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Weps うち明け話
#286
“指導”の賜物?
 4月24日の名古屋戦。試合終了後、マルシオ・リシャルデスが場内インタビューを終えると北側のゴール裏に駆け寄り、着ていたユニフォームを脱いで、スタンドへ投げ入れた。あのユニは、どういう人がゲットしたのだろうか。

 それはともかく、あんな光景を見たのはいつ以来だろうか?
 僕がすぐに思いつくのは98年だ。現監督のペトロヴィッチがレッズの選手として本格的にプレーし始めた年、レッズはリーグの開幕をホーム駒場で迎えた。相手はジェフ市原(当時)。前半2−2から後半11分に大柴が勝ち越しゴールを挙げ、これが決勝点となってレッズが勝った。試合後、ペトロは自分のユニフォームを脱いでゴール裏へ駆け寄り、投げ入れたのだ。3月21日だった。
 しかも第2節のアウェイ、横浜国際総合競技場で横浜Fに勝った後にも、ペトロはやはりユニフォームを投げ入れたのだ。これには関係者が驚いた。勝つたびにユニフォームをサポーターにプレゼントしていたら、試合で着るものがなくなってしまう。選手のユニフォームはすぐに補充されないのだ。
 その年の4月18日に発行されたMDP120号にペトロヴィッチのインタビューで、そのことを質問した。以下、抜粋。
   *    *    *
★開幕戦と第2節で、勝ったあとユニフォームをスタンドに投げ入れたでしょう。サポーターは大喜びだし、チーム関係者は困っているでしょうが、今後はどうするんですか。
ペトロ ユニフォーム代を私が払いましょうか(笑)。あれは、去年の終わり方がふがいなかったので、開幕2試合に勝ったときはサポーターと喜びを分かち合いたかったのです。もうやりません。今度やるときはタイトルを獲ったときです。それまで待っていてください。
   *    *    *
 それからペトロが本当にユニ投げをやめたかどうか記憶にない。いつだったか、スタッフがスタンドに上がってユニフォームを拾った人を探し、後でプレゼントするから、とりあえず返して欲しいと頼んでいたような記憶があるのだが、それはこの2試合でだったろうか。それとも“再犯”(笑)のときだったろうか。
 24日のマルシオも、レッズに移籍してきた初めてのホームゲームで勝利。しかも自分が先制・決勝点を挙げた。そしてサポーターと一つになって戦った達成感から自然とああいう行動になったのではないか。ふだんはおとなしいイメージの彼なので、ちょっと意外だったが。

 24日は、42,767人という、今季Jリーグ最多ながらレッズのホーム開幕戦としては少ない入場者だったが、一体感は十二分に感じた。実際に毎回、場内インタビューを受けた選手が終わるたびにユニフォームを投げ入れていたら、その後の試合の準備が大変になるが、そのことは横へ置いて、選手がユニフォームを投げたくなるような、そんな雰囲気が毎試合できていけば、いろいろな意味で最高のシーズンになるはずだ。そんな期待さえ抱いてしまうホーム開幕戦だった。
 かかった経費は監督に言えば、喜んで負担してくれるんじゃないか。あれ?まさか、そんな“指導”はしてないよな。
(2011年4月27日)
EXTRA
 次によみがえって来た記憶は、そちらの方が新しいのだが、08年4月5日、エコパスタジアムでの磐田戦だ。あの年は開幕、第2節と連敗し、オジェック監督が解任された。エンゲルス監督が指揮を執り、ナビスコ杯2試合を挟んで第3節の新潟戦でリーグ初勝利。第4節〜5節は清水(日本平)、磐田(エコパ)と静岡アウェイ連戦だったが、それにも勝った。しかも2試合とも逆転勝ち。磐田戦の決勝ゴールは闘莉王が決めたのだった。
 分が良くない静岡でのアウェイで逆転勝ち。時期的にも監督が替わって再出発し苦しいときだったが、試合も苦しかった。それを勝ち抜いたのはサポーターとチームが一体となって戦った成果。闘莉王はそう思ってサポーターにユニフォームを投げ入れたのではないか。やはりユニフォーム投げは、一体感の証なのかもしれない。

(2011年4月27日)

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