Weps うち明け話
#268
今年最後に
 ガンバの話が今年の最後になるのはごめんだ。レッズの話で締めないと。

 マルシオ・リシャルデスの獲得が発表されたとき、思った。トゥット、エメルソン、エジムンド、ワシントン、エジミウソン…。レッズは他のJクラブで成功した選手を獲る比率が高いなあ、と。ロビーやネネ、アルパイ、ゼリッチのようにレッズが日本でのクラブは初めて、という選手もいるので、すべてというわけではないが、少し寂しくはある。
 レッズのようなビッグクラブは積極的に新しい外国勢を見つけてこなければいけない、という指摘には、大きなお世話だ、と思うが、特に最近の攻撃陣は、以前レッズサポーターから大きなブーイングを飛ばされていた選手が多いので複雑な気持ちになることは確かだ。昨日の敵は今日の友、が常識のサッカー界だが、サポーターもなかなかすぐには受け入れられないときもあるのではないか。
 かつて、ギドやバイン、ボリ、チキ、ネイハイス、ペトロといった選手を招聘した実績もあるのだから、海外とのパイプがないわけではないだろうが、ヨーロッパの選手は高くて、もはや手が出ないのだろうか。南米には比較的安い年俸で契約できるブレーク前の選手がまだ大勢いるのではないかと思うのだが、そういう選手を発掘するルートは持っていないということなのだろうか。そこは今度、聞いてみたい。

 だが、こう思い直した。
 それならそれでもいいかな、と。他のJクラブに属したことのない外国勢で、レッズで活躍しそうな選手を探す労力とリスク、それに経費。それをアカデミーの育成に回し、レッズ育ちの中心選手を将来的にもっと増やしていく、というなら、それも有りだ。外国勢は、やや高いが他のJクラブでお試し済みの選手を、計算できる助っ人として獲得する。かけられる経費が限られている中では、そういう割り切り方もある。
 サポーターは、いまレッズのために全力を尽くす選手を応援するのであり、以前どのクラブにいたかどうかは関係ない。札幌時代のエメルソンや、清水時代のアレックスに対するブーイングの大きさはすごかったが、レッズでの愛され方も本物だったと思う(アレックスは日本人になっていたが)。そういうサッカーの文化に慣れてきたとは思うが、じゃあレギュラー選手の大半が移籍獲得組でいいのか、というとそれでは寂しい。
 プロではレッズ一本でやってきた選手が多くを占め、足りないポジションを外国勢を中心とした移籍でまかなう、というのがレッズの理想だ、とかつて強化担当をしていたスタッフから聞いたことがあるが、その精神は今後もレッズにあり続けて欲しいと思う。そこも今度、聞いてみたい。
 先日の天皇杯G大阪戦では、先発11人のうち、レッズ生え抜きが8人(うち3人がレッズユース出身)、外国勢が2人、日本人移籍組が1人となっていた。リザーブの7人は全員が生え抜き(うち4人がユース出身)だ。これで優勝できていれば申し分なかったが、そうはならなかったから、現在いる選手をもっと強化するか、強い選手を外から連れてこないといけない。そういう点ではマルシオ・リシャルデスも有りだろう。あのFKを直接決める技をレッズでも発揮してくれたら、今季の弱点の一つは補える。PKの決定率はそうでもないようだが(少なくとも今季は)。

 外国勢の件はそれでいいとして、チームの構成として大事なのは中心選手だ。それも精神的な中心。いろいろなことを伝道してくれたロビーとの契約を終了し、若手に信頼があってこれからさらに精神的な支柱として太くなっていくはずの細貝もいなくなった。彼らの役割を今後担っていくのは誰なのだろうか。
 人間の集まりというのは、長い間に役割というのが決まっていくものだが、自然にそうなるのを待てないときもある。だからクラブの強化担当者が意識してそういう選手を育てていくことも必要だと思う。監督やコーチ陣がやらないこと、やれないことをするスタッフも必要なのだ。
 監督が交代し、選手に大きな信頼があった2人が抜けて始まる2011シーズン。ゼロからとは思わないが、いろいろな関係が作り直されることだろう。元レッズの選手だったとはいえ、監督のペトロには10年のブランクがある。彼は埼スタ時代を知らないから、逆にペトロを直接知らないファン・サポーターの方が多いはずだ。コーチ陣も変わる。
 そこをフォローするのは、ずっとレッズを見てきたクラブのスタッフにほかならない。せっかくの戦力が戦力として機能するように、年明けから練習開始、キャンプなどを経てチームが固まっていく間に、強化担当を中心としたクラブのスタッフの力が大きな力を傾注しなければならない。それが2011シーズンを左右することにもなると思う。
(2010年12月28日)
〈EXTRA〉
 もっと、全般的に書くつもりだったが、更新締め切り時間が迫ってきたので、この辺で。
 レッズファミリーとしては年末までもっと試合があって欲しかったですが、2010年最後の試合が勝利(レッズレディースの全日本女子準決勝)で良かったです。2010シーズン最後の試合、そして2011年最初の試合が勝利になるよう、元日決戦に思いをはせて今年最後の更新を終わります。今年もありがとうございました。
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