Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#338
そして(僕以外)誰もいなくなった
 08年9からNHKさいたま局で放送している「週刊☆サッカー王国」のアナウンサー、渡辺裕之さんが、先々週6月8日の放送を最後に異動になった。
 浦和生まれ浦和育ちで、シーズンチケットホルダーでもある渡辺さんがさいたま放送局に転勤してきて、実現の運びとなった同番組だった。公私混同?全然そうは思わない。スタッフが自分の興味、得意分野で企画を立てるのは当然のことだし、レッズとアルディージャの情報を、地方局が毎週流すのもまったく自然のことだ。僕のレギュラー出演が自然なことかどうかはわからないが。
 
 どこまでNHK内部の話をしていいのかわからないが、これは差支えないだろう。
 4年前、「週刊☆サッカー王国」の立ち上げと、出演依頼の話が僕にあったとき、NHKさいたま局から3人の人が来た。渡辺さんと、同局の当時の放送部長、そしてもう1人番組を担当する工藤むつみさんだ。当初は30分番組だったが、しばらくして放送時間が50分に増え、アルディージャ情報を担当するレギュラー出演者として、埼玉新聞社の田付智大さんが加わった。
 その後、放送部長が転勤になった。そして田付さんは社内異動で運動部を外れたため、アルディージャ情報担当の出演者が土地将靖さんに替わった。さらに、この3月で工藤むつみさんが契約満了となり、4月から野田亜耶奈さんが担当している。
 そして、このほど渡辺さんが転勤になった。

 2010年の初めだったと思うが、浦和レッズのフィンケ監督(当時)がこんなことを言った。
「私がこのクラブに来たときにいた社長(藤口さん)がいなくなり、常務(新田さん)がいなくなり、TD(信藤さん)がいなくなり、今では私が一番古くなってしまった」。
 単に事実を並べただけとも、ジョークとも、クラブ批判とも受け取れる言葉だが、今回の渡辺さんの転勤を聞いて、この言葉を思い出したものだ。
 当時の放送部長と渡辺さんが話し合って立ち上げた番組。そこに最初から参加していた工藤さん。ちょっと遅れて参加した田付さん。みんないなくなってしまい、当初のメンバーで残っているのは僕だけだ(制作スタッフは別として)。

 こんなことを考えた。
 外部の人間が一番古いって良くないんじゃないか。
 そもそも、この番組自体が続くのか。
 新しくアナウンサーとしてさいたま局に赴任して来られる(来られた)野地俊二さんは、サッカーファンなら誰でも知っているベテランだから、番組を続けるにしても内容を一新した方がいいんじゃないか。

 そんなことが頭に浮かんだ。
 それまであまり考えたことがなかったが、いつかはこの番組が終わるか、僕が降りるかするんだろう。
 それはそれで残念だが、これまで土曜日に遠くのアウェイでデーゲーム(たとえば今年の札幌)があっても前泊できなかったのが、できるようになるな、とか、2週間に一度のコラムの当番のときとMDPが重なったときに、テーマに悩まなくて済むな、など、これまでできなかったことができるようにもなる。寂しい中にも1割くらいはホッとする気持ちがあるに違いない。

 だが今はこの番組が面白くて仕方がない。ふだんやっている文章の仕事と違い、話す仕事。しかも生放送。以前にも書いたが、週に一度、ほかにはない緊張感ある50分間は(実はその直前の、放送開始に遅刻しそうになる約10分間も緊張するが)、この年齢になって、また違う自分を作っていけそうな気がしている。
 それに先週初めて番組でご一緒した野地さんは、打ち合わせなしでバンバン話を振って来る人。変化球こそないが、振り遅れないようにするのが大変で、緊張感は一気に増した。

 今週はこう思っている。番組を立ち上げた方々の思いを継続し、さらに発展させて良いものにしていくのが、残った僕の役目だと。だから、いつか来る僕のラストまで、ますます力を傾注しようと思う。

 ただ一つ残念なのは、渡辺さんと一緒にレッズの優勝を放送できなかったことだな。
(2012年6月22日)
EXTRA
 NHKのテレビを見ていて、さいたまからの情報が発信されるときに、渡辺さんの声が流れても不思議はなかった。しかし先日、台風4号の情報のとき、野地さんの声が流れてきて、サッカーの試合が頭に浮かんでしまった。

(2012年6月22日)
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