Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#345
8年目のさいたまダービー
 先週の土曜、9月1日には2種類の試合があったと思う。

 一つは、Jリーグ第24節としてのアルディージャ戦だ。
 今季のリーグ戦でレッズの首位獲りが可能になった初めての機会で、今回は成功しなかった。
 首位と2差が3差に広がり、得失点差を考えれば次の節で首位獲りの可能性は極めて低い。だが残りは10試合。まだチャンスはあるし、22節までずっとほぼ5差だったことを思えば、その時期よりは少し近づいたと言える。もしかしたら首位の座に慣れていないチームが早々に先頭に立って、力を出し切れずにリズムを崩すより、もっと最終節間際まで追いかける立場でいた方が力を発揮できるかもしれない。
 決して、アルディージャ戦がドローで良かった、とは言わないが、この日、勝ったのが広島でなく仙台だったのがレッズにとって少し幸いだったとは言える。毎試合、勝利を目指して戦いながら、試合後は順位が近いチームの結果を知って、自分の位置を確かめる。それがリーグ戦だ。

 もう一つは、さいたまダービーの大宮戦。
 同一都道府県の「埼玉」ダービーではなく、いま日本では唯一、同一都市内の2つのクラブが同じカテゴリーのリーグで戦う「さいたま」ダービー。
 これは僕個人の感情だが、さいたまダービーについてのとらえ方は年々変わってきた。
 まず最初は「さいたまダービーと言われても…」というものだ。本コラムの「#34」でも書いたが、もともと浦和と大宮は別の市で、2001年に合併してさいたま市になったばかりだったから、「同じ市内」という気がそもそもしなかった。良いたとえが思いつかないが、自分の父親が、あまり仲の良くない友人の母親と再婚したからといって、急に「兄弟」とは思えないようなものかもしれない。
 そう。僕が埼玉新聞社で働いていたころの感覚で言うと、浦和と大宮は、昔からいろんな意味でライバル関係にあり、仲が良かったとは言えない。だから「ダービー」としてではなく、大宮のクラブだからというライバル視はしていた。とはいえ、J1に昇格したばかりのクラブと同等扱いして欲しくない、という気持ちも正直あった。たぶん選手もそういう気分だったのではないか。
 そして逆に言えば、大宮の選手とサポーターはレッズに対して下剋上的な意識は強かっただろう。その気持ちは試合にはっきり出ていたし、結果にも表れた。「歯牙にもかけない」つもりでいた相手に負けて、レッズのサポーターのプライドに火がついた。それが選手にも伝わっていった、というところではないだろうか。

 今はこう思っている。
 さいたまダービーというのは、さいたま市に一つしかないJクラブの座を巡って争うものでもなければ、優勝カップや優勝旗を奪い合うものではない。だがエリアナンバー1、いや気持ち的にはエリアオンリー1の誇りをかけたものだ。
 レッズサポーターが歌う「さいたまには浦和だけ、さいたまには浦和があればいい」という歌は、大宮サポーターからすれば失礼極まりなく感じるだろうが、この戦いはそういうものなんだ、という決意のこもったものだととらえている。当然、負ければ「だから浦和イラネ」と言われることも覚悟の上なのだろうと思う。

 1つの都市に2つのJ1クラブ。いま他の地域にはない特色だ。昨季のイングランドのように、同じホームタウンを持つ2クラブがリーグ優勝を最後まで争うような状況が来れば地元にとって誇らしい。僕も公式にはそう言う。
 でも、それは一般論のきれいごとだ。大宮アルディージャというのは、ただ絶対に勝ちたい相手。それだけだ。リーグ戦は2回あるから2勝したいのはもちろんだが、それが無理なら1勝1分け。1勝1敗ならせめて得失点差で上回りたい。得失点差が同じならアウェイゴールで優劣を決める。
 それで言えば、05年から今年までの8シーズンの戦績は4勝4敗ということになる。

 こんなふうに思ったのは、土曜日の試合の直前だ。今さらと思われるかもしれない。
 来季のさいたまダービーは、お互いどういう状況で迎えることになるかわからないが、シーズンのアタマからそういう考えで臨むことにしよう。
(2012年9月4日)
EXTRA
 しかしリーグ戦の通算成績はレッズの分が悪いが、カップ戦はナビスコ杯、天皇杯ともレッズの全勝ってどういうことだ?

(2012年9月4日)
TOPWeps うち明け話 バックナンバーMDPはみ出し話 バックナンバーご意見・ご感想