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Weps うち明け話
#342
良いのは見た目だけじゃない
 レッズの選手からも、ミシャ監督からもリーグ戦「優勝」というニュアンスの言葉が聞かれるようになった。
 以前は「2位というのは見た目が良い。でも、それだけだ」と言っていたミシャ監督だが、それはまだ第6節のころ。リーグの半ばを過ぎて3位。しかも8節以降は5位から落ちたことがない。明言ではないにしろ、「ここ(3位)から、さらに上に行ける」というのは、優勝争いをする、という宣言以外の何物でもない。
「自分は順位について先の約束をするタイプではない」と言う同監督が、そこまで口にするのは、18試合戦ってきた手ごたえからだろう。大満足しているはずはないが、チームに新しい戦術はだいぶ浸透しているし、改善しなくてはいけない部分を改善していく――たとえば前半戦あった6つの引き分けを勝ち試合に持って行くなど――自信もあるということだろう。

  今季、クラブは順位の目標を具体的に挙げていない。だから下方修正でも上方修正でもないが、シーズン前のサポーターの感覚から言えば、上方修正にほかならない。「今季は(残留争いさえしなければ)順位はあまり気にしない」という人が圧倒的に多かった、というのが僕の感触だから。
 チームが優勝を目指すことに反対する人はいないだろう。
 だが、と言うと石を投げられるかもしれないが、言う。
 だが「優勝」という言葉には魔力がある。それには気を付けよう。

 今季、レッズサポーターは「順位はあまり気にしない」とだけ言っているわけではない。その前提として「今度こそ、中期的なビジョンに基づいたしっかりしたチーム作りをしてくれれば」(ニュアンスは違うにしろ)という思いがある。言葉を替えれば、今季の最優先課題は「チーム作り」であり、順位は二の次なのだ。
 サポーターは一年契約ではなく、“一生契約”でレッズと結びついている。契約の文言も印鑑やサインもすべて心の中にある契約だ。1年、2年でレッズから離れていくわけではないから、促成栽培ではなく、じっくり大地に根を張る大木のようなチーム作りを望む。特に近年は、種を蒔いたかと思うと引っこ抜くとか、トマトを植えたかと思うとキュウリに植え替えるみたいな印象が強かったからなおさらだ。
 今度こそ、と多くのサポーターが望んでいるし、半年間を見れば、その意向に沿う形で今季のレッズは推移している。

 今季取り組んでいるサッカーを続け、さらに高めて行くことで優勝争いをする。もちろんミシャ監督や選手たちはそれを目指しているわけで、優勝を目指すのだから、今年のチーム作りは小休止でいいじゃないか、となってしまうことはないと思う。いや、ここまで進めたチーム作りを凍結してしまって、優勝争いに絡めるはずがない。シーズン当初に掲げた課題は、依然として最優先で残っているのだ。
 それを握って離さないことを大前提とすれば、18節で首位に勝点5差というのは、もはや見た目だけが良い位置ではない。
 目標を上方修正したから急に強くなるわけではないが、勝負へのこだわりに変化が生まれるとしたら、それだけでもプラスだ。
 ナビスコ杯では点の取り合いで競り負けた。リーグ戦では、追いつき勝ち越しながら、また追いつかれた。今季の磐田との3戦目は、それを検証するには絶好の試合かもしれない。 

(2012年7月27日)
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