Weps うち明け話
#336
ナビスコ杯残り2試合
 お、旧浦和市の郵便番号か(一部を除く)。昔、そういう名前の映画サークルがあったな。

 前回のコラムが#335。
「MDPはみ出し話」が#365で終了したから、通算700回を数えたことを、読者から指摘されて知った。
 700回というと多いようだが、毎日書いていたら2年足らずで終わる量だ。テレビやラジオは毎朝月~金で同じ番組をやっているし、その中で解説やコラム的なものを生放送で話している人もいる。それに比べれば、平均週1回、それも不定期更新のネットコラムを続けていくのは、大したこととは言えないだろう。
 決して卑下しているわけではなく、自分の力を考えたときに、このペースだから何とかやって来られたのだと思う。以前は、MDPのコラムあり、NHKさいたまの「週刊サッカー王国」ありで、そんなに無理だと思ったこともあったが、内容と量の違いで住み分けができてきた気がする。それぞれ、それなりに苦労はしているが。
 いつまで、このコラムをやらせていただけるか定かではないが、ちょうど今年の終わりごろに#365を迎えるはずだ。365というと1年の日数で、何となく区切りがいい。そのときに何かちょっと考えることにしよう。


 さて本題で、レッズの話。

 3月10日にJリーグの開幕を迎え、5月26日まで公式戦17試合。78日間で17試合というのは4.5日に1試合くらいの割合になり、かなりのハイペースだった。実際、毎週土曜日(一度だけ日曜日)は必ずリーグ戦があり、たまに週の半ばにも試合があるという状況が続いていた中で、10日間も試合が空くのは初めてのことだ。
 明日のサガン鳥栖戦は、今季初めてリーグ戦とほぼ同じメンバーで臨むナビスコ杯となる。
 現在2勝2敗のレッズは、予選リーグ突破のために、残り2試合を勝った上で他チームの成績次第、という状況だ。勝点12取れば大丈夫と思っていたが、それは最低ラインであり、十分ではない。まずは鳥栖戦に絶対に勝たなければならない。

 ナビスコ杯の予選リーグ2試合を残して、突破のためには引き分けも許されない。そういう状況は以前にもあった。
 2004年。このころの予選リーグは今と違って4チームがホーム&アウェイで戦う方式(それが普通だ)で、レッズは大分と清水にそれぞれ1勝1敗。計2勝2敗のグループ2位で、首位市原との2試合を残すだけとなった。
 市原は2試合を1分け1敗すれば、最低でも2位が確定するという状況。逆にレッズは1試合でもドローになると、清水と大分の結果次第では3位に落ちてしまい、自力で予選突破を決めるためには、同じ相手に続けて2試合勝たなくてはならないという、きつい状況だった。

 だが、そこで勝った。
 決して楽ではなかった。ホーム駒場で行われた第1戦は、終盤まで0-0で進み、34分に先制されてしまった。万事休すに思われたが、直後に長谷部が同点弾。終了間際に岡野が逆転ゴールを決めたのだった。
 アウェイの第2戦の会場はなぜか松本平広域公園総合球技場(アルウィン松本)。ここでは前半4分に先制されるが、8分に山田が同点とし、後半21分に再び山田が逆転弾を決める。この年からキャプテンを務めた山田が珍しくゴール裏のサポーターに向かってガッツポーズを見せた。
 第1戦からそれまでずっとスローテンポなプレーに終始してきた市原は、急にスピードアップを図るが、追いつくことはできなかった。レッズは結局4勝2敗のグループ1位で予選を突破し、その後ナビスコ杯の決勝にまでコマを進めたのだった。

 この2戦を振り返れば、相手が自分たちの優位を生かそうとして失敗した面もあるが、大事なことはレッズの側に諦めない気持ちがあったことだ。
 2年連続ナビスコ杯の決勝に進出して前年は初優勝を決めているチームが、予選で姿を消してたまるか、という気持ちだったのか。それともリーグ戦の第1ステージを歴代最高タイの3位で終えたことから来る自信だったのか。
 とにかく選手たちから感じる気迫は相当のものだった記憶がある。
 そして予選突破を決めたこの2戦が、第2ステージを戦って行く上での自信にもなったのだろう。そして2004年第2ステージの成績は言うまでもない。

 今年のナビスコ杯、8年前とまったく同じではないが、残り2試合に勝たなければならないという状況は変わらない。
 その上、相手の鳥栖は今季ホームで公式戦5勝3分けというチームだ。
 勝たなければいけない試合で、しかもホームで負けがない相手。今季、比較的好調に見えるレッズが、そういう状況で勝てるのか、勝負強さがあるのか、リードしたとして勝ち切れるのか。ナビスコ杯の予選突破だけではなく、リーグ戦の再開後を占うような意味もありそうだ。また鳥栖もいつかはホームで負ける日が来るだろう。その最初のチームにレッズがなればいい。

 いろんなことが試される試合として、明日が非常に楽しみだ。
 決して、夜の博多(だけ)を楽しみにしているわけではない(仕事が全部終わるのは24時近くなりそうだし)。
(2012年6月5日)
EXTRA・1
 正直言えばシーズン前は、サガン鳥栖に対して「ホームで土をつけるチームにレッズがなりたい」と書く状況になるとは想像していなかった。これがもっと早い時期の対戦だったら、「調子が良さそうでも、2位昇格のチームだから」と侮る気持ちがどこかにあったかもしれない。まったく失礼な話というか、見る目がないというか。
 だが鳥栖の力が本物であることは、ここまでの数字が示している。明日は謙虚に襟を正してベアスタに臨むことができるというものだ。
EXTRA・2
 #334で始めた「もしも…だったら」のスピンオフを清風庵ホームページ「春夏秋闘」に書いた。まだシリーズ化もしていないが、一応こちらが本家ということを示す意味で「スピンオフ」とした。こっちでの第二弾も近いうちにやらねば。

(2012年6月5日)
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