Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#325
地域の文化に貢献するのは
 先週は1本だけで終わってしまった。
 フェスタの話は、もうタイムリーでもないから飛ばして、NHK地域放送文化賞に関わることを書こう。

 思いがけず、こんな賞をもらうことになった。
 http://www.nhk.or.jp/shutoken/topic/120113bunka/
 2008年の9月からNHKさいたま放送局の番組「週刊☆サッカー王国」のレギュラーコメンテーターをずっと務めていることでいただいたのだが、本当に思いがけないことだった。というのは、一緒に受賞した1団体4人の方々の活動を見てもらえばわかるとおり、たしかに地域の文化活動に深く貢献してきた方々ばかりだ。僕と土地さんは、そもそも地域に根差し、人々の暮らしに少なからず影響を与えているJクラブの浦和レッズと大宮アルディージャの活動について、自分が取材していることを毎週ラジオでしゃべっているだけだ。たまたま、それが我々2人だったということで、何か特別なことをしている気はまったくない(土地さんまで含めてしまい恐縮だが)。8日に行われた表彰式では、何か申し訳ないような気持ちだった。

> 日本で最もファンの数が多いプロスポーツは、プロ野球だろう。一番、というのを何で計るかだが、試合の年間総入場者でもいいし、テレビのスポーツニュースで取り上げられる順番や時間の長さでもいい。その2点において、Jリーグはまだプロ野球に及ばない。1試合平均の入場者になると、それほど変わらないが、年に一度でも生で試合を見る人となると相当差が出るだろう。それはイコールファンの数の差、と言ってもいいはずだ。
 だがJリーグには、プロ野球にない特色がある。少なくないファンが、心情的により深くクラブやチームに関わろうとしていることだ。単にサポーターと呼ぶだけでは済まないと思う。ゴール裏で立って声を出して応援する人たち以外にも、チームの成績だけでなくクラブの進む方向にまで心を馳せ、時には真摯なメールをクラブに送り、時には怒りを爆発させる人は多い。そういう人は毎日の暮らしや人間関係にもサッカーが色濃く影響している。
 またホームタウンの自治体やそこにある商店会、地元の企業、地域団体などの積極的な支援、関わりなしにはJクラブは存続しにくいが、それによってまた自治体、商店会、地元企業、地域団体などは否応なしにJクラブの影響を受けている。
> 斎藤佑樹投手の日本ハム入団フィーバーのような大騒ぎではないが、Jクラブの存在は見えないところで地域の人々の暮らし、文化形成、時には経済活動にも根強く関わっていると思う。

 ある企画の取材で、ホームタウンに住む何人かのサポーターの20年の歩みを聞いた。
 今季、レッズは「REDS 020th」という、クラブ設立20周年をテーマにした活動を行っていくが、10年や30年ではなく、20年という区切りは一つの特徴があると思う。
 人間なら成人なんだから、もっとしっかりしろ?そういう擬人化した表現もできるが、実際の人間に目を向けると、今年20歳になる人はすべて浦和レッズが誕生してから生まれた人なのだ、ということを考えたい。クラブスタッフには、さすがにまだいないが、さいたま市の職員、ファン・サポーター、そして山田直輝のような選手。Jリーグが日本にできてから生まれた人たちが大人になる、それがこの年なのだ。
 たとえば、今季横浜FCに移籍した堀之内聖。彼の小学生時代は、Jリーグがなかった。将来の夢はサッカー選手、だったかもしれないが、日本におけるプロサッカー選手の具体的なイメージはほとんどなかったはずだ。しかし、山田直輝は小学生のときから、いやもっと前から駒場で浦和レッズが試合をしていたのだ。「この場所で、このサポーターの前で、プロとしてプレーしたい」という、ものすごく具体的な目標を持って小さいころからサッカーをやってきたわけで、その違いは大きいと思う。
 同じことはファン・サポーターにも言える。小学校、中学校での話題、あるいは家庭での話題、週末の楽しみとしてJリーグの試合が普通にある生活を送ってきた人たちと、大人になってからJリーグができたことで新しい楽しみ、あるいは生きがいを見出した人たちとは、何かが違うのではないか。
 そんなわけで今年は、一つの区切りとして刻まれるべき年だ。

 この後、10年、20年と経つに連れ、社会のいろいろな分野で「Jリーグあって当たり前世代」が中心になっていく。そのうち選手はすべてその世代になるだろうし(最後に残るのが山田暢久だったりして)、クラブスタッフもそうなっていく。もちろんファン・サポーターもそうだし、メディアの関係者もそう、会社の社長さんや、自治体の首長、議員もそうだ。
 想像してみて欲しい。
 クラブの代表が、そういう世代の人になるころの浦和レッドダイヤモンズを。
(2012年2月13日)
 EXTRA
 そんな世代が社会の主流になる時期まで、僕がMDPを作っていることは考えにくいが、そういう浦和レッズはぜひ見たいと思う。
 その未来のレッズがより充実したクラブであるためにも、今の歩みが絶対的に重要だ。というわけで、今日から指宿キャンプに来ました。いろいろな媒体を通じて様子を伝えていきます。

(2012年2月13日)
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