Weps うち明け話
#351
あの年との違い
 札幌に負けて今季6敗目を喫した。

 最近思い出すのは、05シーズンのことだ。
 リーグが通年制になって最初のシーズン。浦和レッズは最終的に2位になった。
 前年、Jリーグ最後のステージを制して、通算成績では横浜FMを上回りながら、チャンピオンシップで敗れて2位に終わった、その無念を晴らすべく臨んだ05年だったが果たせなかった。
 特に、最後まで優勝を争ったG大阪(優勝)、鹿島(3位)、千葉(4位)、C大阪(5位)の4チームには、トータルで3分け5敗と、一度も勝てなかった。それでも優勝することがあるというのがリーグ戦の妙だが、やはりライバルに1勝もできず優勝というのは難しい。

 今季の後半戦、残留争いをしている新潟、大宮、神戸とは引き分け。G大阪には大敗した。さらに降格が決まった札幌にも負けた。こんなことでは優勝などとうてい無理、という声がある。05年のときと似ていなくもない。
 正直な感想を言えば、今季のレッズにはリーグ優勝ができるほどの強さはまだ備わっていないと思う。残念ではあるが。
 だが今季のJリーグの混戦ぶりを考えれば、絶対に優勝できない、というほど弱くはないと思う。相対的な話ではあるが。
 何ともはっきりしない主張だが、これが今季の実情だろう。

「今季の浦和レッズは負けた試合から学び、次につなげてきた」
 ここ何回か聞いたミシャの言葉だ。
 ウソやハッタリではない。実際にG大阪戦までの今季5試合、負けた後の試合は悪くても引き分け(横浜FM戦後の磐田戦)。ほとんど勝ってきた。連敗していないということは、たしかに同じ過ちを「すぐには」繰り返さないということだろう。ただ裏を返せば、何回も負けている、ということも言える。負けたから薬になるのであり、学ぶことが多い。
 ミシャの言葉は、チームの成長につながるものとして当たっていると思う。ただし今季の優勝に直結するとは限らない。本当に効いてくるのは、来年以降だろう。

 でも僕はもちろん今季の優勝を諦めていない。選手たちにはあと6試合、優勝を目指して戦って欲しい。そのために全力でバックアップしたい。

 ふりかえれば、今季のレッズがリーグ終盤に来て優勝争いをすると思っていた人、あるいは優勝争いすべきだと思っていた人は、何人いるだろうか。僕自身、妄想や願望なら抱いていたが、妥当なところは、ほとんどゼロに近いところから、チームとしての形がどこまで整うか、というのが課題だと思っていた。
 しかし今季のレッズは、出だしの2節こそ2ケタ順位だったが、3節以降は7位より下になったことがなく、中盤からはほとんど3位にいる。開幕から毎試合見ている者としては、それほど不思議とは思わないのだが、過程を無視して開幕前の想像と現実を見比べれば、びっくり以外の何物でもない。
 だが紛れもないこの現実は、監督とコーチ陣、スタッフ、そして選手たちが一丸となって努力してきた、そして多くのサポーターが後押ししてきた結果だ。

 結果ではないな。経過だ。結果はこれから6試合終わった後に出る。よく頑張ったがここまで、などと今の時点で悟りを開く必要はない。

 レッズが残り全勝したとして、広島がレッズ戦以外に勝点4(仙台も同じく勝点1)を落とすというのは、簡単に起こることはなくても、あり得ないことではない。ただ、あり得ないとあきらめたら叶わないことだけはたしかだ。
 他力本願がかなりある可能性ではあるが、10月のこの時期の優勝の可能性(それも小数点以下ではない)を残している幸せを感じる。その幸せを最も強く受け止める方法。それは最後まで全力で闘い続けることだ。あと50数日間、闘う日々を送りたいし、選手たちを勇気づけ、励ましたい。

 優勝争いのライバルに勝てなかった05年。今季も広島と仙台にはまだ勝っていないが、まだ1試合ずつ残っている。そこには勝つ。最近よく思い出す05シーズンだが、7年前との違いをそこに求めたい。
(2012年10月10日)
EXTRA
 字にすると思い出す。今日はかつての体育の日か。
 というより天皇杯3回戦の日。今季、一番改善が遅れているのは、引いて守る相手からどう点を取るか、という部分だ。今日の相手、カマタマーレ讃岐はJクラブではないが、試合展開がそうなる可能性もある。ここにしっかり勝つことは、リーグ戦の残りを戦っていく上での足掛かりになるだけでなく、12月1日を過ぎても試合が続く喜びを得ることだ。
 さて出かけよう。

(2012年10月10日)
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