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Weps うち明け話
#319
2012シーズンに向けて・その1
 明けましておめでとうございます。
 今年もこのコラムをよろしくお願いします。

 昨年末、「2011シーズンとは」と題して5回連続で、浦和レッズの、主にクラブが抱えていると思われる問題点を論じてきた。「6.誰が代表でも」まで書いて、年が替わったが、まだ書こうと思ったことを全部書き終えていない。しかし新年から「2011シーズンとは」と昨年をテーマにするのもはばかられるので、「2012シーズンに向けて」とタイトルを変えてお送りする。内容も今後への提言っぽくなっていくし。ただし、あくまで昨年の続きなので、小見出しも通し番号になっている。

7.まずクラブが一つに

 何度書いたことだろう。
「浦和レッズは一つになれば強い」
「レッズの最大の武器は一つになったときの強さ」
 ここ数年のMDPに何度も書いたような記憶がある。だから「清尾、また書いてるよ」と思ったMDP読者も多いはずだ。

 こういうふうに書くということは、裏返せば、そのときにレッズが一つになっていないと僕が感じており、かつ成績が良くないということにほかならない。
 日常的にクラブとファン・サポーターが気持ちを通じ合わせ、シーズンを通してクラブの考えとチームの方向性が一致しており、そして試合ではチームの戦いを完全にファン・サポーターが後押しする。そうなったときに、Jリーグトップクラスの財政規模とJリーグナンバーワンの入場者のアドバンテージが最大限に生かされると思う。
 いかに年間予算が群を抜いていようと、いかにホームゲームで多くの入場者があろうと、いかに試合中ずっと立って声を出すサポーターが多かろうと、その見ている方向や力の入れどころがバラバラでは、パワーがパワーとして発揮されない。簡単に言うと、もったいない。

 浦和レッズが一つになるためには。
 その大前提として、クラブが一つになっていなければいけない。
 代表を始めとして、幹部、スタッフがクラブの方針を十分理解し、その遂行のために全員で邁進していくことが、クラブが一つになっている、ということだ。
 表面だけ取り繕っても、クラブの中がバラバラになっていることは、何となく周りに伝わる。そんなクラブが旗を振っても、ファン・サポーターは自信を持って前に進めない。家族だって、お父さんとお母さんの考えが一致していないことが明らかなのに、みんなで一つになって頑張ろう、とお父さんが子どもたちに言っても、いま一つ説得力がないだろう。
 もちろん、クラブの上から下まですべてが同じ考えになる、ということは難しい。というか宗教団体じゃあるまいし、それはあり得ない。サッカー戦術の好みや強化のステップは人によって考え方は違うはずだし、予算の振り分けや人員配置の濃い薄いについても意見はいろいろあるはずだ。
 僕はクラブ内で、もっと議論がされるべきだと思う。チームのことは強化部だけ、試合運営のことは運営部だけ、グッズのことは営業部(MD部)だけ、というのではなく、すべてのスタッフが浦和レッズに関わるすべてのことに自分の意見を持つべきだし、それを一度以上は公式な場で披露する機会が与えられるべきだと思う。

 運営部のスタッフがアカデミーに関して、アカデミーの指導者がグッズに関して、営業部のスタッフが広報活動に関して、広報部のスタッフがチーム強化やレッズのスタイル作りに関して、強化部のスタッフが試合運営に関して…、お互いにもっと言い合えばいい。ときには批判し合ってもいい。
 一つになる、というのは、独裁的に組織を運営するとか、上が決めたことに下は唯々諾々と従うだけとかではない。多くのスタッフが意思決定に加わり、議論、激論を闘わせた上で、その結果、決まったことについては全力で遂行する、というのが組織だと思う。それをせずに、たとえば外部に愚痴をこぼしたりしていては、とてもクラブが一つになっているとは見られない。

 2004年10月23日、レッズサポーターはカシマスタジアムでの鹿島戦に際し、3,000人のバスツアーを敢行した。企画からバスの手配、参加者の募集と受付、収支の管理まで全部自分たちでやったのだが、そのためにそれぞれの仕事が終わってから集まり、会議をやった。僕も一度だけ参加したが、あの深夜に及ぶ会議を何度もやったと聞き、頭が下がった。大変だったと思うが、だから当日はトラブルもなく、あのツアーが遂行でき、カシマスタジアムで一つになった応援ができたのだと思う。

 以前、仲町にだけオフィスがあったころは、隣の部がやっていることは嫌でも耳に入ってきた。だから物事が決まる前に部外者が口を挟むことができた。横槍ではなく、それが良い方に機能していたと思う。
 今はクラブの事業所が埼スタ、大原、仲町、レッズランドに分かれていて、お互いの意思疎通がしにくい環境にあるのは確かだ。だからこそ、意識して声を出し合わなければいけない。
 そして、まずはクラブが一つになって、2012シーズンの準備をして欲しい。
(2011年1月6日)
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