Weps うち明け話
#220
新年の挨拶
 あけましておめでとうございます。
 今年もサイト上でお目にかかります。

年賀状

 2010シーズンのレッズ始動は1月11日と、昨年よりも早い。去年は、選手の体力測定をすると4日後から宮崎でキャンプが始まった。今季の詳しいスケジュールはまだ発表されていないが、昨季と大きくは違わないだろう。選手たち個人が昨年と比べてどう変わっているか、チーム全体のムードはどうか、不安もあるが楽しみではある。
 もう一つ、変化が楽しみなのはクラブだ。昨季は新しい方針、新しい監督に続いて、新しい経営者という予想外のことがあった。それに多くの部分でうまく対応しきれないままシーズンが終わってしまった感がある。今季は2年目の方針、2年目の監督、2年目の経営陣となる。その中で、柱谷幸一氏を新強化担当責任者に選んだのだろうし、いろいろな面で先手を打てるはずだ。
 僕も、取材・報道という本業の部分でいっそう頑張らなくてはいけないのはもちろんだが、クラブが良い方向に変わっていけるように、できることはやっていきたい。浦和レッズのファン・サポーター、レッズに関わるすべての人、ホームタウンの人たちが2009年よりも幸せになるために。
 よろしくお願いします。
(2010年1月5日)
〈EXTRA〉
 以下は、年末年始の出来事を書き溜めたもの。まったくの日記です。

 12月28日(月)。
 全日本女子選手権準決勝。INACには今季負けていないとはいえ、なでしこリーグで優勝を争う相手。タイトルに対してはもちろん、特にレッズレディースには闘志を燃やしてくるだろうし、しかも今季で引退表明している選手がいて、1試合でも多く、というモチベーションは高いだろう。僕個人としても、スタッフに知り合いが2人もいるクラブなので、INACは最も意識するところでもある。
 西が丘に行くと、なんだか取材者が多い。2試合あるから、4チームに関わるメディアが来ているからか。特に第2試合の東京電力マリーゼは、地元福島県の民放や地方紙が多く、それぞれ大きく取り上げているようだ。相手の日テレ・ベレーザもメディア企業のクラブだから取材が少なくはないだろう。あれ?某キー局のアナウンサーとクルーを発見。ベレーザ系ではないところだ?どうして?
 そんな疑問を解消する暇なく試合開始。序盤からレッズが良い動きで攻勢を取る。お互いにわかりあっている人の動き、ボールの動きは
見ていて気持ちが良い。複数の選手が絡んでいるから、たとえパスがカットされてズレてもフォローが早く、ピンチになりにくい。
 そんな中、CKから先制。ガッツポーズをした熊谷の点かと思ったら、オウンゴール。息もつかせぬ攻勢が相手の焦りを生んだ、と身びいきで言っておこうか。その8分後、庭田のミドルシュートがバーに当たったリバウンドを高橋が頭で合わせて2点目。高橋の会心の笑みが撮れた。そして1点返されたところで、安藤の大会初ゴール。キックフェイントを入れたうまいシュートだった。最後は1点差に詰め寄られたが3-2で勝利。レッズレディースとしては初めての元旦国立決勝進出だ。
 試合後、前述のテレビ局アナウンサーと話した。女子の試合をあまり見る機会のない後輩アナが、レベルが高く面白い試合だったと感想を述べていたと言う。そうなのだ。女子の試合というだけで、食わず嫌いの人もまだいると思うが、こういう試合を見てくれれば、リーグ戦も見に行ってみようか、という気になってくれるのではないかと思う。
 気分良く事務所に帰って仕事をしていたら、FAXが届いた。「安藤梢選手、デュイスブルク移籍のお知らせ」!
 今年最後の衝撃だ。

 12月29日(火)。
 ショックから完全に回復しないまま、安藤移籍記者会見へ。もちろん本人が望んだことだろうし、レッズが嫌になって出て行くはずはないこともわかっていたが、本人の口から語られる言葉を聞いているうちに、ようやく落ち着いてきた。正直言って、安藤選手が浦和からいなくなることを、これだけ大きな衝撃ととらえている自分にも驚いている。
 なでしこリーグの初優勝は、やはり移籍を決意する一つの材料になったようだ。言葉を探している彼女に、「けじめ?」と聞くと、「そうですね」と答えてくれた。では、ドイツへのジャンプにさらに弾みをつけるために、元日の全日本女子選手権決勝も、絶対に勝利で終わらなくてはならない。そして最後にもう一度、安藤のゴールと笑顔を撮りたい。
 夕方、レッズウェーブでパーソナリティーをしている萩原千恵さんの最後の放送だというので、スタジオに遊びに行った。レディースの場内放送を担当している夏川延子さんも一緒だった。この2人は、「レッズフレンドリーフットサル大会」に、レッズの取材仲間で参加している僕のフットサルチームの2トップだが、萩原さんのご結婚に伴う転居のため、それも解消になってしまう。
 17時から18時までの生放送にはレディースの選手たちも訪れて、萩原さんへの感謝の気持ちを語っていた。彼女たちからサプライズの花束を受け取ると、感極まった萩原さんは涙で無言状態に。おいおい、ラジオだぞ。放送事故かよ。夏川さんが萩原さんの状態を実況中継し、放送をつなぐ。さすが、プロ。スタジオの前にはサポーターが多数集まり、放送終了後、記念撮影。彼女が、選手にもリスナーにも親しまれていたことがよくわかった。

