチの中で選手たちがプレーする姿を見て、フットボールはすばらしいなということを本当に思いました。(中略)ピッチの中に関してはみんなで没頭しようということは続けてやっていきたいと思います」という部分だ。

 

 オンとオフという奴か。大魔神がハニワ顔から仁王の顔になるように、普通のオッサンやアンチャンがフットボーラーに変身する。大原ではクラブハウスからグラウンドに出て行くときなのだろうが、試合ではメーンスタンドの下からトルシエ階段を昇って行くときなのではないか。好きだなあ、そういうの。

 試合ではサポーターも変身する。スタジアムに入ってすぐはのんびりしていても、ウォーミングアップで自分の気持ちも上げ、その後、数分間の準備を経てファーストインプレッションと共に、オッサン・オバサンやアンチャン・ネーチャン、はてはジーサン・バーサンまでもがテンションをMAXにしていくのだと思う。闘う人への変身。

 

 だけど大槻監督が言うように、選手は練習でも“サッカーバージョン”に変身できるだろうが、ファン・サポーターは試合のない今の時期、なかなかそんな機会がない。そこで質問してみた。

 

質問:ファン・サポーターのために広報もいろいろ発信していると思うし、先日は選手が学校の卒業生に対してメッセージを送ったが、今後も何かそういう予定はあるのか?

 

「卒業メッセージに関しては(長澤)和輝が発案してすごく良いことだと思いましたし、僕自身も選手からの発案であのようなことができたことについて誇らしい気持ちでいました。今のところまた新たに何かという話は聞いていませんし、言うことはできませんが、今回のアプリを使った会見も含めて、広報とは『いろいろなことができるように協力したい』という話はしています」

 

 なるほど。今はまだ何も決まっていないらしい。そして…

 

「我々だけではなくて、メディアのみなさまのお仕事が様々なファン・サポーターの方々へ届くメッセージだと思いますし、これからも一緒にサッカーの仕事をさせていただけるようにお願いしたいと思います」

 

 おっと、こっちに打ち返してきた。

 たしかに、選手が直接ファン・サポーターに向けて発信することがベストだが、我々はそれを生業(なりわい)にしているのだから、「やらなければならない」ということか。僕も外出自粛で家にいることがほとんどだけど、幸い仕事の半分以上がテレワークで行えるのだから、作業的にはあまり問題ない。テレビ会議記者会見が終わって、ますます頑張らないといけないという気になってきた。

 僕たちが発信するものを読んで、サポーターが試合前に変身するほどの効果はないだろうけど、せめてウォーミングアップの音楽がかかったときぐらいの雰囲気になれば、と思う。

 

EXTRA

 僕自身も、試合のときは変身するらしい(外見ではなく)。また大原で練習を見るだけでもテンションが上がる。

 しかし、大槻監督の会見が終わってしばらくして、翌日から4月18日(土)まで練習が休みだと発表された。試合再開がまた延びたのだから、それも妥当だろう。だけど、練習も見られず、テレビ記者会見もない、という状態で何を発信していくのか。

 今日7日、緊急事態宣言が発令され、埼玉県もその地域に指定されるらしい。そうなれば練習オフがさらに延びるかもしれない。いまネタ探しに必死になっているところだ。

 

(文:清尾 淳)