Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#290
お誘い活動
 駒場スタジアムの最多入場者記録は、95年9月9日の磐田戦で、22,150人とある。ここ数年の駒場では見たことがない数で、自由席はパンパンだったはずだ。
 先週5月28日の新潟戦は25,272人。数から言えば95年の磐田戦よりも3,000人以上多い。相手サポーターの数を引いてもこの新潟戦の方が、レッズファン・サポーターの数は多かっただろう。

 だが数だけでは見えないものがある。
 95年の駒場は、どれだけ見に来たい人が多くても、それ以上はスタジアムに入れなかったのだ。だからチケットさえあれば、駒場のキャパがもっと広ければ、22,150人ではなく、25,000人や30,000人になっていた可能性もある。
 この9日は土曜日で、この前節の6日は水曜日にも関わらず20,417人の入場者があった。ここでレッズが福田正博の2点を含む3対2で勝利したことも、9日のチケットのプラチナ化に拍車を掛けたのだろう。95年9月9日のモギリ前のチケットがあったら超がつくレア物だ。お宝鑑定団に出して値段がつくかどうかはわからないが、それほどこの日のチケットをみんな血まなこになって探したに違いない。
 一方、今年の新潟戦は、チケットはもっと売れていたにも関わらず(シーズンチケットだが)、25,272人“しか”来なかった。5月にホーム4試合は、全部行くには多すぎるということもあったかもしれない。もちろん天候もあっただろう。だが最大の要因は、勝てていないことに違いない。21日の鹿島戦で2対2に追いついてから逆転勝ちしていたら、15日のC大阪戦で1対0のまま勝ちきっていたら、何より47,056人が来た横浜M戦で勝っていれば――。いまさら検証のしようもないが、新潟戦の入場者はだいぶ変わっていただろう。

 昨年17試合のホームゲーム平均入場者は39,941人。これ自体が一昨年の平均より4,269人減っているのだけど、今季のこれまでの5試合平均は、36,837人で、昨年平均よりさらに3,104人も下がっている。
 昨年の入場者は試合を追うごとにだんだん減っていったのであって、開幕から5試合の平均を取ると、45,145人もあった。それが終わってみれば平均4万人を切る状況になった原因は、やはりホーム17試合のうち7試合しか勝てなかったということに尽きる。もし8月28日の鹿島戦で、ロスタイムに追いつかれることなく1対0で勝ちきれていれば、あの試合は51,000人以上入ったのだから、その後の入場者に好影響を与えていたのではないかと思うと残念でならない。これも検証のしようがないのだけれど。
 この漸減傾向が今年も続くとしたら、本当に由々しき事態だ。それでも他のクラブに比べれば、はるかに多い入場者収入があるとは言え、経営規模もそれに応じて大きくなっている。これをシーズン途中で縮小していくことは、どういう分野にせよダメージになる。それがさらなるダウンを生む縮小再生産につながっていくことだってある。
 経営数値だけの問題ではなく、空席が半分以上あるスタジアムは、戦うチーム、応援するサポーターのモチベーションを今より上げる材料にはなるまい。

 数字を並べて危機感をあおるだけが目的で書き始めたのではなかった。
 25,727人が入った埼スタのスタンドをクラブスタッフが見るとき、どこに目が行くか。
 埼スタのイスは他のクラブのホームスタジアムと違い、ほとんどがチームカラーの赤系ではないから、空席は目立つ。まとまって見える青い(緑もある)イスを見て、何とかそこを埋めたいとクラブスタッフなら考えて当然だし、その努力はして欲しい。
 だが逆に、そこに来てくれているレッズファン・サポーターを見ることも必要だ。こんな状況、こんな天候でも、来てくれた人たち(ちなみに第13節では群を抜いて最多だ)。
 僕が昔、営業をやっていたとき「大雨が降っているときほど、スポンサーのところに行け。こんな日なのに来てくれた、相手は感心するぞ」と言われたものだが、その是非はともかく、あの25,727人への感謝の念を忘れてはいけないと思う。感謝の念を忘れないと同時に、さらにオンブにダッコしてもらうのはどうか。

 レッズが売る、試合のチケット。他の一般の商品もモノによっては、愛用者が周りの人に勧めたくなるかもしれないが、レッズの試合はその要素がより強いのではないか。近所の人、職場や学校の友人、仕事先の知り合い…。自分の知己がレッズファン・サポーターになってくれたら、そこでの話題が増えてさらに楽しいはずだし、一緒に試合に行く楽しみもできる。何も怪しげな集会に誘うわけではなし、問題はないだろう。
 いま埼スタに毎回訪れているファン・サポーターに依拠して、お友達お誘い活動を展開してもらうのはどうだろう。お誘いグッズも作って配布するのもいいのではないか。1人が1人を連れてきてくれれば、どうなる?

 もちろんクリアしなければいけないことはある。まずは、友人に見せたくなるような試合をレッズがしなくてはならない、という根本問題がある。それよりももっと大事なことは、今来ているファン・サポーターが、そういう活動に参加してもいい、と思えるようなクラブになることだ。どこをどうすればいい、というのは簡単ではないので、別に機会に書きたいが、少なくともクラブとサポーターの思いは一緒、と感じられるようでないと、それは難しいかもしれない。だが、その努力は、何も観客お誘い活動に参加してもらうためではなくても、クラブがやっていかなくてはならないことだろう。

(2011年6月3日)

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