Weps うち明け話
#335
短く感じた試合
 たまに「今日は試合が短かったなあ」と思うことがある。

 レッズが一方的に押している試合では、そうでもない。ずっと主導権を握っていれば、逆にどこかでゆっくりする時間もあるからだ。
 攻守の切り替わりが速い、攻めているかと思えば奪われて逆襲され、そのボールをまた取り返すという展開がずっと続いている試合が、一番短く感じると思う。
 そういう試合では、ほとんど動いていない僕も、終わってから疲れを感じる。となると、普通の試合では知らず知らずに気持ち的に休んでいる時間もあるということか。

 5月26日のF東京戦もそうだった。
 前半の途中などは、剣道の「つばぜり合い」を思い出した。
 僕が部活動で剣道をやっていたころは、気心の知れた相手との稽古のとき、疲れてきたらつばぜり合いに見せかけてお互いに休むようなこともあったが、あの味スタでのそれは、もちろんそんな手抜きのつばぜり合いではなかった。
 中盤での攻防からは、お互いに少しのミスも見逃さない、集中した様子が伝わってきた。ちょっとのミスでボールを奪われ、ちょっとのミスで決定的場面を作られる、という緊張感がビンビンだった。
 引き続き剣道で言うと、お互いに一本決まった! という場面があったが、どちらもわずかに浅かった。前半が終わっただけで、どっと疲れを感じた試合だった。
 そして結果は1-1。F東京相手の連勝記録が途切れたのは残念だが、すでに昨年の天皇杯で仕切り直しみたいなものだったし、勝った試合で内容もはっきり覚えているものが多くないに比べ、最高のドローとして記憶に刻まれた。たとえ0-0のまま終わっていたとしても、その価値が大きく減じられることはないのではないだろうか。

 19日には、久しぶりに埼スタで勝利して、1か月後のホーム仙台戦を待つ。26日には、今季のベストバウトとでも言うべき試合をして6月6日のアウェイ鳥栖戦(ナビスコ杯)を待つ。今季は良い形で短期間の中断に入れた。
 1月20日の始動以来、今季初めての3連休でリラックスした選手たちは今日からまたハードな練習に入る。F東京戦で決められなかった3回のビッグチャンス、決められてしまった1回のセットプレー。あと少しで勝敗の針をこちらに傾けることができる最後の部分で勝てるように、腕を磨いて欲しい。
 今日からリスタートだ。
(2012年5月30日)

(2012年5月30日)
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