Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#344
8月に思う
 8月ももう終わり。ここ数年、あまり小中学校と縁がないせいか知らなかったが、二学期は9月からじゃないんだって?今年は9月1、2日が土日で、夏休みが2日延びるようなものだから子どもはラッキーだな、と思っていたのだが。
 去年の8月の下旬は、国立で甲府に負け、ホームで広島と引き分け、アウェイでC大阪に負け、という時期で、残り10試合はまず降格圏から遠ざかることが最大の課題だ、という気持ちでいた。ナビスコ杯はまだ2回戦の前だったから明るい展望はそれほどなかった。
 比べても仕方がないかもしれないが、今年は残留争いの心配がないどころか、首位に勝点2差の3位で8月を終えた。しかも、鹿島、清水という、“勝ちたい度”ランキング上位に位置する2チームに連勝しているのだから、気分の悪かろうはずがない。
 相変わらず猛暑(暦の上では残暑だけど)が続いているし、日本の政治が良くなる見通しはあまり立たないし、竹島問題や尖閣諸島問題も憤まんやるかたない。レッズの好調さがそれらを解決する糸口にはなりそうもないけど、昨今の自分の感覚を顧みると、人間が生きていくエネルギーというのは、気分の良し悪しで生産量に大きな違いがあるんだなあ、としみじみ思う。

 でも去年の今ごろも、毎日下を向いて暗い顔をして暮らしていたわけではない。毎試合、次は勝つ、という気持ちでいたし、とっとと残留争いから抜け出して、リーグ優勝は無理でもナビスコ杯に期待をかけようと思っていたのだ。
 レッズの成績や戦いぶりで、元気の度合いは違うが、浦和レッズがあるということそのものが、生きていくエネルギーになる。そういうことだ。ときには怒りや憤りを含んでいるかもしれないし、たまには全身で幸せを感じるようなこともある。質の違いがあるが、毎日のエネルギーの素。それが浦和レッズのみならず、サッカークラブというものの存在意義なのだろう。

 20年の間には、何人ものレッズサポーターとお別れをしてきた。6月は#66で書いた松尾直樹さんの七回忌があった。7月は#301で書いた鶴川健さん、そして森孝慈さんの一周忌だった。
 55歳という年齢を思うと、自分もいつまでレッズと付き合っていられるかな、と思うことはある。仕事はやめても、生きている限り付き合いをやめる気はないから、それは自分が鬼籍に入るということとイコールなのだが、たとえば向こうの人が迎えにきたとして、今ならこう言うだろう。
「もうちょっと、待ってくんないか。このミシャのサッカーが今年どこまで伸びるか見たいんだ」

 で、オフになる。さあ、もういいだろ、と再びお迎えが来る。
「いやあ、ACL出ちゃったからさあ。このサッカーでリーグ戦とどう並行して戦うか見なくちゃ」

 あるいは
「もうちょっとでリーグ優勝だったからなあ。2013年見ないわけにはいかないっしょ」

 もしくは
「リーグ優勝して次の年が大事だからさあ。6年前は連覇できなかったじゃん。だから鹿島の3連覇抜くまで見させてよ」
 と言って、待ってくれるように頼むだろう。

 もちろん去年の今ごろだったら
「ふざけんな!こんなときに。残留決めてから来い!」
 と追い返したはずだ。

 何を経験したからもういい。何を見ていないからまだ早い。自分の寿命がそんなことで決められるわけではないのと同様に、レッズに関する思いが、「これでもう満足」となることはおそらくないだろう。何も優勝を見たいということだけではなく、どう変わっていくのか。それを体感したい、ということだと思う。
 そして、それができている自分は、もうレッズと付き合えなくなってしまった人の分まで深くレッズに関わっていかなければいけないと思うのだ。
 8月というのは、そういう思いになる月だ。
(2012年8月31日)
EXTRA
 さいたまダービーのことを書こうと思ったけど、今日のNHKさいたまでたっぷりしゃべる時間がありそうなので、とりあえずその番組と明日の試合が終わってから、あらためて。

(2012年8月31日)
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