Weps うち明け話
#244
能天気か?
 すごく能天気に聞こえるかもしれないけど…。
 リーグ戦の折り返し18節から3試合過ぎた。去年はこの3試合、0-1大分、0-3名古屋、0-1清水で、0勝3敗0得点5失点だった。もちろん勝点は0。
 今季、同じ時期ではどうかというと、1-3名古屋、1-1仙台、4-1湘南で、1勝1分け1敗6得点5失点。勝点4取っている!

 恣意的な時期を切り取って比べ、ほら去年より今年の方が良いぞ、というのはアンフェアなやり方だと思う。リーグ戦前半の17節まではどうなのよ、と言われれば、去年の10勝4分け3敗で勝点34と、今年の7勝2分け8敗で勝点23という、圧倒的な差は隠しようがない。
 ただ、前節までの3試合を抽出するのは、現状がどういう傾向にあるかということを示すことにはなるだろう。いまのレッズは、少なくとも下向きとは言えない。さらに去年は、一巡目はレッズの変貌ぶりに戸惑ってやられた相手が、二回り目はきっちり対策を取ってきたというのが折り返し後に顕著だった。18節以降というのはそういう時期でもある。そこで下向きではない、というのは去年より良い傾向にあると言っていいのではないか。
 勝点で言うと、20節現在で27というのは、昨年よりもまだ7ポイントも下だが、昨年は17節で勝点34という優勝ペースの数字が、24節終わっても34だった(泣)。今年はというと、これから24節までの4試合で7ポイント以上取れる可能性は十分ある。その根拠は、というとこうだ。
 去年の7連敗中は、惜しい試合といえば大分戦、G大阪戦、神戸戦が引き分け寸前だったのに…、というくらいで、今年よく言われている「チャンスは多く作っているが最後の得点が決まらない」という試合などほとんどなく「ボールは回っているけれど決定的なチャンスにならないから怖さがない」というものだった。間違いなく内容は今年の方が進んでいる。「去年から何も変わっていない」と言うのは明らかに誤りだ。決して今の浦和レッズは、「暗黒」などと言われる状態ではないと僕は思う。

 もちろん、明日の鹿島戦から4試合で勝点7以上を取ってまずは昨年レベルの勝点に追いつこう、というのはスローガン、可能性であって確信ではない。それを現実にするには、これまで20試合で8勝3分け9敗という試合ぶりと同じでは無理だ。
 選手はみんな一生懸命やっている。それはそうだろう。だが、もっと力を、そしてもっと有効に発揮しなければいけないのは明らかだ。今より上に行こうと思ったら、3位以上になる気があるのだったら、これまで一番頑張ったと自分が思っている試合の、さらに上をいく頑張りを見せないと不可能だということだ。特に、達也、啓太がケガ、再開後の「補強」と言われた梅崎、直輝が再びケガで出られず、阿部も移籍が濃厚という状況では戦力的にも十分とは言えない。
 でも、再び能天気と言われるかもしれないけど、人間の能力の限界は状況によって伸びると思う。火事場のナンとやら、という言葉を出すまでもなく、必死になったときには信じられないほどのパワーがでるし、周りのムードによってもだいぶ変わってくる。僕は、仙台に先制されて(それが問題でもあるけど)、広島戦、大宮戦、神戸戦のようにそのまま負けるのではなく追いついたことは、埼スタの応援が大いに影響していたと思っているし、湘南戦の前半無得点に終わってもあせらず後半先制できたのも、サポーターのムード作りによるものだと思っている。

 僕の挙げた数字は、たしかに能天気かもしれないけれど、多くのファン、サポーターはそれが現実のものになることを望んでいるはず。いや、レッズのサポーターはそれを現実のものにできる力がある。そう思う。明日の鹿島戦、久々にチケットが完売だというのも、「鹿島にだけは負けられない」という多くの力が結集してくる証拠だ、と勝手に思っている。
(2010年8月27日)
〈EXTRA〉
 93年、レッズが最下位をひた走っていたころ、あるサッカー雑誌が「レッズ再建委員会」という特集を続けた。ある意味では悔しい企画だったが、あの特集には、愛を感じたなあ。
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