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Weps うち明け話
#347
盛者必衰
 今年のNHKの大河ドラマは「平清盛」だが、どうも源義経に比べて平清盛が好きではない。子どものころに読んだ「うしわかまるとべんけい」のイメージと、高校で出てきた「平家物語」の冒頭の部分(冒頭しか知らないのだが)のイメージの差かもしれない。
 そこに出て来る「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」という四字熟語を習ったとき、逆はないのか?と思った。
 栄華を極めている者もいつかは衰えるときが来るなら、今は逆境にあるものが今後は栄える、ということもあるだろう。そう教えた方が頑張れるじゃないか、と。道徳の教科書じゃないから、平家物語に文句を言っても仕方ないが。

 十年ひと昔、と言う。ヨーロッパに比べれば短いがJリーグも一定の歴史を経たと言っていい。何しろ、93年5月15日にはまだ生まれていなかった者が、Jリーガーになってきているのだから。
 20年でJリーグの勢力地図もずいぶん変わった。まさに盛者必衰、有為転変、生者必滅だ。抹香臭いな、今回は。

 万年最下位(といっても2年だけだぞ!)の浦和レッズが、10年後の03年から国内タイトルをひと通り制覇し、ACLまで獲得した。身びいきでなく04年から07年までは黄金時代と呼んでもいいだろう。これは盛者必衰の反対だから「必者盛衰」か。
 いや違う。逆境にあるものが将来必ず栄えるわけではない。それにふさわしい努力をしなければ。
 そしてレッズは08年以降、輝きを失ってきた。もし去年残留に失敗していたら、盛者必衰の例になっていただろう。ギリギリのところで踏みとどまった。今後また黄金時代が来るかどうかはわからない。たとえ今季優勝できたとしても、それだけでは黄金時代とは呼べない。

 だけど、こうも思う。盛者必衰は世の中の常かもしれないが、どこまで衰えるかは盛者次第で変わるのではないか、と。Jリーグで言うと、毎年優勝することは難しいが、残留争いまでは落ちない、とか。そういうふうに、そこで活動するもの(クラブもサポーターも含めて)の知恵と努力によって、必衰の幅を狭くすることができるはずだ。
 レッズはそこでうまくいかずに、一度立った頂点から滑り落ちてしまった。次にもし黄金時代を迎えることができたら、それを維持するために、あるいは大きく後退しないために、何をしなければいけないか、何をしてはいけないか、知恵の蓄積があるはずだ。大事なのは蓄積を積んでおくだけではなくて、それを活用することなのだが。

 サッカーのスタイルが定着しつつあり、順位も上位を狙える今季、クラブはそれを大事にしていくのと同時に、次の時期のこと―、来季という意味ではなく今の状態に陰りが生じたら、ということだが、―それを考えておかないといけない。
 二度と壇ノ浦に沈みたくはないから。

(2012年9月20日)
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