Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#207
監督に関する議論・その2
 このコラムはリアルタイムで進行する、か?――「24 -TWENTY FOUR」だな、まるで。

 30日、先週の金曜日は書いている途中で時間切れになってしまい、やむなく「その1」としてアップしたが、その日の午後、橋本光夫代表が来季もフィンケ監督でいく、ということを匂わせたらしく、土曜日のスポーツ紙には、そのことが掲載されていた。まったく、書くタイミングが良いのか悪いのか(苦笑)。
 このところの流れからだろうが、31日のスポーツ紙には、まるで「いいのか?それで」とか「最悪の選択」「これで、お先まっくら」のような書き方もあった。こぶしを振り上げた手前、そういう論調になるのはわかる。この日の新聞はある意味、保存版、1年もののタイムカプセルだな。「大予言」が当たるかどうか、来年のこの時期開けてみよう。さて、続き。

 自分たちのチームの監督として誰がふさわしいのか。あるいは現監督にこのまま任せておいてよいのか。それは封殺されるのではなく、活発に検討・議論されるべきだ。
 ファン、サポーターの中では、理想のスタメンや戦術とともに、議論百出になるテーマだろうし、ある意味では試合の前後、シーズンの前後にそういうことを真剣に語り合うことは、応援するサッカークラブを持っている者の最大の楽しみだとも言える。酒の肴にもおすすめだ。実際、浦和の居酒屋で飲んでいると、近くの席で「4バックが…」「○○(選手の名前)は…」という声がすることは何も珍しくない。それらの意見をすべてクラブが吸収するのは不可能だが、多くを占めるものは、いろいろな形で聞こえてくるものだ。
 サッカージャーナリストによる批判や提言もあって然るべきだ。クラブのスタッフでもなく、ファン、サポーターでもない、客観的な立場からの専門家の意見は貴重だ。

 しかし、それらは参考意見であって、最も真摯に、そして責任を持って議論されるべき場所は、もちろんクラブだ。
 サッカークラブにとって、チームの監督とは、ある意味で看板商品だ。クラブのスタッフが、このことに関して消極的であったり人任せであったりしてはならないと思う。それぞれの守備範囲で、監督に関するデータを十分に集めなければならない。時には現監督についてのネガティブな情報をキャッチすることもあるだろう。それは速やかに検証されなければならないし、場合によっては本人に質す必要もある。しかし、それはクラブ内にとどめておくべきで、間違っても外部に漏らしたり、ほのめかしたりしてはならない。たとえば自動車会社が看板車種のモデルチェンジを進めているとして、その内容を外に漏らす社員がいたら、彼はどうなるだろう?これは、食品会社であっても、家電メーカーであっても、サッカークラブであっても同じではないだろうか。
 いろいろな立場のスタッフが集めたデータを集約し、議論し、結論を出す。
 組織の活動の根幹をなす重要な物事を決めるときには徹底的に議論する。決定したら、四の五の言わず全員がその遂行に向けて進む。そして一定の時期が来たら検証する。それが組織の原則だと思う。

 そんなことを書こうとした矢先に、フィンケ監督が来年も指揮を執るらしい、という記事を見た。
 もともと、時間がかかることを覚悟してチーム作りを任せた監督が、1年契約ということはあり得ないと思っていた。外国人との契約の際、税金の問題があるから1年契約という形になることはあっても、初めから複数年で合意していたのではないだろうか。だから本来この時期は、2年目のフィンケ監督に何を求めるか、を議論する時期だったはずで、来年もやらせるのかやらせないのか、という1つ前のことが議論の中心テーマではなかったはずだ。
 普通に考えれば、初めて日本に来る監督が、レッズのこれまでのやり方とすべてが馴染むとは思えない。フィンケに関しても、いろいろと摩擦もあったはずだ。正直に言えば、僕だって「それはないだろう!」と思ったことが一度や二度ではない。だが、それらは、クラブスタッフがじっと我慢するか、解任の理由の1つにするかという二者択一、オール・オア・ナッシングではなく、クラブと監督がお互いに議論して改善していくべきことだ。クラブが変えていくべきこともあれば、フィンケが理解すべきこともあるはず。あるいは歩み寄るのが妥当なことも。

 クラブはこれから監督との細かい条件を詰めていくのだろうが、橋本代表は来季の目標をより具体的な形で出したい、と言っているから、成績や順位について今年よりはっきりしたものが聞けるかもしれない。一方、監督は、クラブからの要請を受けて、さらに1シーズンの経験を基に、戦力の整備も含めた諸条件の改善を求めるだろう。そこでの交渉がどうなるかは不明だが、いずれもしても前進のための議論が監督とクラブとの間で活発に行われることは歓迎したい。
 フィンケ監督が、日本という国の特性、そこでのサッカーの位置や扱い、サポーターを含めた浦和レッズをどういうふうに理解して、何が必要だと判断したのか、非常に興味深い。
 クラブがその要請にどういうふうに応えられるかは、もっと興味深い。
 他人事ですませる気はないが。
(2009年11月2日)
〈EXTRA〉
 月曜にアップしようと思ったが遅くなってしまったので、やむなく火曜日に…、と思ったら3日は祝日だった。「その1」から5日も経過してしまい、申し訳ありません。
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