 1月1日(金)。
 初日の出を拝んで、午前6時50分に車で出発。元旦に国立へ向かうのは3年ぶり3回目だ。
 全日本女子選手権のサポーター入場口になった青山門には約100人のレッズサポーター。知った顔を見つけ、新年の挨拶を交わす。
 試合開始は10時半と早い。にもかかわらず報道受付は9時半から。しかも設営が遅れたらしく、会場に入って準備する時間が少ない。しかも両チームの選手がスタンドにミニボールを蹴り込むイベントを聞いていなかったから、慌てて走る走る。
 キックオフ。ベレーザがボールを支配するのは予想どおり。しかし、ここまで主導権を握られるとは思わなかった。ボールを回させつつ、取りどころでしっかり奪い、速い攻撃を仕掛けるのがベレーザとの試合でレッズレディースが見せる展開だったはずだが…。前半はほとんどチャンスらしいチャンスがなく、それでも0-0で終える。
 失点はしていない。このまま後半も集中した守備を続けて、ワンチャンスをモノにしたい。しかし、そのワンチャンスがなかなか来ない。アプローチに行く回数は前半より増えたが、フィニッシュまで持っていけない。そして、そのチャンスになりかけたところを奪われ、そのまま先制されてしまった。1点を取り返すため、村松監督は攻撃的な選手交代を次々に行う。しかし、流れが変わらないまま2点目を失い、大勢が決まってしまった。
 ベレーザの出来は2009シーズンで最高だったのではないか。さらにレッズレディースは、本来の力を出し切れていなかった。決勝という場面、元日の国立という舞台、そういうところでの経験の差が出たのだろうか。負けたことはもちろん悔しいが、レッズレディースとベレーザのファン・サポーター約3,000人(推定)以外の、ふだん女子の試合を見たことがない人に、面白い試合を見せられなかったことがもっと残念だ。
 表彰式のあと、選手たちがレッズサポーターエリアの前まで行き、挨拶。その後、安藤が残ってトランジスタメガホンで、移籍の挨拶をした。最後に撮ったのは涙ぐむ安藤梢の姿だった。
 取材を終え、家に帰ってテレビをつけたら、ちょうどガンバに3点目が入るところだった。もしかして、これでレッズとガンバは獲得タイトル数で並んだ?いや、パンパシの分、レッズが負けているのか?

 1月2日(土)。
 石川県加賀市塩屋町の実家に帰省。冬は空便を利用し、小松空港まで父親に車で迎えに来てもらうことが多いが、家族は31日のうちに行っていて僕1人なので迎えは断った。本来は、小松空港→(バス)→小松駅→(電車)→大聖寺駅→(バス)→塩屋と乗り継いで行くつもりだったが、事前にインターネットで北陸鉄道のバスを検索しても、大聖寺駅→塩屋の時刻表がうまく探せない。仕方がないので、加賀温泉駅からタクシーを使った。
 実家に着いてから聞くと、大聖寺と塩屋を往復するバスは、朝2本と夕方2本の通勤・通学時間帯しかなくなってしまったらしい。僕が住んでいたころは朝も夕方ももっと本数が多かったし、昼間も1時間に1本程度はあった。マイカーの普及で利用者が減ったことからバスの本数もこうなってしまったのだが、車を持っていない家庭はさぞ不便だろう。それでも昔は食料品店を始め医院や理髪店、銭湯、郵便局などたいていの店が町内にあったので、塩屋町を出なくても日常生活には問題なかったが、最近は店じまいするところが多く、大聖寺まで行かなければ買えない物が増えてきたらしい。過疎、ということではないのだが、暮らしにくくなったようだ。こんな地域では、高齢者の運転免許返納など考えられないだろう。

 1月3日(日)。
 小松発9時25分の便に乗る。とんぼ返りだが、元日に仕事のある年はこういうスケジュールになる。飛行機の中で思ったのだが、浦和レッズがレッズファミリーを含めて獲得できるタイトルは1シーズンにいくつあるのだろう?

<トップ>
Jリーグ ○(06)
ナビスコ杯 ○(03)
天皇杯 ○(05、06)
ゼロックス杯 ○(06)
ACL ○(07)
FCWC
<ユース>
天皇杯
クラブユース選手権 ○(97)
高円宮杯全日本ユース選手権 ○(08)
Jユースカップ
プリンスリーグ関東
<ジュニアユース>
クラブユース選手権 ○(01、05)
高円宮杯全日本ユース選手権 ○(05)
関東ユースリーグ ○(09)
<レディース>
なでしこリーグ ○(09)
全日本女子選手権
<ジュニアユースレディース>
全日本女子選手権
全日本女子ユース(U-18)選手権
全日本女子ユース(U-15)選手権 ○(08、09)
関東女子リーグ

 ○は獲ったことのあるタイトル( )は獲ったシーズン。大きな関東大会も加えた。ゼロックス杯やACL、FCWCは挑戦する資格が必要となるので除き、天皇杯や全日本女子選手権のように、同じクラブから2チームが出る可能性のある大会を1つと数えると、15になる。15の大会全てで優勝したら、さぞ気持ちが良いだろうな。そうなったら年末年始は

 23日 Jユースカップ準決勝/全日本女子選手権準々決勝
 25日 高円宮杯U-15選手権準々決勝
 27日 Jユースカップ決勝(長居)/高円宮杯U-15選手権準決勝
 28日 全日本女子選手権準決勝(西が丘)
 29日 高円宮杯U-15選手権決勝/天皇杯準決勝(国立)
  1日 全日本女子選手権決勝/天皇杯準決勝(国立)

 と、Jリーグ期間中の3倍くらいの忙しさだな…。でも楽しいだろうな…と想像しているうちに眠っていて羽田に着いた。もしかして、これが2010年の初夢?
 とりあえず2009シーズン最後の大会、全日本女子ユース(U-18)選手権が今日から始まる。ちなみに高校3年生の竹山裕子選手は、元旦の全日本女子決勝に出て、翌日の2日にはユース選手権のために大分に向けて出発したはずだ。
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