Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#217
利府にて
 予定では12月23日はJヴィレッジに行くはずだった。宮城県の利府で、19日と20日に高円宮杯全日本ユース(U−15)選手権の1次ラウンドを取材して、その2試合の結果がどうあろうと、23日は全日本女子選手権に行こうと思っていた。
 初戦のベガルタ仙台戦は、ピッチに残った雪のためもあり最後の部分で決定的な仕事ができず、0−0のドロー。翌日の京都サンガ戦は序盤の守勢から徐々にレッズらしい試合運びを取り戻し、後半は攻勢一方。しかし点が取れず、終盤ミスとも言えないスキをつかれて失点。その1点を取り戻せず、0−1で負けた。
 2試合を終えて仙台が勝点4、北海道のアンフィニ・MAKIが3、京都が3、レッズが1。3試合目を勝利しても、1チームしか上がれない1次ラウンドでレッズが勝ち残る可能性はなくなった。その途端、僕の考えが変わった。
 全日本女子選手権はトーナメントだから負けたら、その時点で終了。しかしチームそのものが来季、大きく変わってしまうことはないし、今季はリーグ優勝のセレモニーにも立ち会えた。だがジュニアユースはそうではない。
 今季のジュニアユースはずっと見てきて、強い実感があった。関東リーグでは強豪チームを相手に11試合負けなしで1位だった。クラブユース選手権で優勝も期待していたが、惜しい試合を落とし、ベスト8に進めなかった。秋からケガ人なども出てメンバーが何人か替わったが、高円宮杯で決勝まで進める力は十分にあると思っていた。特に夏までレギュラーではなかった選手が力をつけてきていた。
 もし数年前までのように、希望すれば全員がレッズユースに入れるシステムだったら、ここまで最後の試合にこだわらなかったと思う。しかし、今ではジュニアユースからユースに自動的に上がれるわけではない。特に今季のチームは出場選手の多くが3年生だけに、試合に出ている選手の中にも、来季はレッズのユニフォームを着ない選手もいる。それに毎年レッズジュニアユース以外から、才能ある選手がユースに入ってくるから、本当にこのメンバー構成で試合を見ることは絶対にない。そう思うと無性に今季のジュニアユース最後の試合を見たくなった。

 そんなわけで23日も仙台(利府)に向かった。先制し、追いつかれるという展開で2−2で折り返した。後半もほぼ主導権を握り、ゴールだけが決まらない中、19分に3点目が入った。その1点を守って勝ってくれ、という気持ちもあったし、どんどん攻めてもっとゴールを見せてくれ、という思いもあった。結局、そのまま3−2で勝ちを収めたが、終了のホイッスルの瞬間は、うれしさよりも悔しさの方が強かった。選手たちもそうだったろう。表情は勝利チームのそれではなかった。
 中学3年生の選手たちのプレーを再び見るにはしばらく時間が必要だ。だが彼らの頑張りは僕の記憶にも、会社のハードディスクにも(写真として)残っている。次に会うときは、一回り大きなサッカー選手になっているだろう。これまで何人もいたように高校サッカーで活躍するレッズジュニアユース出身の選手も出てくるだろう。
 最後に無理を言って、彼らに一番馴染みの深い「YOUNG REDS」のダンマクの前で集合写真を撮らせてもらった。この3年間が彼らの人生にとって有意義な時間だったことを信じ、次へのスタートを祝って、利府で最後のシャッターを切った。写真はクラブのオフィシャルサイトに載っている。
(2009年12月24日)
〈EXTRA〉
 グループ2位のレッズが勝ち上がれなかったから言うわけではないが、どうして1次ラウンドの勝ち抜きが今季から1チームだけになったのだろう?同じ高円宮杯全日本ユース選手権でもU−18大会は24チームが出場して16チームが決勝トーナメントに進むというレギュレーションだったのに対し、U−15大会は32チームが出場して決勝トーナメントに進むのは8チームだけ。それも今季から変更されたらしい。これって整合性があることなのだろうか。
 大会の規定は年々整備されていくものだと思うし、絶対に不変のものではないが、その変化は改善であるべきだ。現在の全日本女子ユース選手権のように、出場チームの力の差が大きく、かつ大会日程が取れない大会では4チームリーグの1位上がりというシステムはおかしくないが、これも将来は変わっていくかもしれない。しかし出場チームの力が拮抗しているこの時期のU−15大会で、4チーム中1チームしか上がれないというのは、中学生年代のチャンピオンを決めるのにふさわしいシステムなのだろうか。
 もっとも、そんな中で、クラブユース選手権優勝のヴィッセル神戸はきちっと3勝して決勝トーナメント進出を決めているのだから、さすがだ。
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