Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#252
サポーター
 レントゲン写真を見て、医師が感心したように「ああ…、珍しいなあ…」とポツリ。
 おいおい、人の骨の写真を見て珍しがってないで、説明してよ。

 お前も何の話か説明しろ?そりゃそうだ。
 8月15日、前日の名古屋戦を終えてホテルを出ようとすると左足の裏が痛い。といっても歩けないほどではなく、レッズのフレンドリーフットサル大会に出た翌日はあちこち痛い、ちょうとそんな感じだった。なんでこんな日程になったのか、8月17日の火曜日にホームの仙台戦ということで、15日はむちゃくちゃ忙しく、気にする余裕がなかったのだが、翌日になっても痛い。痛くてたまらないというほどではなく、ふだんは何ともないのだが歩くと少し痛く、早くは歩けないくらい。もちろん走るなど無理。運動不足解消に1週間に2度を目標に、実は月に2〜3回しかやっていないジョギングもしばらくできず、ついにたまりかねて9月30日、整形外科に行った。それが9月の末だから、ずいぶん我慢したものだった。

 で撮った僕の左足のレントゲン写真を見て、医師が「ああ…、珍しいなあ…」。
 な、なんだ?俺の足は、そんなに珍種の骨なのか。
 医師が説明してくれたところによると、僕の左足の内くるぶしの下に、普通の人にはない骨があるという。外脛骨(がいけいこつ)といって、子どもの頃は15人に1人ぐらいの割合であるらしい。それが大人になるにつれ隣の骨と融合してなくなっていくのだけれど、20人に1人くらいの割合で残ってしまう人もいるとのことで、掛け算すると大人では300人に1人の割合ということになる。最近の埼スタなら100人以上は存在するのだから、それほど珍しいものではない。
 でも、まあその外脛骨があると、転びやすかったり、長時間歩くと疲れやすかったりするらしい。
「清尾さん、子どものころ遠足のあとひどく疲れたりしませんでしたか?」
 そう聞かれても覚えていないし、長い時間あるけばたしかに疲れるけど、それがほかの人と比べてどうなのかは知りようもない。しかしダウンしてしまったとか、もう一歩も歩けないなどということになった記憶はない。でも、そんなことはどうでもよく、僕の症状は足底筋膜炎(そくていきんまくえん)で、その骨があるとなりやすいのだという。あらら。
 しかも偏平足の人もなりやすいという。あららら。
 ダブルじゃん、俺。外脛骨のことは初めて聞いたけど、偏平足は子どものころから言われてきた。ダブルの人の割合は何人に1人なんだろう。

 何千人に1人だろうと、自分にとっては発症するかしないかの2つに1つで、発症してしまったのだから仕方がない。ちなみに53歳になるまで発症しなかったのは幸運で、おそらく革靴生活が短かったことも影響しているだろうという。治療としては、土踏まずの部分にパットの入ったサポーターなどを常用するしかないらしい。ランニングシューズなどでそうなっているものもあるけど、自分の痛い部分に合わせた方がよいし、どんな靴をはいても対応できるので、サポーターを通販で注文した。
 なるほど。はいていると痛みはやわらぐ。靴がちょっと窮屈になるのは仕方がない。だが、はき始めてそろそろ3週間になるが、完全に痛みが取れるわけではない。治るまでの時間に個人差があるのは仕方ないが、気が長い方ではないのでちょっと焦れてきた。
 実は最初に整形に行ったとき、サポーター以外の治療法も教えられた。サポーターと同じ考え方だが、その人の足型を取ってその土踏まずの形にぴったりの足底板(そくていばん)を作った方が効果は大だと。足底板?そう言えば永井(雄一郎)や啓太もそんな名前のものを使っていたな。
 それはたしかに市販品より自分オリジナルのものの方が良いに決まっている。だが価格がサポーターに比べて高い。そんなわけで、とりあえずサポーターをして様子を見ていたのだった。だが、これは多少費用がかさんでも治りが早い方がいい。
 そう思って10月21日、再び整形に行った。今度は医師でなく足底板を作ってくれる技師のところだ。水につけると固まる石膏をまぜたギプスみたいなものを足に巻きつけて丁寧に型を取っていく。その技師は型の上から僕の左足全体を手で押さえ、感心したように「ああ、なるほど…」とつぶやき、僕を見て苦笑。もう、いいよ。わかったから。
 なるほど、と言われるほど典型的な足底筋膜炎候補だったのか…。まあ若いうちに発症しなかったことを幸せに思い、その日に行われたフレンドリーフットサルもパスした。

 その翌々日、つまり磐田戦の日だ。朝、出かけるときにいつものにぶい痛みを足の裏に感じて、「これが本当になくなるのかな…、長かったな」と思ったとたん、あることに気がついた。
 痛み出したのは名古屋戦の翌日。名古屋戦といえば、レッズが最後に負けた試合じゃないか。その次の仙台戦で先制されたが追いついて引き分けてから、公式戦10試合負けなしだ。もしかして、この足の痛みはそれとリンクしているのか?じゃあ、この痛みが完治したら…。
 試合に勝つためのゲンなら、何でもかつぐ僕だから、とりあえずレッズの負けなしが続いている間は、これぐらいの痛みは我慢しようかと思った。シーズンオフになってから徹底的に治せばいいんだから。

 という僕の発見と崇高な決意は10時間後に、崩れ去った。そりゃ関係ないわな。
 3位のガンバ大阪と勝点8差。7試合でこの差は楽ではないが、直接対決を控えているので、そこを楽観的に解釈すると6試合で勝点5差と考えてもいい。これから全部勝てば勝点62で通常なら優勝ラインに近い。
 C大阪に勝った時点で残り8試合に全勝だと、通算で11連勝ということになり、年間8連勝が最多のレッズには厳しい数字だが、磐田に負けた現時点での残り全勝というのは7連勝。これならそう遠大な目標でもない。
 楽観的を通り越して能天気な考えだが、正直言えば連勝中も圧勝していたわけではなく、少しの差で勝っていたのだから、磐田戦の試合内容が特に悪かったということではない。
 レッズのチーム改革は1年半かけてじっくりやってきたもので、一気に変わるわけではないが確実に少しずつ良くなっていく。それが現象として現れてきたのがリーグ戦8試合負けなしだ。何か特別なことで急に良くなったものではないから、逆にすぐに崩れることもない。自信を持って山形戦に臨めばいいと思う。

 だけど、試合によっては苦しい時間帯やちょっとしたミスから失点することはある。そんなときこそ支えが必要なのだ。
 さあ今日完成する足底板を取りに行って来よう。
(2010年10月28日)
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